小学生のおねしょを直す方法。病院での治療と対処法


小学生の我が子のおねしょに悩んでいる親御さんは結構多いもの。あまり人には言ない悩みであるだけに、自分で何とかしないといけないという孤独感とプレッシャーがありますよね。

小学生になるとおねしょは夜尿症という病気になってしまいます。病気なので小児科に行けば治療してもらえるんです。でも、遺伝的要素も強い夜尿症。気にしすぎる必要はないですよ。

「起こさず、怒らず、焦らず」がキーワードです。

おねしょと夜尿症の違い

おねしょは、トイレトレーニングをしても夜間のおしっこのコントロールができないことを言います。

5歳までは、まだおねしょをしていても成長の段階。個人差はありますが、気にする必要はありません。

5歳を過ぎても週2以上のおねしょがあると、夜尿症の可能性が高くなります。小学校入学してもおねしょが続いていれば、完全な「夜尿症」という病名が付きます。

とは言え、小学校入学前までにおねしょが治ればよいかな、と思っている人も多いでしょう。

気になるのは、宿泊を伴う行事が生じてきた場合です。まだおねしょが治っていないと焦りだします。外泊の必要性に迫られて小児科を訪れる人が多くなります。

おねしょに対する現在の理解

一昔前は、親のしつけが足りなくておねしょをしていると言われていました。今では、子どもの身体の発達が遅いことが原因であるとされているので、親のせいではないとされています。

「起こさず、怒らず、焦らず」が、現在専門家も言っているおねしょに対するキーワードです。

成長ホルモンをしっかり出すために起こさない、子どもがわざとしているわけではないから怒らない、成長とともになくなるので焦らない、と言う姿勢が大事です。

では、どうしておねしょをしてしまうのでしょうか。おねしょをしてしまう原因を探ってみましょう。

小学生になってもおねしょが治らない理由

おねしょの原因はピンポイントではなかなかわかりません。幼児の頃からおねしょが治らない場合は、身体の発達が遅いことが挙げられます。

ほとんどの子どもが、「おねしょをしなくなる機能」の発達が遅いことが原因とされています。特に男の子に多いと言われています。

小学校1年生の子どものおよそ10%が夜尿症であると言われているのが現状。1割もいるのに、あまり話題にはなりませんよね。

親は子どものおねしょが恥ずかしいために、あまり人に話さなくなります。年齢が上がるとなおさら口に出さなくなります。

おねしょをする理由にはどのようなものがあるのでしょうか。原因はどこにあるのでしょうか。

膀胱の容量が小さい

一番考えられるのは、膀胱が未発達で夜間の尿を貯められる容量が少ない場合です。膀胱自体が小さいというよりは、膀胱が固いために容量が少なくなってしまう場合が多いようです。

膀胱が小さい場合のおねしょは、朝方まで貯めきれずに漏れてしまうため、尿量は少なめです。朝方のおねしょをするタイプの子どもに多いです。

抗利尿ホルモンが分泌されていない

人間は、寝ている間におしっこの生成を抑える抗利尿ホルモンを自ら出しています。そのおかげで夜中のおしっこが少なくて済みます。

抗利尿ホルモンは、成長と共に分泌が増えるので、子どものおねしょは成長と共に減っていきます。

抗利尿ホルモンの分泌がなかなか増えない子どもは、夜間の尿量が抑制されないので、日中と同じペースで排尿され続けます。そのため、おねしょの尿量が多いのが特徴です。

ストレス

トイレトレーニングと共におねしょが一旦はなくなっていったのに、あるとき突然復活してしまうことがあります。この場合は、強いストレスの可能性が考えられます。

引っ越しによる環境の変化や、小学校入学時の不安、家族構成の変化などのストレスによって、おねしょが復活してしまうことがあります。

心の不安の表れであるとしたら、おねしょしたことを絶対に怒ってはいけません。ストレスの要因と思われるものに対応できるようになるまで、時間をかけて見守ってあげてください。

夜尿症以外の病気の可能性

おねしょや日中のおもらしに、他の病気が隠れていることがあります。大人にも多い膀胱炎や、腎臓の病気などが考えられます。

夜尿症以外の病気である可能性は、5%弱あると言われています。夜尿症の治療をしに行った小児科で診断されれば治療してもらえますが、ただの夜尿症と思っていたらなかなかわからないことが多いです。

おねしょ以外にも気になる症状がある場合は、幼少期の子どもであっても小児科に見てもらうことをおすすめします。

夜尿症が子どもに与える影響

小学生にもなっておねしょをしていても、いずれ治るなら構わないという判断をされる親もいるでしょう。

実際に、大きな子どもでもはける紙おむつがドラッグストアでも売られています。経済的に大変な点はありますが、外泊行事がなければ特に困らないのは事実です。

親がいいやと思っても子どもの様子をよく見ておきましょう。本当に困っているのは子どもなのです。

夜尿症の子どもは自分に自信が持てない

子どもは自分の意思でおねしょをしているわけではないので、自分でもどうしてよいのかわかりません。コントロールできないおねしょのせいで、親に怒られても自分では止められないのです。

親が怒らないようにしていても、ため息をつきながらお布団の処理をしているのを見ると、いたたまれない気持ちになります。

成長と共に理解力が付くと、小学生でおねしょは恥ずかしいのだという意識も芽生えてきます。お友達にばれたらどうしよう、という気持ちからすべてにおいて自信を持てなくなります。

夜尿症は早いうちからの治療は効果があると言いますし、小児科の検査で原因がわかると子どももの気持ちも楽になります。

おねしょはいずれ治るもの。気楽に構える心構えも必要ですが、子どもの心の状態にも気をつけておきましょう。

子どもが気にしていたり、自信のない子どもに育っているようでしたら、小児科に行って相談、治療という前向きな姿勢を子どもと一緒にとっていきましょう。

親のイライラより子どもの不安感を除いてあげるのが大事です。

おねしょを直す方法

小学生のおねしょを少しでも早く治す方法はいろいろあります。子どもに合う方法が見つかれば本当にうれしいですが、どの方法が適しているかはわかりません。

おねしょのタイプにもよりますが、さまざまな方法をいくつかご紹介します。

小児科で治療してもらう

一番確実な方法は、小児科やおねしょの専門医に相談することです。検査によって原因がわかったり、生活習慣の指導を受けたりすることができます。

医学的な治療が必要であれば、適切な薬を処方してくれます。

<尿量の少ない膀胱型の場合>

おむつをはかせて夜間の尿量を測り、尿量が少ないと膀胱型と診断されるでしょう。膀胱型には、アラーム治療による改善や、膀胱の収縮を抑える抗コリン薬や抗うつ薬が処方されることが多いです。

アラーム治療とは、おねしょに反応するセンサーをパンツに付ける治療方法です。おねしょをするとセンサーが反応してアラームが鳴ります。アラームで子どもに認識させる、ということを毎晩繰り返して夜尿を減らす治療方法です。

アラーム型での治療は短期治療に適していて、約5割の子どもに効果があると言われています。アラーム付きおねしょセンサーは「ちっちコール」などがあります。インターネットでも購入が可能です。

<尿量の多い多尿型の場合>

夜間の尿量が多いタイプは、抗利尿ホルモンが発達に応じて分泌されていないことに原因があります。

日中と同じペースで尿を生成し続けますから、膀胱型のように朝方だけのおねしょだけではなく、夜の間に2~3回のおねしょをしています。

その場合は抗利尿ホルモン薬を処方してもらうことで改善が期待され、7~8割の子どもに効果があるとされています。

寝る前にはお手洗いに行く

布団に入る直前にはお手洗いに行かせることで尿量を少しでも減らすことができます。

寝る前のおねしょ対策としては、当たり前のことですね。今行きたくない!と駄々をこねることもあるでしょう。無理に行かせるというスタンスは好ましくありません。

寝る前のお手洗いが自然な習慣となるような誘導も必要なテクニックです。生活習慣の一つになるといいですね。

寝る前の水分摂取を控える

水分を控えたほうが良いのは分かっている人が多いでしょう。

水分は2時間前までに取り終えましょう。夕食の時間も大切です。食事からの水分も想像より多く摂取しています。こちらも就寝の3時間前には食事が終了しているようにしましょう。

夜間の水分制限をする場合は、日中にたっぷりと水分を取っておきましょう。牛乳やジュースであっても水分ですから、夕方までに摂取を終えておきましょう。

塩分の取りすぎも水分の過剰摂取につながるので注意が必要です。

生活リズムを整える

規則正しい生活は、おねしょを改善するうえで大事なことです。規則正しい生活リズムと十分な睡眠時間がおねしょを改善するカギとなります。

生活リズムが乱れておねしょがひどくなっているようでしたら、一度生活習慣を見直してみましょう。

体を冷やさない

冬場におねしょが増えるときは、体が冷えている証拠です。子どもであっても冷えは大敵。

お風呂でしっかり温まっているか、お布団をきちんとかけて暖かい状態で寝ているかなどよく観察しておきましょう。

腹巻や、温かいパジャマでの対策も効果がみられる時があります。寝ているときに体を冷やしていないか確認が必要です。

親が知っておくことと、できること

親が躍起になっていろいろと試したところで、子どもの身体の発達がゆっくりであったら徒労に終わって疲れるだけです。

おねしょをする子どもを育てる心構えはいくつか心にとめておいてください。

親はどんと構える

おねしょはなかなか治りません。成長すれば治ると思う心構えも必要です。とは言え、おねしょの後始末は大変です。朝から洗濯物が増え、働くお母さんにとっては大きな負担となってしまいます。

それでも怒ってはいけないと言われる子どものおねしょ。親の方がストレスになってしまいますよね。万策尽きた、と思ったら親の「おねしょ気になるスイッチ」を切ってしまいましょう。

小学生用の紙おむつをがっちりとはかせて気にしないと言うあきらめの境地も時には必要です。

親が難しい顔をしていると子どもも委縮してしまします。親がストレスのない明るい表情でいてくれたら、子どもの気持ちも楽になりますよ。

親のしつけのせいではない

親のしつけが足りないと言われていた子どものおねしょ。今では、その説は否定されています。厳しくしたからと言って、子どものおねしょは治らないことははっきりしています。

親が自分のせいでは、と悩むのであれば小児科に行って相談しましょう。夜尿症の専門知識がある小児科医もしくは泌尿器専門医を選ぶことも大事です。

夜尿症の知識がなく、なおかつ古い意識しかない医者もいます。親のしつけなんだよね、なんて言う意識がちらりとでも見えたら親は傷つきます。逆効果にならないように、相談相手は専門知識のある人を選びましょう。

おねしょは遺伝性が強い

親が子どもの頃におねしょをしていたら、子どもも夜尿症になる確率が高いことがわかっています。

両親が子どもの頃に夜尿症であった場合は75 %、片方が夜尿症であった場合は50%の子どもにおねしょが遺伝すると言われています。

筆者の子ども(T君とします)も4年生までがっつりおねしょをしていました。父親にあたる筆者の夫が夜尿症であったことが判明。3人の子どものうちの一人が夜尿症でしたからデータに即していると言ます。

姑から「パパ(夫)は6年生までおねしょしていたから気にするな」と言われたので、とても気が楽でした。隔世遺伝もあると言われているので、親族に夜尿症の人がいたらしょうがないと思ってあきらめましょう。

紙おむつがいけないのか?

紙おむつの快適さがおねしょへの抵抗感をなくす、と言う説がありますがこれも今日では否定されています。

子どもが抵抗感を示さなければ、紙おむつで気にしないで過ごそう、と言う声替えをしてあげてください。無理やりはかせるのは逆効果です。

ドラッグストアなどで小学生用の紙おむつは購入できますので、身長に合わせて紙おむつをはかせることは可能です。

布おむつ派であった筆者は、T君のために不快感を覚えさせようと思い、布おむつとおねしょ用布パンツを2枚重ねてはかせていました。

不快さを感じている様子はまったくなく、毎朝肥溜めの異臭の中で目覚めるような毎日でした。効果はなかったと言っていいでしょう。本人の身体自体もおしっこ臭いので、毎朝シャワーを浴びるという手間もありました。冬は特につらかったです。

布おむつで不快感を覚えさせるという手段は、子どもには何の効果も見られませんでした。3か月は続けましたが効果が見られず親もギブアップ。

朝の洗濯も二度手間でした。4年生でも130センチ弱と小柄だったので紙おむつのBIGサイズをはかせました。

あの異臭と洗濯の手間を考えるとメリットはなかったと思っています。

おねしょは個人差が大きい

おねしょは発達段階での個人差がとても大きいです。それは、兄弟姉妹であっても差があります。

ましてよその子どもと比べたところで、何の意味もなくメリットもありません。

おねしょも個性と思って受け容れてあげましょう。筆者の子どもは、4年生までしていたT君、年長までおねしょをしていた長女、2歳でおねしょをしなくなった次女とさまざまでした。

おねしょを他人にうっかり相談しない

これは筆者の経験なのですが、子どものおねしょにまったく悩まされなかった親に相談しても、メリットはゼロどころかデメリットでしかなかったです。

専門知識があるわけではないですから、「親のトレーニング方法が何か間違っていたのでは?」「すんなり取れたけど?」という返事しか返ってきません。このような対応をされると、思ったよりも親は落ち込みます。

結局のところ、子どもの持って生まれた体質や遺伝が関係するのですから、自分たちではどうしようもできないのです。

ですから、なおさら学年が上がると親の口が堅くなっていくのでしょう。おねしょだけではなく、子育ての悩みは専門家に相談するのがよいですね。

おねしょは気にしないで時間をかけて治しましょう

小学生になると、子ども本人がおねしょを気に病みだします。親は手間がかかるのでイライラしますが、子どもはどんどん自信を無くしていきます。

悩みや治療方法は専門家に相談して、親はサポーターのつもりで子どもを支えてあげましょう。

「起こさず、怒らず、焦らず」ですよ!

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