子供の歯ぎしりの原因。改善できる?あらゆるケースを徹底解説!
小学生のお子さんの歯ぎしり。「特に問題ない」「10歳ぐらいまでなら大丈夫」…。ネットや本でそう見ても、やっぱり気になりませんか?
高学年で歯ぎしりが続いている場合も、心配ですよね。
「夜中に響くほどのギリギリ」「暇になると歯をくいしばる」…。なるべくなら改善に近づけてあげたいものです。
ここでは、子どもの歯ぎしりで考えられる原因をまずご紹介。その後ケース別の改善・対策方法を、わかりやすくお伝えしていきます。
ご紹介する対策方法の多くは、歯ぎしりに限らずお子さんの心身の健康につながります!ぜひ積極的に生活に取り入れてくださいね。
小学生の歯ぎしりの原因
お子さんが歯ぎしりをする原因。まずは正しく見極めてあげたいですね。
子どもの歯ぎしり、心配いらない?
突然ですが、3択問題。小学生の歯ぎしり。どの内容が正しいと思いますか?
① 成長期によくあることで、基本的に心配いらない
② 心配な歯ぎしりと、そうでない歯ぎしりがある
③ ストレスが関係するため、対策が必要である
実は、歯科医監修などのサイト、実際の歯科医のお話をまとめると、①も②も正解になります。
この記事では、中立な立場で、考えられる原因をまとめていきます。
考えられる3つの原因
小学生の歯ぎしり。考えられる原因は、大きく3つに分けることができます。
- 歯の生え変わり期によくある習癖
- 精神的ストレスによる筋緊張
- 歯並びや噛み合わせの異常、あごの位置が不安定
最も可能性が高いのは、一番目の「歯の生え変わり期によくある習癖」。「ほとんどの場合がこの原因で、心配の必要なし」と言い切る歯科医師もいます。
次章から、原因の一つ一つを詳しく見ていきましょう。
歯の生え変わり期によくある習癖
子どもの歯ぎしりは、歯が生え始める頃から見られます。個人差はありますが、生後4~8ヶ月頃からでしょうか。
どうして?次に生えてくる歯の位置やあごの位置を、決めようとするからです。
噛み合わせは成長に伴って変化。それに順応させるため、歯をこすり合わせて噛みやすいポジションをつかんでいくのです。
特に、以下の年齢は噛み合わせが不安定で、歯ぎしりが起こりやすい時期だと言われています。
- 歯が生えそろっていない乳児
- あごの発育が上下でずれる5歳前後
- 奥歯が生え変わる11歳前後
これは、寝ている時に無意識に行われる場合がほとんどです。小学生の場合、親だけが心配し、子どもは「何のことだかさっぱり…」というケースも多いもの。
実際に我が子もそうなのですが、筆者だけが心配し歯科で診てもらったものの、「子どもの歯ぎしりはよくあること」で終わってしまいました…。
歯のすり減りも、よほどでない限り問題なく、歯並びにも、ほとんどの場合影響しないとのこと。
歯科医にもよるでしょうが、小学生のうちは様子をみる、という場合も多いようなのです。
精神的ストレスによる筋緊張
精神的ストレスなど、心理的原因による筋緊張のこともあります。永久歯が生えそろった後の歯ぎしりは、特に注意が必要です。
日常的にストレス要因がある、環境が変化したなど心当たりがある場合は、原因として考えた方がよいでしょう。
日中、お子さんにとって嫌なことがあった時に、歯を噛みしめるしぐさが見られることもあるかもしれません。
歯並び、噛み合わせ、あごの位置
歯並びや噛み合わせの異常、あごの位置が不安定なことにより、それを調整しようと歯ぎしりすることがあります。
やはり永久歯が生えそろった後の歯ぎしりの場合、注意が必要だと言えます。
- 睡眠中の歯ぎしりの頻度が高い
- 強い歯ぎしりが長期間続いている
- 日中も歯をくいしばったり噛みしめたりしている
などの場合は、可能性があるかもしれません。
歯ぎしりが及ぼす悪影響
子どもの歯ぎしりの多くが一時的。しかもあごが柔軟なため、深刻にはなりにくい場合が多いとは言われています。
しかし、あまりにも歯ぎしりの頻度が高かったり、長期間強い歯ぎしりが続いていたりすると、以下のような心配がないとは言えません。
- 歯がすり減る
- あごへのダメージ
- 睡眠の質が落ちる
「歯がすり減る」とは、具体的にどういうことでしょう?
- 奥歯の山がなくなっていく
- 前歯が短くなっていく
- 下の前歯に上の前歯がかぶさり見えない
また、歯がしみる「知覚過敏」になりやすくなります。あまりにもひどいと、歯の中にある神経、歯を支える骨にまで影響を与える場合がないとも言えません。
あごへのダメージもあります。歯ぎしりは無意識に行われ、想像よりも大きな力が加えられているもの。
- あごが痛い
- 口を開けにくい
- あごに違和感がある
こんな場合は、「顎(がく)関節症」の可能性もあります。
睡眠の質が落ちるのも、子どもの心身に悪影響を及ぼします。
- 集中力や記憶力、考える力が低下する
- 体が疲れやすくなる
- やる気の低下や不安・落ち込みが多くなる
など、学力や体・心の調子に影響を及ぼしかねないのです。
「できれば、歯ぎしりをやめさせたい!」…せめて、頻度を減らしてあげたいですよね。
次章から、改善・対策方法について触れていきましょう。
「ストレス」が原因の場合の対策
子どもの歯ぎしりの原因が「ストレスかもしれない」と思う場合。まずは、そのストレスを取り除いてあげることが先決。
時間がかかるケースもあるでしょうが、根気強く取り組んでいきましょう。
「大きなストレス」になりやすいこととは
子どもにとって「大きなストレス」になりやすいこと。どんなことだと思いますか?
ストレスを元に、体に不調が現れる「心身症」。児童の心身症を専門とする医師・山根知英子先生によると、心身症の原因となりがちなストレスは、
【家庭の問題】
- 親子の関係
- 両親の不仲
- きょうだい間の問題
【学校の問題】
- いじめ
- 先生・友人などとの人間関係
- 勉強・テストなどの学力関係
だとのこと。「良い子」を演じがちな過剰適応の子どもが、突然「挫折」を経験することも、大きなストレスとなるようです。
歯ぎしりは心身症とは異なりますが、子どものストレスになりやすいこととしては参考になります。当てはまるものがあれば、なるべく原因を取り除けるよう努めていきましょう。
新年度のクラス替えや引っ越しなど、環境の変化もストレスになりがちですよね。
少しでも「会話」する時間を
個人差はありますが、「誰かに話したらスッキリした」と感じること。大人でもありますよね。
どんなに忙しくても、子どもと会話する時間をつくりたいもの。家事をしながら、子どもの話を聞いてあげるだけでもよいのです。
そのメリットは多々ありますが、
- 子どものストレスが緩和される
- 子どもの変化を見抜きやすくなる
- 子どもの様子を把握しやすくなる
毎日会話することで、子どもの変化に気づきやすくなります。口では「楽しかった」と言っていても顔は暗い、ということもあるかもしれませんね。
話を聞く時は、優しい雰囲気で…。怒り口調や面倒そうな態度では、気を使って話さない子どもも出てくるでしょう。
すぐに「そんなことを言ってはダメよ」「それはよくないよ」など、否定ばかりしてしまうのも避けましょう。次第に子どもは、何も話さなくなります。
また、子どもが話してくることは、その子の興味・関心があることの場合が多いです。「くだらない」「つまらない」と思っても、聞いてあげられるのが理想。
そのような積み重ねが、話しやすい雰囲気につながります。そして子どもにとって不利な話題や深刻なことも、話してくれる可能性が高まるのです。
自然に触れる
自然には、人を癒す力があります。
自然や植物は、ストレスを軽くするという実験結果もあるのです。
何も、遠くの大自然に行かなければならないわけではありません。「近所の公園や川沿いなどの自然に触れる」「部屋にミニ観葉植物を置く」などでもOK。
生活習慣を整える
普段の生活習慣が、子どものストレスにつながることもあります。
- 塾や習い事に毎日通っている
- 長時間の電子機器(ゲーム、スマホなど)の使用
- 夜食を習慣的にとっている
これらに当てはまると歯ぎしりの頻度が高い傾向にある、という調査報告もあるようです。
子どもの生活を見直し、
- 無理をさせすぎていないか
- テレビやゲーム、スマホの使用時間が長すぎないか
- 夜型になっていないか
を確認。改善できるものは、少しでも改善につなげていきましょう。
親自身がプラス思考の言葉を多く使う
「子どもに怒ってばかり」「ネガティブな言葉ばかり」…。発した言葉はお子さんの脳に刻まれ、お子さんの思考に影響を与えたりストレスになったりします。
子どものよいところを少しでも見つけたら、褒めてあげましょう。「ありがとう」は魔法の言葉。お子さんに言うと、お互いに気持ちがよくなりますよ。
その他の対策
ストレスを取り除くこと以外の歯ぎしり対策を、まとめていきます。
歯並び・噛み合わせに問題がある場合
歯並び及び噛み合わせに問題の可能性がある場合、毎年小学校で行われる歯科検診で何らかの指摘があると思います。
できれば矯正歯科を受診し、異常の有無や矯正が必要かどうかなどを聞いてみましょう。
残念ながら、矯正をしていない歯科医だと、「矯正については大学の時に習った程度」の知識だけで説明する場合もあるようです。
早くから始めることは、子どもの骨格の成長を利用しながら矯正できるメリットがあります。しかし、待った方がよいケースもあるのです。
大切なのは、「矯正歯科」や矯正専門の先生に、きちんと診ていただくこと。
信頼できるかかりつけの歯科があるとしても、矯正についてだけは矯正の専門医に診ていただくようにしましょう。
あごの位置が不安定な場合
あごの位置が不安定…「あごの位置って、何?」と思う人も多いかもしれませんね。
お子さんは、
- 頬杖をつくクセがある
- 食事の際、片方の奥歯ばかりで噛んでいる
- 横向き、特に同じ向きで寝ることが多い
ということがありませんか?当てはまる数が多いほど、あごの位置が不安定になる可能性が高まります。
気になる場合は「口腔外科」の受診が望ましいですが、町の歯科でも診てもらえる場合もあります。受診する前に電話で確認するとよいでしょう。
家庭でできる対策としては、
- 頬杖をつかないようにする
- 食事の際、左右バランスよく噛む
- なるべく上向き(仰向け)で寝る
- 姿勢を正しくする
- よく噛んで食べる
ことなどが挙げられます。あごの位置がずれにくい上記の生活習慣を心がけましょう。よく噛んで食べることも、あごの成長を促してくれるため、意識していきましょう。
マウスピースもあるけれど…
最終手段、とも言えるのでしょうか?歯ぎしりの頻度を減らす「防止策」ではなく、「歯ぎしりに対処する方法」と言えますね。
日中の装着は無理があるかもしれませんが、寝る時は効果があります。
筆者自身も就寝時に使用していますが、歯のすり減りや頭痛・肩こりに効果を感じています。
起床したら水洗いして乾かし、汚れが気になる時は台所用中性洗剤を薄めたものをつけて、手で優しくこすり洗いをする。そのように歯科医に教えていただきました。
最近は、マウスピース用の洗浄液や、マウスガード用スプレーも販売されています。
しかし、小学生の場合、
- サイズが合わなくなったらつくり直す必要がある
- 口の中の不快感・違和感で使用できない
ことも大いに考えられます。状況にもよるでしょうが、「歯ぎしり対策でマウスピースを勧めるのは、多くの場合大人になってから」という歯科医も多いようです。
実際に筆者も今は慣れて快適ですが、最初のうちは「オェー」となりそうで不快。かえってストレスになりそうな状況でした。
薬局などで売られているマウスピースを試してみるのも一つですが、小学生の場合、生活習慣の見直しや改善から取り組むのがよいようです。
筆者も不安に思っていました
筆者には子どもが二人います。次女は、日中くいしばるような姿は見られないものの、夜中歯ぎしりをします。
夜中なので、筆者が気づかない時も含めれば、もっとしているかも…。心配でした。
長女も含めてですが、3ヶ月ごとに必ず歯科の定期検診を受けています。虫歯の有無もそうですし、歯のすり減りも診てもらえます。
筆者から見て「少しすり減りがひどいかも…」というレベルでも、「問題ない」と言われました。やはり実際に診ていただいて安心できるのが、一番だと思います。
ちなみに筆者自身は、日中でも歯をくいしばるクセが…。子どもにイライラする時もついつい…。
最近では子どもたちから「ママ、またクーッてやってる」なんて言われる始末。心配なのは子どもではなく、筆者自身かもしれませんね…。
そんな時は深呼吸です。深呼吸にはストレス発散やリラックスなど、たくさんの効果があるのです。
ストレスが原因で歯ぎしりしてしまうお子さん、特に歯ぎしりに悩まない老若男女…いつでも誰にでも気軽にできますよね。
また、歯ぎしりや噛みしめまではいかなくても、上の歯と下の歯をくっつけてしまうクセがある。こんな場合も「気づいたら深呼吸」はオススメです。
ぜひ生活の中に取り入れてみてくださいね。
ポイントを抑え、後は大らかに!
お子さんの歯ぎしりについて、少しでも不安が軽くなりましたでしょうか?
「歯ぎしりの原因は、こんな可能性もある」という知識を頭に入れた上で、子どもの様子を見ていきましょう。
知識をつけ、不安な場合は受診。必要な対策はしつつ、後は大らかに過ごす。お子さんのストレスが心配な場合は、とにかく家庭で「安心感」を与えてあげましょう。
筆者も心がけていけるよう…努めます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。