続発する災害。子供がいる家庭で地震に備えておくべきこと&もの
深刻な地震災害が多い昨今。うちの地域は大丈夫。なんて思っていませんか?日本国内において絶対に安全と言える地域はありません。
いざという時の備えはあって困るものではありません。被災してから後悔しないためにも日頃から意識して地震へ備える事に努めましょう。
この記事では家庭での備え方と、被災時の便利アイテムなどを紹介して行きます。
地震の備え。ローリングストックってご存知?
災害時の備蓄は家族が1週間持ちこたえられる量を用意しておきましょう。とよく耳にします。
「どうして1週間分?」
これは南海トラフ地震などの広範囲の被害が予想されている大規模災害が起きた際、支援の手が行き渡るのに時間が掛かるであろうと想定した結果です。
『各家庭である程度の量を備えておくべき。』との考え方からこのように呼びかけられてい
ます。
“1週間”という基準で、例えば一家4人分の飲料水を確保しておこうとすると、1人あたり3L/日として、2Lのペットボトルで42本も用意する必要があります。
そんなに大量の水を、普段使いとは別に家に置いておく事はあまり現実的ではありません。備蓄食料や燃料なども同じです。
日常生活の中で消費するものを多めに用意しておき、“使う→補充”を繰り返す備蓄法の事を言います。
買い置きした食料などは古いものから順次消費して行き、新しいものを買い足し、常備しておく事でいざという時に備えられます。
“備蓄”というと難しく考えてしまいがちですが、常温で保存できる野菜やインスタントココア、おやつ用のお菓子などもローリングストックとして常備しておける食料品です。
普段使いの食料品、日用品を少し余分に家にストックしておくだけで非常時に役立てられるのがローリングストックの良いところです。
物流が復旧しても子供向けの物資は手に入りにくいものです。子供のものを中心にローリングストックを考えましょう。
いざという時にあると便利なもの
ローリングストックで生活必需品はある程度準備しておける事は前述の通りです。その他に用意しておきたいものをご紹介します。
【ラジオ】
被災時に最も活躍すると言っても過言ではない大切な情報ツールです。
被災者は常に情報が欲しい状況にありますが、SNSなどから発信される情報は不確かなものも多く、悪質なデマの場合もあります。
ラジオ、特にコミュニティFMから発信される情報は、信頼できるローカル情報(給水車の場所など)を手に入れらるのでとても役に立ちます。
停電時にも使える電池式や充電式を用意しておくのがおススメです。ラジオまで準備するのはちょっ・・・という方はラジオアプリがお手軽です。
【充電器・モバイルバッテリー】
停電時に困るのがスマホやケータイのバッテリー切れです。車から充電出来るケーブルや予備バッテリーは普段使いにも便利なので用意しておきたいところです。
災害時は子供も緊張してストレスが溜まるもの。ストレスは体の不調につながります。日常と変わらずゲームをする事もストレス解消に繋がります。
不謹慎と思わずに子供用のゲーム機の予備バッテリーなども準備しておきましょう。
【電池・電池変換アダプター】
電池は懐中電灯やラジオ、モバイルバッテリー用にと緊急時には欠かせないアイテムです。よく使う単三電池などは買い置きがあるご家庭も多いかと思います。
各種必要分買い揃えておければベストですが、使用期限を考えるとあまり余分な物を買いたくない・・・
そこでお勧めしたいのが充電池と電池変換アダプターです。
電池変換アダプターとは、例えば単三電池を単一サイズのアダプターに入れると単一電池として使用できる便利なツールです。
変換できるサイズもさまざま、100円ショップなどでも売っているので安価で手に入る事も良いところです。
購入後10年経っても放電しないとう充電池もたくさんあります。充電池と合わせて電池変換アダプターを準備しておけば非常時にとても便利です。
【カセットコンロ・ガスボンベ】
物流の復旧は意外と早いものですが、生活インフラは安全確認などが優先され、復旧に時間が掛かります。
電気やガスが復旧しないとせっかく食料品が手に入っても調理する手段がありません。そこでカセットコンロの出番です。
煮炊きが出来、温かい食事が取れるのは被災時とてもありがたいものです。
カセットコンロとガスボンベは、災害時必ずと言っていいほど品薄の話を聞きます。ローリングストックが可能な代物なので準備しておきたいですね。
【持病の薬・常備薬】
日常生活にいつ戻れるか分からないのが被災時の怖い所です。子供は非日常の空間では具合が悪くてもなかなか言い出せない事もあります。
時として命にも係わるので、普段飲んでいる薬や常備薬を切らさないように心掛けましょう。
お子さんを含めたご家族にぜん息やアレルギーなど持病がある場合、薬が切れる頃に処方して貰うのではなく、少し早めに受診して薬が常に手元にあるようにしておきましょう。
【給水袋】
給水車を利用する際に便利です。2Lペットボトルなどを利用している人が多いですが、被災時に都合良く空きボトルがあるとも限らないので準備しておくと安心です。
100円ショップやホームセンターなどで簡単に手に入ります。普段は折り畳んでおけば良いので場所を取らずに保管出来ます。
【ヘルメット】
家族全員分を改めて準備しようとすると出費がかさむし置き場所に困る・・・あった方が良いのは分かるけど、どうしよう?
バイク用や自転車用で代用をと考えてしまいがちですが、防災用とは用途が全く異なるので安全性が担保出来ません。仮に非常時に使用したとして、無いよりはマシ程度の物と思って下さい。
出来れば防災ヘルメットの準備はあった方が良いでしょう。折り畳めるタイプもあるので子供のものだけでも確保しておきたいところです。
お住まいの地域によっては学校から支給されている通学用ヘルメットをお持ちかと思います。
通学用ヘルメットは『落下物から頭を守る』事も目的のひとつで、いわゆる保護帽ヘルメットと同じ構造なので災害時には有効です。
自宅の対策は?
阪神・淡路大震災における死亡原因の77%が家屋や家具の倒壊による『圧死』と報告されています。
命は助かったものの、倒れてきた家具の下敷きになり障害を負ってしまったという方も多数いらっしゃいます。
家具の転倒防止策は命を守る事に直結します。家具転倒防止のポールやストッパーなどを活用しましょう。地震発生時子供が一人でいるかもしれない子供部屋などは特に入念に。
また就寝中は無防備なので、寝室の安全対策も大切です。親子で一緒に寝ている場合は子供を真ん中に寝かせる。窓際や家具の近くで寝かせないなど日頃から意識しておきましょう。
オール電化で蓄電池もあったけれど、地震で機具が倒れてしまい全く使えなかったという事例も。家の外もチェックしておきましょう。
ご自宅の耐震診断をしておく事も大切です。耐震診断や耐震補強の費用を自治体が補助してくれる制度もあります。診断だけならば無料の地域も多いので活用しましょう。
子供と一緒に確認しておくべきコト
【身近な危険】
大阪北部地震では、登校中の女子児童が倒壊したブロック塀の下敷きになり亡くなるという痛ましい被害が発生しました。
1978年に発生した宮城県沖地震では、ブロック塀などの倒壊によって多数の死者が出ました。この事から、同年建築基準法施行令が改正され安全基準の見直しが図られました。
しかし、またしても地震によるブロック塀の倒壊で犠牲者が出てしまうなど、まだまだ危険なブロック塀が至るところに立っているのが現状です。
国はブロック塀の所有者に安全点検などの注意喚起を促していますが、具体的な拘束力はありません。
他人任せにしていても命は守れません。子供たちの行動範囲に危険な場所はありませんか?
お子さんと一緒に歩いてみてブロック塀や古い看板など「危険だな。」と思うところを確認し、地震発生時速やかにその場を離れられるよう日頃から注意しておきましょう。
何より自衛が大切です。ハザードマップも親子でしっかりチェックし、災害時何処に逃げるのかを決めておきましょう。
【公衆絵電話】
公衆電話は緊急・災害時における通信手段確保の観点から、市街地で500m四方に1台、その他の地域で1km四方に1台という設置基準があります。
災害時は通信インフラに規制がかかりますが、公衆電話は『災害時優先電話』として停電時でも通話が可能です。普段から気にかけて自宅付近の設置場所を確認しておきましょう。
モバイル端末に慣れてしまっている子供たちの大半が、公衆電話の掛け方が分からないという調査報告が出ています。
緊急時の連絡手段として、実践して使い方をお子さんに教えておきましょう。合わせて身内の電話番号も覚えさせておくと安心です。
実際に被災して役立ったもの
筆者は東日本大震災時に宮城県の内陸部で被災しました。東北は地震が怖いという認識はあったものの、備蓄やこれといった対策はほとんどしていませんでした。
備えがない中で自宅にあって実際に役立ったものをご紹介します。
【いたずら防止ストッパー】
当時は猫のいたずら防止目的で設置していたのですが、扉の開放を防ぎ、結果的に食器類の破損を最小限に抑える事が出来ました。100円ショップの品物で十分機能しました。
【小銭】
停電時はATMが使えません。停電中営業している小売店もつり銭の確保が困難な事から、小額の硬貨は意外に役立ちます。
筆者は趣味で100円玉貯金をしていたのですが、震災時には随分たくさんの100円玉を使いました。まさかこんな形で活躍しようとは思いもよりませんでした。
また、地震発生時にNTTが公衆電話を無料開放という報道がされていますが、この場合でも硬貨がないと使用できない事は案外知られていません。
公衆電話は構造上硬貨を入れないと使えません。10円玉、100円玉は常に子供のお財布にも入れておくと安心ですね。
【ホットプレート】
当時カセットコンロを持ち合わせていなかったので、電気復旧後、ガスの復旧まで調理に使用していました。
周りの被災者の方もホットプレートは盲点だったようで随分と感心されました。子供がいる環境で災害時火を使いたくないご家庭にはお勧めです。
【消毒用アルコール】
給水車の水は基本飲用に回していたので水道復旧まで生活用の水が不足していました。手指の清潔を保つために、手洗いの変わりにアルコール噴霧をしていました。
不衛生な環境では体力のない子供は体調を崩しやすいもの。衛生環境はとても大事です。インフルエンザの時期などにも活躍するので、買い置きがあっても無駄にはなりません。
【マウスウォッシュ】
最近はコマーシャルでも災害時の備えとして機能をPRしているマウスウォッシュ。水道復旧まで15日かかったので水はとにかく貴重品。
水がない中で歯磨きにはマウスウォッシュが大活躍しました。口の中の清潔を保つことで気分もすっきりします。
子供用のマウスウォッシュもたくさん販売されているので、むし歯予防の普段使い兼緊急時用としてローリングストックしておくと便利です。
【浴槽の水】
再三の話になってしまいますが、生活用水のやりくりは大変です。自宅避難だったのでトイレ用の水などに使用しました。
【自転車用ライト】
懐中電灯を持っていなかったので代用品として。着脱式の自転車用ライトを停電時に使用しました。LEDライトだったので明るさも十分でした。
【ポータブル石油ストーブ】
大きな余震もある最中で使用する事には躊躇しましたが、電気もガスもストップしている状況で最高気温が10℃に満たない寒さの中、暖を取るには電源の要らない石油ストーブしか方法がありませんでした。
そこで、必ず一人ストーブの近くに居るという事にして使用しました。多少の煮炊きも出来るので助かったという被災者の声も多く聞かれます。
先般の北海道胆振東部地震でもポータブルストーブの需要が急激に高まるなど、災害時とても重宝します。
火気の使用には十分な注意が必要です。ご自宅のストーブに耐震自動消化機能が付いているか確認しておきましょう。
【酔い止め薬】
長く余震が続くと、身体がふわふわとした感覚に襲われます。これを『地震酔い』と言います。市販の乗り物用酔い止め薬はこの地震酔いにも効果があります。
地震酔いは被災地の子供に多く確認されています。子供の酔い止め薬を常備しているご家庭も多いかと思います。
いざという時のためにこの豆知識を頭の片隅に入れておいて下さい。
【携帯ワンセグ】
被災地は何が起きているのかほとんど情報が入って来ません。ワンセグ放送でテレビを視聴出来るのは状況把握が出来て良かったです。
【大容量ペットボトル】
お酒などが入っていた大容量ペットボトルは給水時に重宝しました。一回に汲める量が多いので何度も足を運ぶ必要がなくて楽でした。中には一升瓶を活用している人も・・・
災害は他人事じゃない
最近は地震を含めた自然災害が各地で発生しています。避難訓練が活発に行われ、保護者を含めた大規模避難訓練を実施する学校も増えてきました。
お子さんと災害について意識を共有しておく事はとても大切です。災害はいつ来てもおかしくないと心得ておけば非常時にも冷静に行動出来ます。
普段から「備えあれば憂い無し」の心を持ち、非常時に備えましょう。