左利きのメリットとデメリット。無理な矯正は子どものストレス?


日本に限らず世界中で昔から「左利きの子どもは幼いうちに右利きに矯正した方が良い」と言われきたようです。確かにこの世の中、全ての物が右利き用に作られており、左利きでは何をするにも不自由だったのでしょう。

でも、最近では左利き用で作られている道具なども増えてきており、昔ほど左利きのデメリット減ってきているのです。逆に左利きである事のメリットが注目され始め、敢えて矯正せずに左利きのままにしておく親御さんが増えています。

お子さんの左利きを矯正するべきか悩む前に、左利きのメリットとデメリットについて考えてみましょう。そして左利きのメリットから考えても矯正した方が良い?という点についても具体的に述べていきますので参考にしてください。

左利きのメリットとは

左利きの人は天才や芸術家が多いという話を耳にした事があるのではないでしょうか。まるで迷信であるかのようなこの説ですが、実際のところ色々な研究により事実であるという報告もされています。

左利きのメリットとは何なのか、なぜ天才や芸術家が多いのかも気になるところです。ここで詳しくご紹介していきます。

右脳も左脳も同じように使える

左利きの人は、右利きの人と比べると脳の使い方が違うという事が分かっています。左脳と右脳という言葉を聞いた事があると思いますが、左脳は言語能力を司り右脳は空間能力を司っているのです。

右利きの人は左脳をよく使いますが、左利きの人は左脳も右脳も同じように使う事ができます。右脳は空間能力を司ると聞くと難しく思えますが、簡単に言えば音楽や芸術面でセンスを発揮できる事ができる部分です。

芸術家に左利きが多いのは、右脳を右利きの人よりも使う事ができるという点で納得できるのでは無いでしょうか。絵や音楽の才能を伸ばすには、右脳を使いやすい環境である左利きの人が有利になると言えるのです。

有利になるスポーツがある

プロのスポーツ選手にもたくさんの左利きがいます。左利きのメリットを生かして活躍している人もいれば、小さい頃からわざわざ左利きに矯正して練習を積んできた選手もいるかもしれません。

左利きがメリットになるスポーツは対人で行われる競技で、例えば、卓球やバトミントン、空手や柔道、テニス、野球です。それと余談ですがフェンシングの選手は、5割が左利き選手であると言われています。

なぜ、対人で行われる競技には左利きが多いのかと言えば、左利きである事が有利になるからなのです。

その理由として考えられているのは、対左利きの人との試合に不慣れであるという点が挙げられます。左利き選手は、フェンシングこそ多いですが他の競技では多くても3割程度です。そもそも左利きの人口は全体の1割程度と言われているので、3割でも非常に多いのですがそれでも対戦する際には経験を積むことが少ない相手ではあります。

このような理由から、対人で行われる競技に於いては左利きがメリットになる場合が多いのです。お子さんが左利きで、これからスポーツを習わせようと思っているのであれば対人の競技を選択するのがおすすめと言えます。

IQが高くなるかも!

右利きの人に比べると、左利きの人は右脳と左脳をバランスよく使う事ができます。子どもの頃から左利きで生活していれば、間違いなく右利きの子どもよりも器用に脳を使えているという事になるのです。

昔から左利きの人は天才が多いと言われて来ましたが、その理由は脳の使い方にあるという研究結果もあるようです。無理に右利きに矯正するよりも、左利きのままで生活させていく方がIQが高くなる可能性があるという事になります。

国語のノートで手が汚れない

左利きの人は横書きで字を書くと、ノートに付いている手の側面が真っ黒く汚れてしまいます。右利きの人ならそんな事はないですよね。

でも、右利きの人が国語のノートに字を書いていくと、やはりノートに付いている手の側面は真っ黒になります。ところが左利きの人は国語のノートで手が汚れる事がありません。

ノートに字を書くと手が汚れるというワードが左利きのデメリットとしては多く散見されますが、縦書きに関しては汚れる心配が無いので左利きのメリットと言っても良いでしょう。

小学生のうちは漢字の書き取りがかなり宿題として出される傾向にあります。みんな手を真っ黒にして練習している中で、そんな思いをせずに漢字の書き取りに没頭する事ができるの左利きならではのメリットがあるのです。

左利きのデメリットとは

左利き用の道具が増えてきたとは言え、まだまだ左利きには不便と感じるデメリットの面も少なくありません。右利きの人には考えられないような不便なところが、左利きの人には色々あるのです。

ここでは左利きの子どもが不便に感じる、デメリットについてご紹介していきます。左利きを全く矯正しなかった場合、生活していく中でこのような場面に遭遇する事になるのです。

左利きでは使いづらい物

右利きで生活している分には全く違和感を感じる事がありません。それは、世の中全ての物が右利き用に考えられて作られているからです。もしも、今日一日だけできるだけ右手を使わずに左手で生活してみたら、左利きの人が抱く違和感を実感する事ができるでしょう。

子どもの場合、学校でトイレの水を流す際にも、基本的に右利きの人が使いやすい位置にスイッチやレバーが付いているので不便だと感じると思います。学校の水道も、家庭のようなレバー式で無く蛇口式であれば回しづらいでしょう。

給食で配膳する際に使用するお玉も、まん丸の形ではなくスープや麺用のものであれば左利きにはとても使いづらいはずです。左利きの子どもが、上手く盛り付ける事ができずに苦労しているという話もよく耳にします。

その他にも、図工で使うハサミも左利き用の物を用意しておくか、右で使えるように練習しておく必要があるでしょう。左利き用のハサミが使いづらいと、細かい部分を切る作業が苦手と感じてしまう子どももいるかもしれません。

左手では書く事ができない習字

小学校では「書写」の授業が3年生から行われるのは一般的です。書写では鉛筆を使って字を練習する硬筆と、墨と筆を使って字を書く毛筆があります。毛筆に限っては、左利きではどうしても書くことができないので、右手で練習する事になるでしょう。

左利きで毛筆が書けない訳ではありません。書こうと思えば書けますし、授業中先生に「右手で書きなさい」という指導をされる事は今、殆ど無いと思われます。ただ、一つ言えるのは左手では非常に書きづらく、上手に書く事ができないのです

毛筆では毛の流れを使って字を書きますが、それは右手で書くからこそ上手く書けるようにできています。硬筆の場合はさほど問題ではありませんが、毛筆だけは右手で書けるように練習しているお子さんや、書道教室に通われているお子さんも珍しくありません。

字が上手に書けない

左利きの一番のデメリットと言われているのが、字を綺麗に書く事ができないという点です。字は右手で書く事が前提で作られているので、例えば漢字の「一」という字は左から右に書きます。決して右から左に向かって書くような事はしません。

左利きの場合、左から右に線を引くという作業が難しいのです。という事は、字を書く際に「一」の一文字だけでも書きづらい訳です。書きづらいので当然上手に綺麗に書く事ができません。

小学生のうちは平仮名を綺麗に正しく書いたり、新しい漢字をどんどん覚えていかなくてはならないので、練習帳に文字を書く勉強が大変多いです。左利きの子どもの場合はこのデメリットにより、字を書く事に対して自信を失くしてしまったり人前で字を書くのを嫌がってしまうかもしれません。

隣の子とぶつかってしまう

右利き同士や左利き同志が隣になってもそうはなりませんが、利き手の違う子ども同士が席が隣になってしまった場合、肘がぶつかりやすくなってしまうというデメリットがあります。

左利き人口はそもそも1割程度しかいないと言われているので、殆どの場合が隣の席の子は右利きになるでしょう。隣の子が自分の左側になった場合、字を書く時や給食を食べる時など注意をしないと肘がぶつかってしまいます。

左利きを矯正する事でのデメリット

我が子の左利きを、無理矢理矯正して右利きにする親御さんもたくさんいます。世の中、昔よりは左利きが容認されてきたとは言えまだまだ右利き使用の物ばかりです。これから左利きで苦労をしなければならないのであれば、いっその事矯正した方が良いのでは?と考えてしまいますよね。

左利きを矯正する事で得られるようになるメリットは、かなり多くあると考えられます。でも、左利きを矯正する事でのデメリットがあるという事はご存知でしょうか?

ここでじっくりご紹介していきます。

左利きの矯正はメリットが多いがストレスになる

子どもの為にできるだけ早く右利きに矯正してあげなくては…確かにまだ適応能力も柔軟な子どものうちに左利きを矯正する方が良いのかもしれません。でも、子どもの頃に親が無理に利き手を矯正してしまうと、それが原因で子どもに強いストレスを与えてしまう恐れがあります。

左利きの矯正によりメリットがある反面、強制的に右手を使わせようとすると子どもの心を傷つけてしまう事になるかもしれません。その結果、てんかんや吃音などの症状が現れるようになる事があるとも言われています。

また、字を書くたびに右手で書かなければ叱られると思うと、字を書くのが嫌になってしまう子どももいるようです。字を書くのが嫌になるイコール、勉強嫌いにしてしまう事にもなります。

左利きの矯正で左右が咄嗟に判断できなくなる

右と左って、子どもの頃どうやって覚えたか思い出せますか?大体はお箸を持つ方が右でお茶碗を持つ方が左という風に、親から教えられているのでは無いでしょうか。

ところが左利きの子どもはそれとは全く逆な訳です。お箸を持つ方が左でお茶碗を持つ方が右になります。

左利きを矯正した方がメリットが多いと考えて、無理に右手を使わせようとすると脳も混乱してしまうのです。どちらが右でどちらが左か咄嗟に判断する事ができなくなってしまい、子どもも混乱してしまいます。

字が反対になってしまう

左利きの子どもに矯正のために右手で字を書かせると、最初のうちは字が反対向きになってしまう「鏡文字」を書くようになるケースが少なく無いようです。まだ、しっかり字を覚えていない場合は、それが正しいと思い込み嘘字を覚えてしまう可能性もあるでしょう。

そもそも左利きの子どもは、左で字を書いても鏡文字を書きやすいと言われています。学習障害なのではと心配する親御さんも多い様ですが、すぐにその判断をしなくても良いでしょう。

小学校で学年が上がるにつれて、鏡文字を書かなくなっていくお子さんが殆どです。ただ、左利きを矯正した方がメリットが多いと考えて無理に右手で文字を書かせると、脳が混乱してしまい今まで書かなかった鏡文字を書くようになってしまう場合も考えられます。

左利きはメリットを考えて無理にでも矯正すべき?

お子さん自身が「左利きが嫌だから右手で練習してみたい」と言うのであれば問題がありませんが、左利きではメリットが考えられないから右手を使わせたいという親の考えで無理に矯正するのはおすすめできません。

また、ご飯を食べる時だけ右手を使えるように練習させたり、字を上手に書かせたくて鉛筆は右手で持つように矯正するというのも、子どもの事を考えると酷な話でもあります。

き手を変えるというのは、そんなに簡単な事ではありません。子どもに強いストレスを与えてしまう事にもなり、自分に自信が無くなってしまうかもしれないのです。

左利きにはメリットが少ないように感じるかもしれませんが、たった1割しかいない貴重な存在でもあり、否定的に捉えるべき事でもありません。どうしても右手を使わせて慣れさせるとするならば、子どもがストレスに感じないように注意する必要があります。

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