ぶち当たる小学生の壁。言うことを聞かない子供への4つの対策


「いやだ」

「やりたくない」

など、小学生になると、子供が「言うことを聞かない」と感じる場面が多くなります。

子供が自分の意思をしっかりと持ち、自己主張できるようになってきた証でもありますが、親子で意見が食い違うと、つい腹を立てて感情的に言い合ってしまうことがあります。

言い合いでの勝ち負けが目的ではないのに、激しく言い争うことで親子関係が悪くなり、本来の目的(何かしてほしいなどの子供への要求)が見えにくくなってしまいます。

ここでは、言うことを聞かない子供の状況を取り上げ、言い合いに発展してイライラしたときにできる3つの対処法や、子供が言うことを聞かないときの対策を4つご紹介します。

こんなやりとりしてるかも!言うことを聞かない子供の状況

「勉強しなさい」

「ゲームをやめなさい」

「片付けなさい」

など、ママが子供を叱る場面はたくさんあります。

叱ったり怒鳴ったりすると、幼稚園くらいの子供なら、その怖さで親の言うことを素直に聞いてくれることが多いです。

しかし、小学生になると、親の言うことを聞かず、反発してくることもあります。

先ほどの声かけをもとに、子供が反発してくるケースを3つ見てみましょう。

〈ケース1〉
ママ「勉強しなさい」
子供「今やろうと思ってたのに!」と言って全くやらない

〈ケース2〉
ママ「ゲームをやめなさい」
子供「まだ途中だから無理!」と言っていつまでも終わらない

〈ケース3〉
ママ「片付けなさい」
子供「いま使うところ!」と言って、いつまでもそのまま

小学生とのやりとりではよく見られる光景ですね。

子供のためを思って言っているのに、素直に聞いてもらえず、ママはイライラが募ってしまいます。

もし、こうした状態がずっと続いているなら、対策を考えて改善していきたいところです。

まずは、言うことを聞かない子供を前に、イライラしてしまうときの対処法からみていきましょう。

どうしたらいい!?子供との言い合いでイライラするときの対処法

子供が親に意見を言うようになると、意見のぶつかり合いでお互いイライラしてしまうことがあります。

親だって人間ですから、子供の言動にイライラしてしまうことは珍しいことではありません。

ただ、言い合いがエスカレートして言い争いになり、お互いを罵倒し合ったり傷つけあったりするようになっては、親子の信頼関係がくずれ、元に戻すのが難しくなってしまいます。

子供と言い合いにならないようにうまくかわすのが一番良いのですが、いつのまにか子供の反発を受け止めてイライラしてしまったら、以下の対処法で乗り越えていきましょう。

  • イライラ対処法1 ちょっとタイム
  • イライラ対処法2 深呼吸する
  • イライラ対処法3 なぜイラッとしたのか考える

具体的な対処方法について、それぞれみていきましょう。

イライラ対処法1 【ちょっとタイム】

子供との言い合いが激しくならないうちに、大人の方から「待った」をかけましょう。

できれば、その場から離れてしばらく時間が経つのを待ちます。

一度、トイレに行くのも良い方法です。

時間が経つと、カーッと頭に血がのぼっていたのが落ち着き、冷静になっていきます。

イライラ対処法2 【深呼吸する】

イライラして感情を抑えられなくなりそうなときは、深呼吸をしてみましょう。

「ちょっと、息苦しくなったから深呼吸させて」と、ゆっくりと深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出します。

数回繰り返していると、気持ちが落ち着いて冷静に考えられるようになります。

イライラ対処法3 【なぜイラッとしたのか考える】

言い合いをしていて、イライラしてきたな…と感じたら、「なぜ自分はイライラしているのだろう」と、立ち止まって考えてみて下さい。

  • 子供に強い口調で言い返されたから
  • 子供がなかなか理解してくれないから
  • うまい言葉がみつからないから

など、イライラの原因はさまざまです。

これだと思う原因が見つかったら、「いま、ママは○○(イライラの原因)で、とてもイライラしているの」という事実を子供に伝えましょう。

ママがなぜ腹を立てているのかが子供に伝わり、お互いがどう歩み寄ったら良いのか考えるきっかけとなります。

このように、イライラしたときは、いったん立ち止まる時間や気持ちを切り替える時間が必要です。

言い合いがエスカレートして、取り返しのつかないことにならないよう、イライラをコントロールする方法を見つけておきましょう。

次に、子供が言うことを聞いてくれないときの対策についてみていきます。

接し方に変化を!言うことを聞いてくれないときの4つの対策

子供が親の言うことを聞いてくれないときの対策として、4つの項目が挙げられます。

  • 対策1 伝え方を変える
  • 対策2 人を頼る
  • 対策3 「言うことを聞かせる」のではなく、「自分で動いてもらう」
  • 対策4 いつも子供に愛情を持っていることを伝える

それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。

対策1 【伝え方を変える】

今まで、声を荒げて指示をしても伝わらなかったのなら、親が子供への伝え方を変えてみましょう。

たとえば、テレビを観るのをやめて勉強をして欲しいとき、子供に何と言って伝えますか?

伝え方で失敗した例と成功した例を見比べてみましょう。

《伝え方で失敗した例》
ママ「テレビ観るのやめて勉強しなさい!」
子供「まだ途中だよ」

しばらくして…

ママ「そろそろ勉強しなさい!」
子供「えーまだ観るー」

   ブチッ

ママ 怒ってテレビの電源を切る
子供「ひどい!もう勉強しない!」(強い反発)

お互いの意見を主張し合ったまま、雰囲気が悪くなり、状況も悪化してしまいました。

では、伝え方で成功した例を見るとどうでしょう。

《伝え方で成功した例》
ママ「あと30分で夕飯の時間だからテレビ観るのやめてね」
子供「まだ途中だよ」

ママ「わかった。あとどのくらいで終わる?」
子供「あと10分くらい」

ママ「わかったよ。じゃ、このタイマーが鳴ったらテレビはおしまいにしてね。」

…10分後、タイマーが鳴り…

子供「テレビ消したよ」

ママ「わあ、ありがとう。あと20分で支度ができるから、宿題済ませてくるといいよ。」
子供「はーい」

失敗例と成功例で違うのは、ママがきちんと子供に「何かをして欲しいときの理由」を伝えている点と、「子供の主張を聞いている」点です。

失敗例では、親も子供も一方的に主張を通すことに集中していますが、成功例では親の方から子供の意見を聞いて、主張の折り合いが付くところを見つけています。

また、テレビ視聴の特性上、途中で視聴をやめるのは、大人でも嫌なことです。

区切りの時間を付けられるよう、時間に余裕を持って切り出すのがポイントです。

言うことを聞かない子の中には、「10分でやめる」と自分で言っても、10分後にやめない子もいます。

区切りの時間で、タイミング良くタイマーが鳴り響けば、親が2回も3回も注意を呼びかけなくても、自分で動くようになります。

自分で動くのを信じてあげ、それができたら子供を思いっきり褒めてあげましょう。

小学生になると、よほど危険なことで無い限り、上から目線で指示を出すより、横のつながり(対等)として指示を出した方がうまくいきます。

そのため、「ガミガミ」伝えるより、「丁寧に」伝えるように心がけてみて下さい。

イラストや暗号で伝えるなど、ユーモアを交えてもうまくいきやすいですよ。

対策2 【人を頼る】

言うことを聞かないときは、人を頼ってみるのもひとつの方法です。

「言うことを聞かない子を人任せにしていいの?」と感じてしまうかも知れませんが、子供が言うことを聞かない対象はママだけかもしれません。

実際に、以下のような子供は多いものです。

  • ママの言うことは聞かないけれど、パパの言うことは聞く
  • ママの言うことは聞かないけれど、おじいちゃんおばあちゃんの言うことは聞く
  • ママの言うことは聞かないけれど、先生の言うことは聞く
  • ママの言うことは聞かないけれど、近所の人の言うことは聞く
  • ママの言うことは聞かないけれど、友達の言うことは聞く

こうしてみると、子供が色々な人の「言うことを聞いている」ことがわかります。

子供とママの距離が近すぎると、その安心感からか子供はママに対して「言うこと聞かなくたって大丈夫」と思ってしまうのかもしれません。

実際に子供が言うことを聞かないからってママが家を出て行くわけでも、ママをやめるわけでもありません。

ママの言うことを聞かない時期がきたら、周りの人の助けを借りながら、うまく対応していきましょう。

たとえば、部屋が散らかっていて片付けて欲しいときは、ママが直接「片付けなさい」と言うのではなく、パパに言ってもらったり、祖父母に言ってもらったりします。

そのとき、「片付け終わって広くなったらみんなでボードゲームしよう」などと、片付けができた後に楽しみを作っておくと、さらに効果的です。

ママの言うことを全く聞かない時期は、ママのイライラが募ってしまいがちです。

まわりにサポートしてもらいながら、間接的にでも思いを伝えていきましょう。

対策3 【「自分で動いてもらう」】

毎日ガミガミ叱ってばかりでは、親の方が疲れてしまいます。

小学生になったら、「言ったら動く」のではなく、「言わなくても動く」ようになってもらいましょう。

そのためには、『家庭でのルール作り』や『生活習慣の見直し』、『環境の見直し』が大切です。

『家庭でのルール作り』
「ゲームは1時間まで」、「テレビは宿題が終わってから」などのルールを子供と一緒に作り、親子で守ります。

『生活習慣の見直し』
毎日バラバラの時間にテレビを観ていたり、宿題をしていたりすると、親がその都度注意を促さなくてはいけません。

なるべく規則正しく同じ時間にやることを決めておき、時間を見ながら子供が動くようになると、ママは叱らなくて済むのでとても楽になります。

習い事や塾があって、曜日ごとに過ごし方が違う場合は、曜日ごとのタイムスケジュールをつくり、見やすいところに貼っておきましょう。

子供に直接「テレビ止めなさい」などと言わなくても、「タイムスケジュールみてみてね、いまは何する時間?」と伝えれば、自分で動けるようになります。

『環境の見直し』
言わなくても自分で動いてもらうために、環境も見直してみましょう。

子供は環境が変わると、気持ちも変化しやすくなります。ガミガミと叱ってばかりいた環境を変え、新鮮な気持ちで子供の自立心を育てていきましょう。

例として、4つの工夫をみてみましょう。

【例1 「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と言ってしまうとき】
→勉強する部屋に気が散るものを置かない。

遊びに夢中になってしまうほど、視界の中に遊べるおもちゃが溢れているときは、勉強する部屋だけでも、それが見えないように工夫します。

使っていないおもちゃを処分するのはもちろん、量が多いときは落ち着いた色味の布でおもちゃを覆っておくのも手です。

【例2「片付けなさい」と言ってしまうとき】
→片付けやすい家づくりを工夫する

子供が片付けないのは、「片付けにくい環境だから」と考え、片付けやすいように工夫します。

学校帰りに脱ぎ散らかしてしまう子には、玄関前に入れ込むだけでよいバスケットを置くと脱ぎ散らかしが軽減されます。

また、取り出しやすい位置や戻しやすい位置にモノがあるだけで、使いやすくも片付けやすくもなります。

子供が家の中でどんな動きをしているのかを見極め、モノが片付けやすい工夫を取り入れていきましょう。

ママの「片付けなさい」発言の頻度が激減するはずです。

【例3「兄弟なかよくしなさい」と言ってしまうとき】
→子供それぞれのスペースをつくる

兄弟で仲良くして欲しいものの、毎日けんかばかりしているという兄弟をもつママもいます。

いくら「仲良くしなさい!」と言ったところで、言うことは聞かずヒートアップしてしまいます。

この場合も、環境を変えてみて下さい。

まず、子供それぞれが落ち着けるスペースを作ります。

そして、子供が使う物は兄弟ともに同じ物を用意します。

兄弟げんかの種になる一番の理由が「物の取り合い」です。

双子や三つ子のように、年の離れた兄弟でも同じ物を用意してあげれば、兄弟げんかの種が少なくなり、親の声かけ回数も減っていきます。

【例4「早くお風呂に入りなさい」と言ってしまうとき】
→自分で沸かして入ってもらう

子供がなかなかお風呂に入ってくれないときは、自分で沸かしてそのまま一番風呂に入ってもらうとスムーズです。

小学生になると、お手伝いをする子が増えるので、やる気があるときにお風呂掃除を手伝ってもらいましょう。

もし、手伝ってくれなくても「一番風呂にはいる人は、入浴剤を選んで良い」というルールで、入浴剤を豊富に用意しておくと、楽しみながら入ってくれます。

対策4 【いつも子供に愛情を持っていることを伝える】

どの対策を実践するときも、すべては子供への愛情から成り立っていることを忘れてはいけません。

子供への愛情は、何も言わずして伝わるものではありません。

特に、小学生の子供は言葉での愛情表現はわかりやすく、嬉しいものです。

「あなたのことを大切に思っている」

「大好きだよ」

といった言葉は、とても温かく、親が子供の味方であることを伝えてくれます。

しかし、毎日毎日子供を叱ることが多くなっているとどうでしょう。

「なんで分からないの!」

「何回も言わせないで!」

「いつまでやってるの!」

など、子供を責める言葉ばかり投げかけていては、子供は親に敵対心を持ってしまいます。

愛情を伝えるどころか、お互い敵のように言い合いが始まり、相手のことが嫌いになってしまいます。

本当は愛情を持っているのに、行き違ってこじれてしまうのです。

子供が言うことを聞かないと感じたら、親も子供の言うことを聞いているか思い返してみて下さい。

実は、子供が言うことを聞かない背景には、親も子供の言うことを聞いていないといったことが少なからずあります。

  • 「あとで遊ぼう」と約束したのに遊ばない。
  • 「本を読もう」と約束したのに読まない。

これでは、子供も親の言うこと(約束)は守らなくなってしまいます。

敵対心を持って言い合うのではなく、愛情を持っていることが伝わるように、相手の話を聞きながら歩み寄って話をすることが大切です。

幼い頃からの躾が重要!言うことを素直に聞ける心を育てよう

子供が言うことを聞いてくれるとき、言った人に対して厚い信頼感を持っています。

そのため、対策4で少し触れたように、子供に言うことを聞いて欲しいなら、親も子供の言うことを聞くように心がけなければいけません。

  • 座って食べることを教えたいなら、親も立ち食いしない
  • 勉強をしてほしいなら、親も静かにする(近くでテレビを観ない)
  • ゲームをやめてほしいなら、やめるときのルールをつくっておく(お互い守る)

など、一貫した親の態度が信頼を強くします。

立ち食いしながら子供には「座って食べなさい」と言っても、全く説得力がありませんね。

それどころか、子供は「親ばかりずるい」などと思ってしまうかも知れません。

ここで、親への反発心が芽生えてしまいますね。

また、親の気まぐれで言うことをコロコロ変えるのもよくありません。

子供に信頼してもらえるように、躾やルールには一貫した態度で臨みましょう。

その場その場で子供に指示をするのではなく、守るべきルールを決め、一緒に守るようにすることが大事です。

子供と親は別の人間 自分で考えて歩む力をつけてあげよう

「まだ小学生だから…」と、色々と口出ししてしまうのが親というもの。

しかし、子供はすでに自分の意思をもって自分で動ける力を持っています。

「言うことを聞かせよう」と口うるさく怒鳴ってばかりいては逆効果になってしまいます。

ここで、今回ご紹介した対処法や対策をおさらいしてみましょう。

【イライラするときの対処法】

  • 対処法1…ちょっとタイム(その場から離れる)
  • 対処法2…深呼吸する(気持ちをリセットする)
  • 対処法3…なぜイラッとしたのか考える(客観的にみることで冷静さを取り戻す)

【子供が言うことを聞かないときの対策】

  • 対策1…伝え方を変える 「ガミガミ」から「丁寧に」伝える
  • 対策2…人を頼る
  • 対策3…「言うことを聞かせる」のではなく、「自分で動いてもらう」
  • 対策4…いつも子供に愛情を持っていることを伝える

子供といえども、親とは別の人間です。

親とは好みも違いますし、考え方も違います。

「言うことを聞かずに反発する」のも、子供の自立心の表れです。

自分の意思をしっかり持って、親に向かってきているわけですから、親も子供の意見をしっかりと聞いてあげるようにしましょう。

なかには、どの対策も効果がみられないという子もいます。

発達障害を持つ子など、すぐには効果が得られず、何度も何度も繰り返し繰り返し教えることが必要な子もいます。

生活習慣でも勉強でも、何かを達成(習得)するまでに、何年もかかったり何十年もかかったりする子もいます。

すぐに効果がみられない…と気を落とさず、お子さんのできている所に目を向けてあげてください。

何十年かかったとしても、できたときの達成感はひとしおです。

スモールステップでも、ゆっくりでも、「何でも言うことを聞く」人を目指すのではなく、「何でも自分でできる」人を目指して、子供が自分自身で歩めるよう働きかけていきましょう。

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