学校で「おもらし」しないか不安!4つの原因と適した改善方法


昼間におしっこがもれてしまう「おもらし」は、「パンツもズボンもびっしょり」、「パンツにちょっとちびるだけ」といった程度の違いこそあれ、小学生以降も起こることがあります。

小学生になれば無くなると思っていても、小・中学生の約1割の子どもにみられるとされています。

とはいえ、学校での「おもらし」は、子ども本人にとって辛いことですね。

どうしても直らない場合は周りの理解やサポートが必要ですが、なるべく学校に行く前に直るよう、働きかけていきましょう。

ここでは、子どもの「おもらし」の原因を4つに分けてご紹介し、その改善策をそれぞれご紹介します。

また、もらしてしまったときに、親はどう対応したら良いかご紹介します。

大人が気をつけていても漏らしちゃう おもらしの原因4つ

オムツがはずれてほっと一息。

小学校入学を控えて、なんでも自分でできると思っていたところにやってくる「おもらし」。

家庭でおもらしが続いていると、学校に行き始めたら心配で仕方ありませんね。

子どものうちは、さまざまな原因からおもらしをしてしまうことがあります。

ここで、おもらしの原因とその対策についてみていきましょう。

お漏らしの原因には、以下の4つが挙げられます。

  • 原因1 遊びに夢中になるから
  • 原因2 ストレスがあるから
  • 原因3 習慣になっているから
  • 原因4 膀胱の病気になっているから(過活動膀胱)

ひとつずつみていきましょう。

原因1 遊びに夢中になるから

子どもが楽しく遊んでいると、親の声が届かないほど集中力で遊びに夢中になってしまうことがあります。

そうすると、トイレに行くことを忘れたり我慢したりして、おもらししてしまいます。

見るからにトイレに行きたそうで足をもじもじさせていたり、腰をゆらゆらさせていたりするのに、周りが声を掛けても子どもは一向にトイレに行きたがらないときがあります。

そうして、いざトイレに行こうとすると、トイレに着く前にもらしてしまうのです。

本人は遊びに集中してしまっているので、トイレに気を向けるのは難しいところです。

原因2 ストレスがあるから

子どもにとって、ちょっとした生活環境の変化が強いストレスになることがあります。

例えば、下の子が生まれて甘えにくくなったり、病気をして生活リズムが崩れたりすると、たちまち排尿にあらわれることがあります。

また、トイレに「怖い」思いを抱いていると、トイレにも行けずストレスが溜まってもらしてしまいます。

特に、学校のトイレが和式しかない場合、慣れていない子は強いストレスを感じてしまいます。

こちらの記事では、トイレに行きたくない理由について詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。→小学校のトイレに行けないのはなぜ?3つの理由から考える改善策

原因3 習慣になっているから

一日に何度ももらしていると、子どもがトイレに行く気力が湧かず、「おもらし」→「着替え」の流れが習慣になってしまいます。

もらしても「やってしまった!」という感覚がなく、恥ずかしがっている様子がないようなら、おもらしを失敗と考えておらず、改善するのに時間がかかります。

原因4 膀胱の病気になっているから(過活動膀胱)

トイレが近く(頻尿)、突然尿意がきて我慢できなくなる症状があると、「過活動膀胱」が疑われます。

「過活動膀胱」の症状には以下のものがあります。

  • 昼間のおしっこの回数が8回以上
  • 突然の尿意で、我慢できなくなる
  • 夜間の就寝中に、トイレに起きる

「過活動膀胱」の症状が出ているときは、おしっこをためる膀胱と、おしっこを排出する尿道の筋肉の働きがうまくいっていないことが考えられます。

それらの働きは、各器官と脳が神経を通じてうまく情報伝達することで成り立ちます。

しかし、子どもの未発達な脳では、情報伝達がうまくいかずに「過活動膀胱」の症状が出てしまうことがあります。

成長とともに落ち着くことが多いですが、気になるようならかかりつけの小児科や、泌尿器科で受診してみると良いでしょう。

おもらしを直したい!原因によってピッタリの対策をしよう

4つの原因から、子どもの様子に当てはまるものはありましたか?

原因によって対策が変わります。それぞれに適した対策をみていきましょう。

対策1 「遊びに夢中になる」ときの対策

子どもが遊びに夢中になっていても、明らかにおしっこを我慢しているような仕草を見せていたら、早くトイレに行って欲しいですね。

そこで、子どもに「トイレに行かないともれちゃうよ!」と声かけすると、子どもは「大丈夫!」と言って、遊び続けます。

トイレに行かせたいママとトイレに行きたくない(遊びたい)子どもとのバトルが始まり、子どもが我慢できなくなってもらしてしまうことで、バトルの幕が閉じます。

子どもの意識を「遊び」から「トイレ」に移すためには、「トイレに行くことで遊ぶことより楽しいことがある」と思わせることが重要です。

言い方の問題でもありますが、マイナスのイメージよりもプラスのイメージで声かけするようにしてみましょう。

「トイレに行かないともれちゃう」といったマイナスのイメージで声を掛けるよりも、「トイレに行ったら、ゆっくり遊べるよ」といったプラスのイメージの声かけの方が動きやすいときがあります。

また、ブロック遊びに集中していたとしたら、「トイレの後に、一緒に○○(子どもが作りたそうなもの)を作ろう!」などと、誘ってみるのも効果的です。

子ども自身が、「トイレに行った後に楽しいことが待っている」と想像できれば、重い腰を動かすことができます。

おやつの時間の前なら、「トイレの後におやつにしようか」と言ってもよいでしょう。

ストレートに「トイレに行きなさい」と促すよりも、命令されて行くのではなく、自分の意思でトイレに行くという感覚なので、動いてくれやすくなります。

対策2 「ストレスがある」ときの対策

「下の子ができた」、「病気をした」、「和式トイレが怖い」など、生活環境が変わったことでストレスを感じているなら、そのストレスを緩和することが大切です。

例えば、下の子ができて、その子に我慢をさせているな…と感じたなら、5分だけでも抱っこしたりぎゅっと抱きしめたりして話を聞いてみると良いでしょう。

赤ちゃんがいると、親にとって上の子はしっかりして見えますが、小学生でもまだまだ親に話を聞いてもらったり甘えたりすることが必要です。

不安を感じていると、そのストレスが「おもらし」としてあらわれてしまうことがあるので、安心感を与えることが大切です。

「病気をした」ときや、「和式トイレが怖い」ときも、不安がストレスとなっていることが多いので、安心感を与えるようにしましょう。

病気をして生活リズムが乱れてしまったら、少しずつ元に戻す努力をして対応します。

和式トイレが怖いなら、一緒に和式トイレのある場所に行って、練習してみることです。

ここでも、なるべくマイナスのイメージではなく、プラスのイメージがつくように声を掛けることがポイントです。

「もう、病気がなおったんだから、早く起きないと困るよ!」

「和式トイレでおしっこできないと、学校に行けないよ!」

といった、マイナスの声かけだと、恐怖心をあおり、ますます不安が募ってしまいます。

「病気が治ったから、少しずつ早起きしてもっと元気になろう!」

「和式トイレができると、いろんな所に旅行できるね!」

など、ストレスをよりスムーズに緩和するために、声かけの工夫を加えるとうまくいきやすいです。

生活環境の変化によるストレスは、緩和するのに時間がかかることもありますが、根気よく続けていきましょう。

対策3 「習慣になっている」ときの対策

「おもらし」が習慣になっていると、尿路感染や腎臓障害につながってしまう可能性があるので、「トイレでの排泄」をしっかりと意識させることが大切です。

とはいえ、おしっこの量が少なくても、何度も何度もパンツやズボンを濡らされては、着替えの用意も億劫になってしまいますね。

家庭の中では、着替えやすい服を着せて、失敗しても叱らずに改善するように働きかけましょう。

対策としては、トイレでおしっこすることの大切さを意識させるために、時間を決めてトイレに誘ってみることです。

排泄メモを付けておき、もらしやすい時間にトイレに行くようにするのも効果的です。

よくもらすからと言って、水分を控えていると、膀胱炎になることもあるので、水分はしっかりと摂るようにして下さい。

対策4 「膀胱の病気になっている(過活動膀胱)」ときの対策

「過活動膀胱」の症状に当てはまる人は、一度病院を受診することをお勧めします。

「過活動膀胱」の症状

  • 昼間のおしっこの回数が8回以上
  • 突然の尿意で、我慢できなくなる
  • 夜間の就寝中に、トイレに起きる

子どもにはわりと良くある症状なので、「過活動膀胱」なのかわからないことがありますが、おもらしが多いときは、医師に相談して不安を解消しておきましょう。

学校生活が始まる前に、症状について知っておくことができれば、余計に悩まずに済みます。

受診するときには、1日のおしっこ(おもらし)の回数、1回分のおしっこの量、夜間トイレに行く回数などをメモしておくと良いでしょう。

叱ると逆効果!子どもの気持ちをうけとめて改善させよう

「おもらし」に直面すると、親は子どもを叱ってしまうことがあります。

子どもの意思で「おもらし」しているわけではないので、叱られる子どもからしてみれば、「なぜ叱られるのか分からない」どころか、「ママは自分のことを分かってくれない」と反発したり、心を閉ざしたりしてしまいます。

ママや周りの人に理解が得られないと、「おもらし」したことを言わなくなったり、一人で悩むようになったりして、さらに問題がこじれてしまいます。

学校での「おもらし」が「からかい」や「いじめ」のきっかけになることもあり、パパやママ、先生方など身近な大人が子どもをサポートしてあげることが大切です。

そのため、子どもがおもらしをしても、叱らずに改善策をとっていくようにしましょう。

安心して学校生活を送るために 子どもと一緒に一歩踏み出そう

ここまで、「おもらし」の原因と改善策についてお伝えしましたが、いかがでしたか?

小学校入学まであと少しなのに、「おもらし」が続いたら親の方が焦ってしまいますね。

しかし、叱ったり怒鳴ったりするのは逆効果です。

「叱ること」、「怒鳴ること」は置いておいて、今回ご紹介した4つの原因から改善策を導き出し、実践してみましょう。

叱らず怒鳴らず「おもらし」の対処をするのは難しいですが、周りの人のこうした働きかけがスムーズな改善につながります。

もう一度原因と改善策をおさらいしてみましょう。

【「おもらし」の原因】
●原因1 遊びに夢中になるから
●原因2 ストレスがあるから
●原因3 習慣になっているから
●原因4 膀胱の病気になっているから(過活動膀胱)

【「おもらし」の改善策】
○「遊びに夢中になる」ときの対策
…「トイレに行くことで遊ぶことより楽しいことがある」と思わせる
…マイナスイメージの声かけよりもプラスイメージの声かけでトイレに誘う
…命令するより、自分でうごいてもらう声かけをする

○「ストレスがある」ときの対策
…短時間でも抱っこしたり抱きしめたりしてスキンシップをとる
…話を聞く時間をつくる
…ストレスを感じていることに対して、安心感を持てるように働きかける
…マイナスイメージの声かけよりもプラスイメージの声かけで接する
…改善するまで根気よく続ける

○「習慣になっている」ときの対策
…着替えやすい服装で過ごす
…時間を決めてトイレに誘う
…排泄メモを参考に、もらしやすい時間にトイレに誘う

○「膀胱の病気になっている(過活動膀胱)」ときの対策
…「過活動膀胱」の症状をチェックし、病院を受診する

なかには原因がいくつか重なっている場合もありますが、目立つ原因から対策を立ててみてください。

子どもと一緒に「おもらし」を直していく気持ちで、まずは親から一歩踏み出してみましょう。

子どもには、いつも味方がいることを感じさせるように、優しく見守ってあげてください。

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