ふざける子供が持つ2つの心理と止めて欲しい時の対処法3つ


「お子さんが授業中ふざけてばかりで困っています」

と、学校の先生から連絡をいただいたとき、子供にどんな対応をしますか?

『子供に注意して止めさせる』と考えた人が多いのではないでしょうか。

実際に、悪ふざけが過ぎる子供には、先生だけでなく親からの働きかけも大切になります。

ただ、一度注意しただけでは悪ふざけが止まらないこともあります。

そのため、「なぜふざけるのか」、「ふざける子の心の動きはどうなっているのか」まで考え、効果的な解決方法を探ることが大切です。

ここでは、子供がふざけてしまう理由やふざける子供の心理について掘り下げ、解決策となる子供への対処法を探っていきます。


ああ困った!小学生の子供の「おふざけ」どうしたらいい?

学校での授業中や、習い事の最中にふざけてしまう子は、園児や小学生の中でよくみられます。

楽しい雰囲気にしてくれることは良いのですが、静かにして欲しいときにふざけてしまったり、授業や習い事の妨げになったりしては、周りに迷惑がかかって親は心配になってしまいます。

日常的にふざけることが多い子の中には、もともとの性格であったり、何らかの原因があったりします。

また、子供だからこそやってしまう場の対応法であることもあります。

ふざける子供は、どうしてその行動をしてしまうのか、どんな心理が働いているのか、一緒にみていきましょう。

子供が「ふざける」のはナゼ?知っておきたい3つの理由

子供がふざける理由には主に3つあります。

同じ「ふざける」行為でも、その理由が違うことがあり、子供に「ふざけること」をやめて欲しい場合は理由を知ることが大切です。

  • 理由1 もともとの性格
  • 理由2 何らかの原因がある
  • 理由3 子供なりの場の対応法

それぞれ、詳しくみていきましょう。

理由1 もともとの性格

子供には、持って生まれた性格があります。

兄弟でも気質や考え方が違うように、その子が持つ性格というものがあります。

「ふざける」ことが多い子供の中には、もともと人から注目を浴びることが好きな子もいます。

面白いことをすると、みんなが楽しんでくれたり、面白がったりしてくれるのが好きでふざけてしまいます。

みんなが楽しく、心が温まるようなふざけ方なら良いのですが、中には周りが迷惑する「悪ふざけ」に発展してしまうことがあります。

理由2 何らかの原因がある

ふざけるのに『なんらかの原因がある』場合、2つのことが考えられます。

1 小さい頃からのしつけが原因
2 発達に関する原因

1の「小さい頃からのしつけが原因」というのは、親や周りの大人から教わったことが影響して「悪ふざけ」を起こしている…と考えます。

子供が小さいと「しつけ」の面で甘くなってしまうことがあり、「まだ小さいからいいか…」と、良くないことでも容認していると、子供が大きくなってからも良くないことを続けてしまうことがあります。

例えば、「お店で走り回る」、「テーブルの上でおどる」など、幼児なら誰でもやってしまう可愛らしい行動についてみてみると、どうでしょう。

小さいころは可愛らしくても、小学生になっても続いていたら、「ふざけている」としか思えませんね。

しかし、当の本人は、「ふざけている」とか「悪いことをしている」とは思っていません。

だって、小さい頃から注意されていないのですから…。

それどころか、「元気で何より」と大人からもてはやされていたら、子供は「お店で走り回る」のも、「テーブルの上でおどる」のも、良いことと勘違いしてしまいます。

良いことと悪いことの区別が曖昧になっていると、小学生になってから注意してもなかなか直らないことがあります。

2の「発達に関する原因」では、子供が持つもともとの特性が原因となっていると考えます。

子供の中には、集団の中にいるのが苦手で騒ぎ出す子や、同じことを繰り返し行う子など、発達に特性のある子もいます。

そうした子は「わざとふざけた行為をしている」わけではないので、その子によって適した対応をしていくことが大切です。

理由3 子供なりの場の対応法

子供なりにその場に対応した結果、「悪ふざけ」として出てしまうことがあります。

場に対応して「ふざける」行為があらわれるのは、以下の3つの項目があげられます。

1 「恥ずかしい」、「怖い」とき 
2 周りに合わせているとき
3 周りの反応を確かめているとき

1の『「恥ずかしい」、「怖い」とき』というのは、子供にとって耐えがたい苦痛を味わっているときに、それを逃れる方法としてふざけてしまうことをいいます。

強く叱責されたり、大声で脅されたりすると、恐怖から自分を守るために「ふざける」ことで、その場をやり過ごそうとします。

2の『周りに合わせているとき』というのは、自分から働きかけようとしたのではなく、「周りの友達がやっていたから」とか「つつかれたからやり返した」とかいう場合をいいます。

友達を注意できれば良いのですが、なかなか難しい子もいます。

3の『周りの反応を確かめているとき』というのは、ふざけることで周囲の反応を窺っていると考えます。

子供なりに学習しようとしている証で、「ここではこんなことをしてもいいんだな…」とか「ここでこれをすると嫌がられるんだな…」というのを、身をもって学んでいます。

幼児や低学年の子によくみられ、褒められる体験や叱られる体験を通して、その場にふさわしい対応を身につけていきます。

そのため、子供がふざけたときに、大人は適した対応をすることが臨まれます。

『家族団らんの場ならふざけて楽しんでも良い』

『授業中はふざけてはいけない』

『真剣な話をしているときはふざけてはいけない』

など、同じ「ふざける」でも、場によって良い時と悪いときがあることを伝えてあげましょう。

ふざける理由として大きく3つの理由があげられました。

つぎに、子供の心理についてみていきましょう。

「なぜいま、ここで!?」ふざける子供に働く2つの心理とは

子供が「ふざける」とき、大人は「なぜ今!?」と理解に苦しむときがあります。

そのとき、ふざける子供の心の中には、以下の2つの心理のどれか、もしくは両方が働いています。

  • 注目を集めたい
  • 場を和ませたい

こうした子供の気持ちを知っておくと、対応がしやすくなります。

それぞれ、どんなことか具体的にみていきましょう。

「注目を集めたい」心理が働く場面

子供が「注目を集めたい」とき、「ふざける」という形で注目を浴びようとします。

この場合の「注目」とは、「すごいね」などの賞賛や「うるさい」などの注意、周りが振り向くなどの反応すべてが含まれます。

つまり、良い意味でも悪い意味でも、誰かに反応してもらうことを「注目」と捉えます。

この、【注目を集めたい心理】は、ふざける理由でご紹介した項目では、理由1の『もともとの性格』や、理由2-1の『小さい頃からのしつけが原因』の項目で当てはまります。

もともと周りの注目を集めるのが好きな子は、ふざけることで注目を浴びます。

普段はムードメーカー的な存在でみんなを楽しませてくれることもありますが、場を違えると周りから「困った子」として映ってしまいます。

授業中や習い事で、注目を浴びようとしてやってしまう「悪ふざけ」がそれです。

友達をくすぐったり、わざと大きな音を出したりして、注意を向けます。

自分が注目されると、ふざける子供にとっては達成感でいっぱいです。

「ふざける」ことで、先生から大声で注意され、まわりからの「注目」を浴びることができ、「またやろう」とまで考えているかもしれません。

『小さい頃からのしつけが原因』でご紹介した内容では、「場所によってふざけてはいけないこと」を知らない子供は、単に親や周りの注目を浴びようとふざけていると考えられます。

対処法で詳しくご紹介しますが、しっかりと対応することが大切です。

「場を和ませたい」心理が働く場面

子供は「場を和ませたい」ときも、「ふざける」行動をとることがあります。

この場合、普段はあまりふざけない子が「ふざける」ことがあります。

ふざける理由の3『子供なりの場の対応法』でご紹介した項目があてはまり、自分に対しても誰かに対しても、「場を和ませたい」心理が働いています。

たとえば、理由3-1『「恥ずかしい」、「怖い」とき』にふざけてしまう子がいるように、子供は不安を感じたときにふざけてしまうことがあります。

これは、不安に対応する方法をまだ知らないからです。

もし、怖いテレビを観た日の夜中にトイレに起きてしまったら、お化けが出てきそうで不安になってしまうかもしれません。

そんなとき、歌を歌って気を紛らわすことってありませんか?

これも、不安に対して、心を落ち着かせるために、その場を和ませようとしている行為です。

子供も、授業中に先生から叱られたり、習い事でテストがあったりして、不安な状況になると、「ふざける」ことで、自分の心と場を和ませようとしてしまうのです。

ただ、先生に叱られているのに「ふざける」ことや、テスト前なのに「ふざける」ことは、周りから見て「良くないこと(相手に不快感を与えること)」です。

叱られている最中に子供がふざけていては、先生もヒートアップしてしまいますね。

ここでも、しっかりとした対応が必要です。

どうしたらよいのか、次の項でみていきましょう。

どうしたらいい?親ができる「ふざける」子供への対処法3つ

ふざける理由とふざける心理が分かったところで、対処法をみていきましょう。

対処法として3つの方法が挙げられます。

  • 対処法1 真剣に話し合う
  • 対処法2 対応へのアプローチ
  • 対処法3 良いことと悪いことの区別をつける

それぞれ、どういったことかみていきましょう。

対処法1 真剣に話し合う

対処法の一つとして、「真剣に話し合う」ことが挙げられます。

これは、『理由1 もともとの性格』や、『理由2-1 小さい頃からのしつけが原因』の場合に役立ちます。

「もともとの性格」でふざけている場合、性格を変えることはできませんが、悪い方に向かわないように対処することはできます。

「小さい頃からのしつけ」が曖昧でふざけている場合、良いことと悪いことの線引きをハッキリとさせ、悪い方に向かわないように対処するようにします。

どちらの場合であっても、日常的にふざけているときは、「人に迷惑をかけるふざけ方」をしないことを伝えます。

いわゆる「悪ふざけ」ですが、子供は口で言うだけでは伝わらないことがあります。

失敗を繰り返す中で学んでいくことのほうが多いので、もし、周りから「悪ふざけ」について申告があったら、その都度対応するようにしましょう。

例えば、先生から「授業中に悪ふざけが多い」と伝えられたり、習い事で「○○くんからちょっかいを出されて困っている」などと告げられたりした場合に、子供と真剣に話し合う場を設けます。

話し合う場では、子供に響く言葉で伝えるようにしましょう。

「学校から連絡きたよ!またふざけたんでしょ!」

「○○君のママから連絡来たよ!もう、ちょっかい出さないでよ!」

「いい加減にしなさい!」

こうした言い方では、子供の心に響きません。

上記の言葉は、子供に対してすでに「ふざける子」というレッテルを貼ってしまっています。

「(あなたはふざける子だから)またふざけたんでしょ!」

「(あなたはふざける子だから)もう、ちょっかい出さないでよ!」

「(あなたはふざける子だから)いい加減にしなさい!」

といった具合です。

これでは、子供にとって自分の気持ちを開く隙がありません。

まずは、子供の気持ちを聞いてみることから始めてみましょう。

子供にレッテルを貼らないように会話を始めるのがポイントです。

「あなたがそんなことするとは思えないんだけれど、学校から「ふざけている」って連絡があったの。本当だったら、どうしてふざけたのか、理由を教えてくれない?」

そうして、子供からふざけた理由を聞き出し、子供の気持ちに寄り添いながら話し合うことが大切です。

子供によっては、「ぼく(わたし)はふざけていない」とか「覚えていない」と言うこともありますが、低学年では「ふざける」の行為がどんなことかわかっていないことがあります。

  • 授業中に友達をくすぐる
  • 習い事で大きな音をたてる
  • 先生の話を聞かずにおどける

上記の3つのように、授業中や習い事中の「ふざける」行為はいろいろとあります。

これらの行為は、良くないことだと懇々と言い聞かせるようにしましょう。

対処法2 対応へのアプローチ

子供自身が変わろうとするアプローチと、子供に対して親が行うアプローチが対処法として挙げられます。

  • アプローチ1 子供に対応の仕方を教える
  • アプローチ2 親(先生)が子供への対応を改める

理由3-1『「恥ずかしい」、「怖い」とき』にあったように、叱られているのにふざけてしまう子には、この対処法が役立ちます。

「子供に対する対処法」と「親(先生)に対する対処法」があり、2つを並行して行うことでより効果的に対処していきます。

【子供に対応の仕方を教える】とは、叱られている時にとるべき態度を教えることです。

真剣に叱っているときに、ヘラヘラ笑っていては、叱ってくれる相手に失礼です。

「悪いところを良くして欲しいから、叱っている」ということを子供に伝え、叱られている時はその話を良く聞く、反省している姿勢を見せるなど、叱られている時にとるべき態度を伝えておきましょう。

それでも、叱られる恐怖でヘラヘラしてしまう子はいるものです。

何度叱っても子供がヘラヘラしているときや、先生から「いつも笑っていて反省していない」と連絡があるときは、叱る側の対応を改めることを考えましょう。

【親(先生)が子供の対応を改める】とは、子供に合った叱り方にシフトチェンジすることです。

子供の個性がバラバラなように、叱られたときの受け止め方も子供によってバラバラです。

叱られることを正面から受け止めて反省できる子もいれば、叱られることを受け止められず、心が折れてしまう子もいます。

心が折れてしまうと、反省するどころか子供の自信がなくなってしまい、反抗という形であらわれることがあり、注意が必要です。

強く叱っても効き目がないと感じているときは、いつもと違ったアプローチを考えてみてください。

以下の4つの流れで叱ると子供の心に響きやすいです。

1 叱る前に子供の意見を聞く
2 共感できる部分は共感する
3 いけない部分は丁寧に伝える
4 どうすべきか一緒に考える

「叱る」と言っても、強い口調で抑圧するわけでもなく、脅すわけでもありません。

子供自身の考えを聞いた上で、子供の気持ちに寄り添いながら、いけない所を正していきます。

そして、そのときどう対応するのが良かったのか、子供と一緒に考えることができれば、次に同じことを繰り返しにくくなります。

「ふざけたらダメでしょ!」

だけでは、子供は叱られた嫌な気分を相手にぶつけてしまい、改善につながりにくくなることがあります。

そこで、先ほどの4つの流れで叱ってみましょう。

1(意見を聞く)「どうしてふざけたのかおしえて?」

2(共感する)「そうか、友達がくすぐってきたんだね、それはやりかえしたくなるね。」

3(丁寧に伝える)「でも、授業中に一緒になってやるのは良くなかったね。先生の授業が止まって、周りの子が勉強できなくなったかもしれないよ。」

4(一緒に考える)「次にやられたら、友達に注意してみるといいね」

この場合、理由3-2『周りにあわせている』場合にも使える伝え方です。

このように、4つの流れを意識して子供に伝えていきましょう。

対処法3 良いことと悪いことの区別をつける

理由3-2『周りに合わせているとき』や、理由3-3『周りの反応を確かめているとき』に役立つ対処法です。

この対処法は、小さい頃から「善し悪しの判断」ができるように、積み重ねていくことが大切です。

たとえば、「人のものを盗んではいけない」、「命の危険があることをしてはいけない」など、してはいけないことをしっかりと伝えていれば、子供はそれらが悪いことだと判断し、やらなくなります。

しかし、「ふざける」ことがいけないこととは、子供は理解していないかもしれません。

子供が小さいころ、健診や病院などで大人同士が話をしているときに、子供が騒いだりおどけたりすることはありませんでしたか?

そのとき、大人はどんな対応をしたでしょう。
1 特に何もしない
2 「元気だわー」と笑って過ごす
3 「大事なお話をしているから静かにしてね」と言う

1と2は子供の騒ぐ行動に対して、受け入れていますが、3は騒ぐ行動をやめるよう注意しています。

こうした子供が小さいときに行った大人の対応が、大きくなった子供の行動に結びついていきます。

1と2の対応をある程度大きくなってからも続けていると、子供は「親が誰かと話をしていても騒いで良い」、「病院で騒いでも良い」といった判断をしてしまいます。

「ふざける」ことは、こうした間違った判断の延長にある場合があり、善悪の判断を小さな頃から少しずつ教えていくことは大切です。

もし、善悪の判断が難しくて『周りに合わせている』ときや、『周りの反応を確かめている』ときがあっても、その都度適した対応を教えていくようにしましょう。

良いことと悪いことの判断がつき、悪いことをしている友達に注意できる勇気が持てれば、「悪ふざけ」が減ることでしょう。

「ふざける」子の気持ちに寄り添いながら改善していこう

ここまで、ふざけることの理由や心理、まわりの対処法についてみてきました。

「ふざける」行為には理由があり、そのなかでどんな心理が働いているのかがわかりましたね。

ここで、もう一度おさらいしておきましょう。

【子供がふざける理由3つ】
●理由1 もともとの性格
●理由2 何らかの原因がある
  1 小さい頃からのしつけが原因(やって良いことと悪いことが曖昧)
  2 発達に関する原因(何らかの特性を持っている)
●理由3 子供なりの場の対応法
  1 「恥ずかしい」、「怖い」という感情が「ふざける」行為にあらわれる
  2 周りに合わせている(友達が面白そうにしていたから…など)
  3 周りの反応を確かめている(大人に対して)

【ふざける子供の心理2つ】
●注目を集めたい
●場を和ませたい
 

【ふざける子への対処法3つ】
●対処法1 真剣に話し合う
●対処法2 対応へのアプローチ
 (子供に対応の仕方を教える/親(先生)が子供への対応を改める)
●対処法3 良いことと悪いことの区別をつける

子供が「ふざける」ときには、2つの心理が働いているように、子供は親や周りの関心が欲しくてふざけてしまいます。

対処法として挙げてはいませんが、普段から子供に関心を持って接していると、過剰に注目をひいてふざけることは少なくなります。

それでも、「ふざける」行為で迷惑しているとき、やめて欲しいときは、「なぜふざけてしまうのか」、「そこでふざけると周りはどう思うのか」など、子供の気持ちに寄り添いながら改善を目指していきましょう。

対処法を試してもすぐには結果に結びつかない子もいます。

そこで「うまくいかない…」と、悲観的にならず続けていくことが大切です。

少しずつでも、小さなステップを重ねていきながら子供は大きくなっていきます。

イライラすることもあるかもしれませんが、対処法を続けながら根気強く「待つ」のも親の役目です。

子供の心理を理解して、子供に合った対処法を実践し、ベストな解決策が見つかると良いですね。

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