子供の歯の生え変わり期にこそ考えたい、キシリトールの使い方


キシリトールはむし歯予防に効果的。子供のおやつにはキシリトール配合のお菓子を食べさせましょう。なんてよく耳にしませんか?

国民生活センターの調査によれば、回答者の約7割が「キシリトールはむし歯の原因になりにくい印象。」と答えています。

『キシリトール=むし歯予防に役立つ』のイメージが広く浸透しているようです。でも、実際のところどんな効果があるかご存知ですか?

そもそもキシリトールってナニ?

ガムなどでお馴染みのキシリトール。人工物だと思いがちですが、自然界にも多く存在する天然由来の甘味料で、実は人体の肝臓でも作られている成分です。

普段口にしているお菓子のキシリトールガムやアメなどは、主に白樺や樫の樹液などから抽出された成分が使用されています。

海外でも医療・食品用として認可されており、日本では1997年4月に食品添加物としての認可が下りてから広く普及して一般に認知されました。

砂糖と同程度の甘みがありますが、カロリーは砂糖の75%ほどで低カロリー、血糖値にも影響を与えません。

他にも、キシリトールは吸熱反応という性質を持っています。

食べた時の冷涼感を謳っている商品はこの性質を利用したもので、唾液で溶ける際に周りの熱を吸収するので、冷たい=ひんやりという感覚が得られるんです。

キシリトールでおなかを壊す?

キシリトールを多量に摂取するとおなかがゆるくなると言われますが、これはキシリトールが糖アルコールの一種のため起こる現象です。

糖アルコールは小腸で消化・吸収がされにくい成分です。吸収されずに小腸を通過した糖アルコールが大腸に達すると、大腸内の浸透圧が高まります。
この浸透圧を下げるために体内の水分が大腸に集中するため、一過性の下痢を起こすものだと考えられています。

下痢症状はあくまで一時的なものであり、病気由来の症状とは異なりますのであまり心配しなくても大丈夫です。

そもそも、キシリトールは国連食糧農業機関と国際保健機関が作る合同規格において『1日の許容摂取量を限定しない』と評価した安全性の高い食品です。

この事から“多量に摂取してお腹がゆるくなる”のは個人の体質によるものが大きいと思われます。

ちなみにキシリトール1回の摂取時における最大無作用量(影響が出ない最大値)は参考値として

男性0.3g/㎏(体重)
女性0.3g/㎏(体重)

となっています。

例えばロッテキシリトールガムの場合、メーカー推奨の摂取方法は1回に2粒。ガム一粒は1.2gほどなので、合計2.4g。

ガムを一度にたくさん口に入れることはまずないので、キシリトールを子供が過剰に摂取してお腹を壊してしまう心配はありません。

とは言え、身体の小さな子供に全く影響が出ないとも言い切れないので、食べすぎには気をつけて。

むし歯とキシリトール

キシリトールは何故むし歯予防に役立つと言われているのでしょうか?

キシリトールは唾液の分泌を促し、歯垢とむし歯菌を抑制させ、歯の再石灰化を促進させるといった効果があると言われています。

むし歯とは、ミュータンス菌が糖を養分として酸を作り出し、この酸で歯が溶かされた状態のことを言います。

キシリトールは甘さはあるものの、“糖ではない”のでミュータンス菌のエサとなる事はありません。ココがポイントです。

【キシリトールはミュータンス菌が取り込んでも代謝出来ない。】

つまり酸を作り出す事が出来ないのです。しかし、ミュータンス菌は糖と勘違いしてキシリトールを取り込み続けるので栄養不足に陥り、活動が弱まって数が減って行きます。

この働きこそがキシリトールがむし歯予防に役立つ特性なんです。

更に、甘みも強いのでキシリトールを取り込んだ刺激で唾液がたくさん分泌されます。唾液には歯の再石灰化と、酸を中和してむし歯菌を洗い流すといった効果があります。

直接ミュータンス菌を減らす作用は唾液にはありませんが、酸を作らせないというキシリトールの特性と組み合わさる事により、むし歯予防に効果を発揮するようになります。

ただし、一回二回の摂取ではキシリトールの効果は得られません。毎日続ける事が大切です。

継続的なキシリトールの摂取が、むし歯になりにくい口内環境作る近道となり、むし歯予防に繋がって行きます。

生えかわり期の子供の歯とむし歯

子供の歯の生え変わりはおおよそ
前歯:5~7歳
奥歯:10~12歳
までの間に生え変わります(※個人差があります)。

乳歯というと、幼児の歯という印象ですが、実は小学校高学年まで奥歯は乳歯なんですね。永久歯がすべて生え揃うのは概ね14歳頃と言われています。

永久歯に変わってから前歯は5~6年、奥歯で2~3年の間は特にむし歯になりやすいとされています。これは、 生えたばかりの永久歯はむし歯菌の出す酸に弱いためです。

そこでキシリトールの出番です。

口内の酸化を防ぐためにキシリトール食品を上手に活用してむし歯予防に努めましょう。

キシリトール食品の上手な選び方

キシリトールが含まれる食品はガムやアメ、チョコレート、グミなど幅広くありますが、むし歯予防効果が期待できるのはガムかタブレットです。

長く噛み続ける事によって唾液の分泌が促され、むし歯予防効果のUPが期待できるためです。

特に歯科専用ガムがおススメです。歯科専用のものはキシリトールは含有率100%で、市販品よりも固く出来ているので、咀嚼機能の発達も促せます。

キシリトールの含有率が何故重要かと言うと、濃度が50%以上ないとあまりむし歯予防効果が期待できないためです。

市販品のガムを購入する場合も含有率が50パーセント以上のものを探してみましょう。50%以上か確かめるには

キシリトール含有率(%)=キシリトール(g)÷炭水化物(g)×100

で計算します。

キシリトールがどの程度含まれているかは、商品の成分表に記載されています。是非チェックして計算してみて下さい。

そこまでこだわらず子供のおやつとして気軽に食べたいという場合も、市販品にはその他の甘味料が一緒に含まれている場合も多いので、成分表を確認して砂糖不使用のものを選びたいですね。

キシリトールでむし歯予防のアシスト

キシリトールとむし歯について解説してきましたが、注意して欲しいのはキシリトールだけでむし歯予防は出来ないという事。

規則正しい食生活、適切なオーラルケアと組み合わせて初めてキシリトールは効果が発揮されます。

歯の生えかわり期にある子供の口の中は、乳歯と永久歯が混在しているため段差があり、溝も深くなっているので汚れが溜まりやすい状態です。

細かい所までブラシが届きにくく、子供の歯磨きだけでは不十分な場合があります。このため、小学校低~中学年くらいまでは親の仕上げ磨きが必要とされています。

子供のブラッシングでは行き届かなかった細かい部分をパパやママが見てあげましょう。キシリトール配合のハミガキやマウスウォッシュなどを取り入れるのもおススメです。

親子で楽しく美味しくキシリトールを活用して下さいね。

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