子供の肥満は早めに解消したほうがいい?!小児肥満の原因と対策
子供が成長してくれるのは嬉しいけれど、最近、体の大きさが気になる・・・お子さんが同年代の子よりも「ぽっちゃり」していて心配なパパ・ママもいるのではないでしょうか?
子供の体型が気になるときは、肥満の度合いを確認して正しい対策をおこないましょう。子供の肥満は、心身や将来に悪影響をあたえる可能性があるので早期発見と対応が大切になります。特に学校の定期健診で「肥満」の結果が出たときは、子供の体重に注意して効果的な対策をおこないましょう。
子供の肥満解消には、パパ・ママの理解とサポートが重要になります。親子で一緒に頑張って、子供の太りすぎを解消できたら素敵ですよね。
ここでは子供の肥満を診断する計算式、肥満のデメリット、原因、改善方法をご紹介しますので、お子さんの体重が気になり始めたときにお役立てください。
子供の肥満度をチェックする方法
近年、子どもの肥満が増えており、小中学生の10人に1人は肥満であるといわれています。
でも、子供の肥満は見た目だけでは判断しにくいことがありますよね。たくさん食べる子でも、身長が高くて活動的であれば「体が大きいだけかもしれない」と肥満を見逃してしまうケースもあります。
また、現在太り気味でも、成長して身長が伸びれば標準体型になるかもしれないと思うパパ・ママもいますよね。確かに、身長が伸びれば肥満が解消されやすくなりますが、成長のスピードや度合いは子供によって異なるので、必ずしも肥満が解消できるという保証はありません。
また、太りやすい食事や生活習慣を続けている限り、身長が伸びても肥満は解消されにくくなります。
子供の肥満は、生活習慣病のリスクや将来の太りやすさに関係してきます。そして、見た目の問題、運動能力の低下、自信・自尊心の低下、学校生活などにも影響をおよぼす可能性があります。大切なお子さんの健康と未来を守るためにも、なるべく早い段階で肥満を解消しましょう。
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子供の肥満を診断する計算式
外見だけでは、子供の肥満がわかりにくいことがありますよね。お子さんが「ぽっちゃり」なのか「太りすぎ」なのか知りたいときは、子供の肥満度を計算しましょう。
子供の肥満を調べる計算式には「ローレル指数」や「肥満度」などがあります。
「ローレル指数」と「肥満度」の計算方法は、以下のとおりです。
- 【ローレル指数】・・・【計算式】体重[kg]÷(身長[cm]×身長[cm]×身長[cm])×10000000【判定基準】100以下:やせすぎ、101から115:やせぎみ、116から144:標準、145から159:太りぎみ、160以上:太りすぎ
- 【肥満度】・・・【計算式】肥満度[%]=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100[%]【判定基準(学童期)】-30%:高度やせ、-20%:やせ、-15%:やせ前段階、20%から30%:軽度肥満、30%から50%:中等度肥満、50%以上:高度肥満
「肥満度」を計算するときは、事前に子供の「年齢・性別・身長」をもとに標準体重を調べておきましょう。子供の肥満をグラフで調べたいときは「成長曲線」を参考にすることもおすすめです。
子供のメタボを診断する方法
小児肥満の増加にともなって、大人だけなく、子供の「メタボリックシンドローム(メタボ、メタボリック症候群)」も問題になっています。
「小児期メタボリックシンドローム(小学生)」の診断方法は、以下のとおりです。
- 【ウエスト周囲径[cm]】・・・75cm以上、または「ウエスト周囲径[cm]÷身長[cm]=0.5以上」
- 【血圧[mmHg]】・・・収縮期(最大):125mmHg以上、拡張期(最少):70mmHg以上
- 【脂質異常】・・・中性脂肪:120mg/dl以上、HDLコレステロール:40mg/dl未満
- 【空腹時血糖】・・・100mg/dl以上
ウエスト周囲径の項目と、他の2つ以上の項目で診断基準を満たすと小児期メタボリックシンドロームとなります。小児期メタボリックシンドロームの診断が出たときは、小児肥満外来を受診しましょう。
子供の肥満によるデメリット
子供が肥満になるとどんな影響があるのか、パパ・ママは気になりますよね。子供の肥満は病気のリスクや将来への影響、心理的トラブルといった多くのデメリットにつながります。子供の肥満と向き合うためにも、心配されるポイントを確認しましょう。
ここでは、子供の肥満によるデメリットをご紹介します。
生活習慣病のリスク
肥満のせいで体に脂肪がたまると、生活習慣病のリスクが高くなります。
生活習慣病になるとメタボリック症候群や肥満症となり、さまざま病気が合併する可能性があります。
肥満による病気のリスクは、以下のとおりです。
- 【生活習慣病】・・・高血圧、高血糖、高脂血症、脂質異常症、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、脂肪肝(肝機能障害の可能性)などのリスク。
- 【睡眠時無呼吸症候群(SAS)】・・・発達の遅れ、成長障害、落ち着きがなくなる、攻撃的な人格に変化、成長ホルモンの分泌低下、低身長、胸郭変形などのリスク。
このほかにも、以下のような肥満による体へのリスクが考えられます。
- 心肺機能の低下
- 筋肉の衰え
- 循環器・呼吸器・骨・関節・筋肉への負担
- 骨折・関節障害(関節炎など)
- 月経異常
- 皮膚所見(股ずれや皮膚線条など)
将来への影響
子供の肥満は、大人になってからも影響をおよぼす可能性があります。
たとえば、子供の頃に肥満だと大人になっても太りやすくなることが指摘されています。小児肥満の約70%が成人肥満に移行すると考えられており、子供時代に肥満だと成人以降も肥満になる可能性が高くなります。
また、子供の肥満は、将来における「心筋梗塞」や「脳梗塞」のリスクにも影響する可能性があります。心筋梗塞や脳梗塞は起こるまでに長い時間経過が必要ですが、小児肥満によって早い時期に生活習慣病になると発症リスクが高くなります。
学校生活の問題
子供の肥満は、体だけでなく心にも影響をおよぼす可能性があります。肥満のせいで心肺機能が低下して運動が苦手になると、自信低下や劣等感を持つ原因につながります。また、肥満のせいでいじめの対象になることもあり、集団になじめなくて学校嫌いになるケースもあります。
子供の大切な心を守るためにも、なるべく早い時期に肥満を改善しましょう。
子供が肥満になってしまう原因
子供の肥満は「症候性肥満」と「単純性肥満」にわけられます。症候性肥満は病気が関係している肥満であり、単純性肥満は病気とは関係がない肥満になります。一般的に子供の肥満の多くは、単純性肥満になります。
子供が肥満になる原因には、太りやすい食事や生活習慣などがあげられます。子供が太る原因を確認して、効果的な対策をおこないましょう。
ここでは、子供が肥満になる原因をご紹介します。
1. 食生活
食生活が乱れると、肥満の原因になります。たとえば「食べすぎ、早食い、まとめ食い、ながら食い、朝食の欠食、不規則な食事時間、夜食」などの食生活を続けていると脂肪がつきやすくなったり、太りやすくなったりする可能性があります。
- 【食べすぎ】・・・摂取エネルギーが増えるので、余ったエネルギーが脂肪としてたくわえられやすくなります。
- 【早食い】・・・噛む回数が減り、脳の満腹信号が送られる前に食べすぎてしまいます。また、血糖値が急上昇してインスリンが過剰分泌することで、脂肪がつきやすくなります。
- 【まとめ食い】・・・食事回数が減ると脂肪をたくわえる働きが高まるので、脂肪がつきやすくなります。
- 【ながら食い】・・・テレビを観たり、本読んだりしながら食べると、食事や噛むことに専念できなくなります。また、食べすぎの原因にもなります。
- 【朝食の欠食】・・・朝食を抜くと脂肪だけでなく筋肉量が減って基礎代謝が落ちるので、リバウンドしやすくなります。
- 【不規則な食事時間】・・・不規則な時間に食事をすると、太りやすくなります。
- 【夜食】・・・就寝前に食事をすると、栄養が消化吸収されやすくなって太りやすくなります。
上記のほかにも、スナック菓子やジュースの飲みすぎ、高カロリーの料理といった食生活も肥満の原因になります。
2. 運動不足
運動不足になると消費エネルギーが減るので、太りやすくなります。子供が運動不足になる理由には、塾通いやテレビゲームなどが考えられます。勉強や習い事のせいで外で遊ぶ時間がなかったり、部屋でテレビゲームばかりして外で遊ばなかったりすると、体を動かす機会が減って運動不足になります。
また、車の移動が増えて歩く機会が減ったことも運動不足につながっています。
3. 不規則な生活
不規則な生活で睡眠不足になると、太りやすくなる可能性があります。睡眠不足になると食欲抑制物質「レプチン」が減少して食欲が増えます。また、夜遅くまで起きていると食べる機会が増えます。食欲や食べる機会が増えると摂取カロリーも増加しやすくなるので、肥満の原因になります。
4. 親の影響
子供の肥満は「遺伝」と「生活習慣」が関係していると考えられています。そのため、両親が肥満であったり、親子で太りやすい生活習慣を送っていたりすると子供が肥満になる可能性があります。また、親が過保護で、子供が欲しがる食べ物を何でもあたえてしまうことも肥満の原因になります。
子供の肥満を改善する方法
子供の肥満は、早い時期に対応するほど改善しやすくなります。反対に、対応が遅れると太りやすい生活習慣が長引いてしまうので改善しにくくなります。そのため、子供の肥満は学童期までに解消したほうが良いと考えられています。
子供の肥満を解消するためには、太りやすい食事と生活習慣の見直しがおすすめです。無理のないダイエット方法で、子供の発育と健康を守りたいですね。
ここでは、子供の肥満を改善する方法をご紹介します。
対策1. 食生活の改善
「摂取エネルギー」が「消費エネルギー」よりも多くなると、肥満になります。子供の成長に必要な栄養を確保しながら、太りやすい食生活を改善しましょう。
食生活の改善ポイントは、以下のとおりです。
- 【栄養バランスの良い食事】・・・子供の成長のためにも、1日30品目を目安にして食品からとるように工夫しましょう。偏った食事はNGです。
- 【よく噛んで食べる】・・・早食いなどで咀嚼回数が減ると、満腹感が得られにくくなって食べすぎてしまいます。食事はよく噛んでゆっくり食べましょう。
- 【食べ物を選ぶ】・・・脂身は避けて、ご飯などの主食はとりすぎないように注意しましょう。ヘルシーで満腹感を得やすい食材「野菜類、キノコ類、海藻類」などがおすすめです。
- 【飲み物を選ぶ】・・・清涼飲料水や炭酸飲料水はなるべく控えましょう。カロリー「オフ」や「ゼロ」の飲み物でもカロリーが含まれているので、水やお茶がおすすめです。
- 【規則正しい食事】・・・1日3食規則正しい食事をしましょう。朝、昼、夜と毎日同じ時間に食べることがポイントです。不規則な食事は、肥満の原因になります。
- 【おやつを工夫する】・・・おやつは時間と量を決めましょう。おやつは小皿に入れて食べる量を調節します。栄養が高くて低カロリーな食材「果物」などがおすすめです。
- 【調理法を工夫する】・・・テフロン加工のフライパンなどを使ったり、揚げるときは素揚げにしたり、フライよりも茹でたりするなどして摂取カロリーを減らしましょう。
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対策2. 運動不足の解消
運動不足になると消費エネルギーが減るので、太りやすくなります。食事療法とともに運動療法をとり入れて、効果的に肥満対策をおこないましょう。外で遊びながら全身を動かせると良い運動になります。たとえば、「ウォーキング、軽いジョギング、球技、水泳」といった運動がおすすめです。
運動の目安は、できれば毎日、最低週2回から3回を目安にして15分から20分以上の継続が理想的です。運動が苦手な子供は簡単なストレッチから始めて、少しずつほかの運動に慣れさせていく方法がおすすめです。
対策3. 規則正しい生活
不規則な生活は肥満につながります。規則正しい生活習慣を身につけて、子供の肥満を改善しましょう。
規則正しい生活のポイントは、以下のとおりです。
- 【規則正しい食事】・・・食事は1日3食、「朝・昼・夜」で毎日決まった時間にとりましょう。食事の際は、よく噛んでゆっくり味わうことがポイントです。朝食の欠食や夜食はNGです。
- 【早寝早起き】・・・不規則な生活リズムで睡眠不足になると、太りやすくなります。睡眠不足の子供は肥満になりやすくなるので、早寝早起きを心がけましょう。
- 【体重を記録する】・・・週1回・朝に体重を測定して記録しましょう。定期的に体重測定することで本人が意識するようになりますし、体重の増減もわかります。
- 【テレビなどの時間を決める】・・・テレビやテレビゲームなどは時間を決めて、それを守らせましょう。部屋の遊びを減らして外の遊びを増やすと、運動不足解消につながります。
対策4. 家族みんなの協力
子供の肥満を改善するためには、家族みんなの協力が必要です。子供だけではむずかしいダイエットも、家族の応援があれば頑張れますよね。また、具体的な方法で、パパ・ママが子供のダイエットをサポートすることもできます。
家族が協力できるポイントは、以下のとおりです。
- たくさん褒めて子供のやる気を出す
- 子供の手の届く場所にお菓子やジュースを置かない
- 親戚の家でおやつをもらわない
- 着替えなどは安易に手伝わない
- 一緒に外で遊ぶ機会を増やす・・・など
親子の連携プレーで、子供の肥満を改善できたら素敵ですよね。
対策5. 病院の受診
子供の肥満は、早期に発見・治療することが大切です。子供が肥満になる原因には病気が関与している場合もありますし、高度肥満の場合にはすでに糖尿病や脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などの病気になっている可能性もあります。学校の健康診断で「肥満」の結果が出たときは、一度病院を受診しましょう。
病院の受診が必要な「肥満」の目安は、以下のとおりです。
- 【良性肥満】・・・肥満度30%未満、肥満度の増加が2年以上10%未満。
- 【悪性肥満】・・・肥満度30%以上、または肥満度の増加が2年以内10%以上。
- 【症候性肥満の疑い】・・・身長の伸びが悪い上に、肥満度が増加している。
子供の肥満は親のサポートで早めに改善しましょう!
いかがでしたか?
子供の肥満は、生活習慣病や成人肥満のリスクが高くなるので早めの対応が必要です。太りやすい生活習慣が長引くと改善しにくくなるので、学童期(小学生)までに肥満を解消したいですね。子供の肥満をチェックするためにも、定期的に家庭で体重を測定・記録することをおすすめします。
子供の肥満は「ローレル指数」や「肥満度」などの計算式で診断できます。診断結果が「肥満」になったときは、子供の体重に注意しながら、食事や生活習慣を見直して肥満対策をしましょう。
パパ・ママの上手なサポートで、子供の肥満を改善できたら素敵ですよね。