キラキラネームをつけて後悔…改名?通称?親はどうしたらいい?
小学生の我が子。名前はキラキラネーム。
後悔してもしきれない…。悩みや不安でいっぱいの親御さん。
改名の手続きや通称名の使用について、わかりやすくご紹介します。まずは知識を得ましょう。
子どもが今の名前のままの場合は…?もう親御さん自身、前向きに生きていくしかありません。心をほんの少しでも軽くする考え方や気の持ちようについても、お伝えしていきます。
改名ってすぐにできるの?
キラキラネームをつけて後悔。「改名」が真っ先に思い浮かぶ親御さんも、多いのではないでしょうか。
思っているよりも簡単ではない
まず読み方だけを変える場合、たとえば「陽菜(ひな)」から「陽菜(はるな)」に変える。これは「改名」ではなく、比較的簡単に可能です。
自治体に登録されている名前の読み方を変えるだけで、戸籍の内容を変更するわけではないからです(戸籍には漢字の名前のみ登録されています)。方法は、市区町村の役所・役場に問い合わせてみましょう。
じゃあどうすれば改名できるの?
改名の手続きについては、戸籍法で規定されています。「正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない」と記されています。
ポイントは「正当な事由」と、それが「家庭裁判所に認めてもらえるか」という部分です。
じゃあ「正当な事実や理由」って、たとえばどんなことが挙げられるの?と疑問がわきます。具体的には以下のような例があります。
【2】難しくて正確に読まれず、著しい支障がある
【3】異性や外国人と紛らわしく、著しい支障がある
【4】親族や近隣に同姓同名者がいて不便がある
【5】犯罪者に同姓同名者がいる
【6】神官や僧侶となった場合や逆にやめた場合
【7】過去の経緯から著しい精神的苦痛があり著しい支障をきたす
【8】長年「通称」として使用し、それを本名にしたい
「キラキラネームを改名したい」となると、上記の【1】【2】【3】が当てはまるでしょうか。
しかし親御さんやお子さん、周囲の方々が「著しい支障がある」と思っても、家庭裁判所に認めてもらえなければ改名できません。
お子さんが小学生で現在目立った支障がない場合など、まず難しいと言えるでしょう。しかし乳幼児期から認められたケースもあります。
個別の状況にもよりますし、裁判所の考え方にも左右されるでしょう。一概には言えないところなのですね。
改名の申請方法
お子さんが15歳未満の場合は、法定代理人(両親など)が申請できます。詳細は裁判所のHPに載っていますが、主な流れは
【2】名の変更許可申立書をダウンロードし必要事項を記入する
【3】戸籍謄本と収入印紙800円分を用意する(連絡用の郵便切手については裁判所に確認)
【4】居住地管轄の家庭裁判所に書類一式を提出する
改名できるか否かの決定がなされる前に、家庭裁判所からの質問に回答したり書面照会や呼び出されたりするケースもあるようです。
これだけの経緯を経て、審判が下されます。認められた場合は、改名変更許可書をもらい、本籍地の役所・役場の戸籍担当窓口で改名手続き、という流れが主なようです。
【1】【2】がポイントとなることがわかるでしょう。名前を変えたい深刻な事情・理由があっても、それをきちんとアピールできなければ意味がないわけです。
弁護士に相談するのも一つ
最近では、改名の申請前に弁護士に相談する人も増えているようです。
たしかに、家庭裁判所が最初に目を通すのが提出された書類でしょう。この書類をいかに作成するかがポイントとなるのは、前述の通りです。
ただ、弁護士に相談すると、通常30~50万円前後の費用がかかるようです。
弁護士でなくても、このようなことが得意そうな友人知人に相談して書類作成を手伝ってもらうのも、よいかもしれませんね。
申請する前に知っておきたいこと
実際に改名できる場合も、以下のような可能性もあることを視野に入れておけるとよいでしょう。
- お子さんが新しい名前に慣れるのに時間がかかる
- 友人知人に伝えるのが思ったより大変
- お子さんが「やっぱり前の名前の方がよかった」と言う
親子共々、本当に深刻な事情や理由がある、長年苦労してきたなどの場合は、上記の苦労などは小さなことかもしれません。
しかし、親御さんほどお子さんは悩んでいないケースもあるでしょう。小学生のお子さんですと、
- ある程度の年数、今の名前で生活している
- 友人知人の目も気になる年頃
- まだ先のことに対する見通しが持ちにくい
とも言えます。もちろん個人差はありますが、改名した後の方が大変だった、という可能性もないとは言えません。
特に新しい名前の使用が中学高校入学時、転居後などでない限り、途中から名前が変わるのはかなり目立ちますよね。
また戸籍には、改名した事実(以前の名前)は残ります。
本人が申請して認められた例
「いろいろ考えた末、小学生の今はやめておこう。」そう思う親御さんもいるでしょうか。
もしお子さん自身が本当に改名を考えた場合、15歳以上になれば本人での申請が可能です。もちろんその時も、必ず改名できるとは限りません。
実際の例として、キラキラネーム「王子様(おうじさま)」から「肇(はじめ)」に改名した男性がいます。改名を認められた時の年齢は18歳のようです。
この男性は、申立書にそれまでの苦労や切実な思い、将来への不安などを綴っています。具体的な支障として、以下のことを挙げています。
- 自己紹介で笑われることがある
- 何度も名前を聞き返されることがある
- 名前をバカにされ惨めな思いをしたことがある
- 病院などで周りがザワつき恥ずかしいことがある
- 不必要に有名になり不愉快な思いをしたことがある
この男性は「肇(はじめ)」という名前を希望する理由として「過去の思いを断ち切って新しい人生を始めるという意味が込められている」と記入しています。
改名が認められなかったら…
キラキラネームは嫌だけど、申請自体を諦めた、もしくは申請しても認められなかったら…?もう名前を変える方法はないのでしょうか。
通称名を使う方法もある
通称名とは、「正式な名称ではないが、特定の人や物に対する呼び名として、世間一般において通用している語のこと」とあります。
わかりやすく言えば「あだ名」のようなもの。
改名を申請しない、もしくは裁判所に改名が認められなくても、可能な範囲で新しい名前で生活してしまうという方法です。
強い意志が必要と言えるでしょう。
友人知人に「通称名で生活することにした」と言い、その名前を呼んでもらう。他にも
- お店のカードを通称名でつくる
- 手紙や年賀状を通称名宛で送ってもらう
- 宅配物を通称名宛で配送してもらう
など、通称名を自分の生活の中に浸透させていくのです。
通称名は、もともと外国籍の方が日本風の名前にする場合に使われることが多かったようです。最近は、性同一性障害の方が使うケースも増えていると聞きます。
通称名は公的なものには使えない
外国籍の方や性同一性障害でやむを得ない場合は、各種例外もあります。しかし基本的に
- 住民票や保険証
- 銀行口座
- パスポート
など、公的なもの、開設・作成に身分証明書を必要とするものは、通称名を使えません。
通称名を長年使っていれば…
長期間通称名を使っていれば、その理由で改名を申請することができます。過去に改名が認められていなくても、通称名を数年使って再度申請、という方法もあります。
「じゃあ何年通称名を使用したらいいの?」と気になりますよね。しかし「何年通称名を使用したから改名できる」という基準はありません。通称名使用の範囲・程度にもよるでしょう。
繰り返しになりますが、改名できるか否かの判断は、その時家庭裁判所が下すもの。
申請する際には、通称名を使っていたことがわかるものを、たくさん用意できた方が有利です。
- さまざまなお店のカード
- 手紙や年賀状、配送表
- 新聞や情報誌などの印刷物
家庭裁判所は、このようなものも含めた書面審査や照会、関係機関への問合せなどを行います。そして「戸籍上の名前を使わせるのは厳しい」と判断されると、改名が認められます。
大人になると、身分証明書を必要とする場面が増えてきます。最近は特に本人確認が厳しくなっていますよね。
お子さんが将来どのような職業に就くかも、わかりません。
早いうちから通称名を使い、成人になる前に再度改名を申請してみる、というのも一つです。
また、通称名の使用に加え「著しい支障」の経緯があれば、改名できる確率は高まると言えるでしょう。
親としてどう振る舞うのがよいの?
改名は、決して簡単ではないことがわかりました。通称名で生活をするのも、強い意志が必要です。「諦めよう…」そんな親御さんも多いかもしれません。
もう不安や後悔などのマイナスな思いは、できるだけ消していくしかありません。
少しでも気持ちがラクになるような考え方、前向きに生きて行けるような心持ちについて、お話ししていきます。
本当にそこまで悩む名前なのか
「キラキラネーム」で検索すると、さまざまなキラキラネームがあることがわかります。我が子の名前は、そこまで悩むほどの「キラキラネーム」なのでしょうか。
ネット上で悩んでいる親御さんの声を見てみると、正直「そんなに悩むほどの名前なのか」と思う名前も多いです。ネット上で相談し、安心できる回答が得られたという人も複数います。
全く悩んでいない親もいる
世の中には、何千何万の人がいます。よほどのキラキラネームでない限り、同じ名前の人がいる可能性が高いでしょう。
その名前の人、その名前をつけた人「全員」が、同じように苦しんでいるでしょうか?全く悩んでいない人も多いかもしれません。
ネット上に「夢という漢字を名前につけてしまった」と悩んでいる方がいましたが、筆者の身近に三人もいます。
ネット上で紹介されているキラキラネームをつけた知人も、実際にいます。
- 長男が「騎士(ないと)」長女が「月空(るあ)」
- 三姉妹全員飲み物の名前(ここあ、みるくなど)
- 読み方が「るきあ」「しど」「きらら」
8人とも後悔している素振りなど、みじんも感じられません。つき合っていて常識に欠ける部分も、今のところありません。
ネットなどには、どうしてもキラキラネームを批判するようなものが多くなっています。見ると落ち込んでしまう人は、もう目に入れないようにしましょう。
また、現在名前のことで何も悩みがない人も、いつどんな有名人が表れるかわかりません。からかいの対象になる可能性は誰にでもあり、先のことは考えてもキリがないのです。
子どもの立場で考えてみる
小学生は微妙な年頃。6年間もあるので、低学年と高学年ではだいぶ違うとも言えます。
キラキラネームをつけて後悔。けれども「悩んでいるのは親だけ」という場合も、特に低学年などは多いかもしれませんね。
親が不安や後悔ばかり。それが普段からにじみ出ているようだと、お子さんはどう感じるでしょうか?同じように不安や後悔の多い性格になる可能性も高くなります。
「誰が何と言おうと、いい名前だ!」
名前にもよりますが、将来お子さんにとって「よい面」もあるかもしれません。
- 自己紹介のしかた次第でインパクトを残せる
- 同じような名前の友達と話が弾む
- 子ども自身での「気づき」がある
親が後悔していても、お子さんはその名前を好きになるかもしれません。好きになれないとしても、世の中自分の名前を好きな人ばかりでしょうか?
平凡な名前の人は「平凡で嫌だ」と言っていたり、「自分の名前、別に好きでも嫌いでもないし」という人も多かったりするもの。もちろん「自分の名前が大嫌い」という人もいます。
苦労の質や程度にもよりますが、多少の苦労は人々の成長のために必要だと思います。苦労を経験するから、人の心の痛みがわかる人間になれるのです。
後悔だけにとらわれないで…
キラキラネームをつけた後悔や不安ばかりが心を占める…すると、多くのことがマイナスに見えてきてしまいます。
不安や後悔を完全に取り除く、忘れることは難しいですよね。けれども、お子さんの成長や努力を始め、
- 楽しいこと、嬉しいこと
- 周りの人や物への感謝
- 未来へのワクワク
など、どんなに小さなことでも、日々のよい感情にしっかり目を向けていきましょう。その習慣をつけたり、運動や好きなことをして発散させたりしていく。すると、同じような「よいこと」が引き寄せられやすくなるのです。
せっかくの人生。親御さんもお子さんも、楽しいことやよいことが少しでも多い方がいいですよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。