親をバカにする子供の心理。原因や背景は?一度冷静に考えてみよう
「親をバカにする!」「こんな子供に育ってしまったの?」…息子さんや娘さんへの戸惑いや怒り、むなしさや悲しさ。親御さんの心境は、複雑だと思います。
けれども冷静に考えると…。お子さんが親をバカにする原因や背景が、あるのかもしれません。
ここでは、親をバカにする子供の心理や原因を考えるポイントと、親として努めたいことを提案していきます。
我が子にバカにされたことだけに執着せず、まずは深呼吸。広い心で、一緒に考えていきましょう。
Contents
親をバカにする原因:誰かのマネ?
心から親御さんをバカにしているわけではない。なんとなく誰かのマネをしているだけ、かもしれません。
友達が誰かをバカにしている
共に過ごす時間が長い人の言葉や態度は、それだけ脳に入ってきます。自然とその人の口癖や態度が似てくること、大人でもありますよね。
仲の良いクラスメートが、よく友達をバカにしている。クラスで中心的な子供が先生をバカにしていて、なんとなくカッコよく見える…。
親が誰かをバカにしている
たとえば親御さんが以下のような状態に当てはまる場合、そのマネをしている可能性があります。
- 配偶者や両親を見下すことが多い
- 他人をバカにする発言が多い
- 人に敬意を払うような言動がない
「子は親の背中を見て育つ」とは昔から言われること。言葉で教わらなくても、親の振る舞いを見て自分に取り入れる。そんなことも少なくないものです。
我が子がバカにされている?
本来であれば、自分がされて嫌なことは他人にもしない。こう子供に教えたいところ。
しかし「自分がされたから人にもしてやりたい」…こんなふうに思うことも、あるのではないでしょうか?
お子さんが身近な誰かからバカにされ、悔しい、悲しい、傷ついている…。そんな可能性もないとは言えません。
友達やクラスメートだけではありません。無意識のうちに、親自身が
- 「何でこんなこともできないの?」
- 「頭、おかしいんじゃない?」
- 「あんた、本当にバカだね」
などと言う。たとえ今は言っていなくても、以前はよく口にしていたことがある親御さんも、いるかもしれません。
そのようなことを、お子さん自身がしっかり覚えている可能性もあるのです。
親をバカにする原因:能力に敏感?
個人差はありますが、9歳ぐらいから、だんだん「他の子と比較した自分」を強く意識するようになります。よくも悪くも、自分の能力と他の子の能力に、敏感になるのです。
成長し、できることが増えた
小学校中高学年になると、自分のことを客観的にとらえられるようになってきます。同時に、能力や発達の個人差も、顕著になってくる時期ですね。
「できる」子は、自信や自己評価が高くなりやすいのは当然のこと。また、親よりもできることが少しずつ増えてきますよね
- 親に算数の質問をしても答えられない
- 短距離走が親よりも速くなった
- 習い事の能力が親よりも高くなった
生活面でも、親を頼ることが減ってきます。幼児期に比べて、親を「すごい!」と思う場面は減り、なんとなく親をバカにしているのかもしれません。
劣等感が芽生えてくる
「他の子と比較した自分」を意識できるようになれば、当然「劣等感」も芽生えやすくなります。
劣等感を持っても、自分の向上のきっかけにできれば問題はありません。しかし嫉妬や敵対感情などの「ネガティブな感情」につながる場合も、少なくないのです。
そのネガティブな感情を穴埋めすべく、
- 嫉妬する相手の悪い噂を流す
- 他の子に対して攻撃的な態度をとる
- 気に入らない相手を無視する
などの行為をする子も出てきます。子供だけでなく、大人でもいますよね。決して本当の幸せに近づかない行為です。
優位に立ちたい!
上記の「劣等感の芽生え」にも付随するのですが、一般的に「できない自分」よりも「できる自分」でありたいという欲求が出てきます。
- 勉強は苦手だけど、体育は得意
- 目立って得意なことはないけど、ピアノが上手
- 人を笑わせる才能だけはあるぞ!
上記のような自己評価で満たされていればよいですが、中には優位に感じられることがなく、満たされない子もいるかもしれません。
親をバカにすることで、優越感を抱ける。そんな可能性もあるのではないでしょうか?
親をバカにする原因:反抗期?
反抗期は成長のプロセスの一つ。個人差は当然ありますが、本格的な反抗期は中学生になってから?いや、小学校高学年頃から始まる子も少なくないですよね。
さらに「中間反抗期」と呼ばれる、小学校低・中学年で見られる反抗期もあります。
依存と反抗を繰り返して自立する
甘えとわがままを繰り返しながら自立する、とも言い換えられるでしょうか。こうする中で、親の自分に対する愛情を確かめ、愛されている確信を得られた経験の積み重ねが、生きる意欲や力の元になります。
個人差はありますが、学年が上がるごとにベッタリ甘えてくるような甘え方は減る傾向です。反抗自体に「甘え」が含まれるケースもあるでしょう。
反抗する言葉、「うるせえなぁ」「くそばばあ」「うぜー」…短い言葉が多い印象です。しかし中には、親をバカにするような言い方もあるかもしれませんね。
筆者は、自分の学生時代を思い出すと恥ずかしい限りです。
- 反抗しまくり、親をバカにする発言をしていた
- 親に感謝の気持ちなど持っていなかった
- 親に何をしてもらっても当然と思っていた
疲れているのかもしれない
前述の「劣等感」もそうですが、学年が上がるごとに心の悩みも複雑になってきます。
- 学習面で難しくてついていけない
- 人間関係が複雑になってくる
- 中学受験や中学校生活への不安
特に人間関係は、
- スポーツクラブや学習塾での敵対心
- グループ化することでの無視や仲間外れ
- LINEやSNSのやりとり
など、とにかく難しくなってくる印象です。「誰とでも仲良くしたい」という純粋な思いが、「八方美人」と罵られるなどの事例もありました。
そのようなストレス発散のはけ口として、反抗するケースもあります。外でいい子すぎる、なんて子もいるかもしれませんね。
心だけでなく、体が疲れている子供も増えている印象です。
- 受験勉強やゲームなどで睡眠不足
- 運動不足による子供の体力低下
- 偏食や一人での食事など食生活の乱れ
大人でも疲れていると人に当たること、ありませんか?むしゃくしゃして、甘えられる親に対し「バカにしている」こともあるかもしれません。
親をバカにする原因:とても尊敬できず
残念ながら、子供に心底尊敬されていないケースです。「親をバカにする子供には一喝を!」という言葉も見かけますが、この場合は逆効果になることも…。
子供から見て、「親として最低!」「私はこんな親には絶対にならない!」と思われるようだと、怒られること自体が理不尽と感じてしまうのです。
親の仕事をしているか
子供へのかかわりだけでなく、食事の準備や掃除・洗濯、学校行事への参加や保護者同士のつき合い…。少し数えただけでも、親の仕事はたくさん。
筆者も二人の子を持つ母親として、大変さは身にしみて感じます。親になれた感謝の反面、時折すべてを投げ出したい気になることもあるかもしれませんね。
完璧にこなす必要は、決してないと思います。しかし、専業主婦やそれに近い状態で「親の仕事をあまりにもしていない」という知人も、実際にいるのです。
嫌悪感を持たれる行為がないか
筆者と仲が良かった友人の話です。中学生と小学校5年生の男の子の母親ですが、独身男性と不倫をしています。
しかも、将来「離婚して一緒になる」気はさらさらなく、ただの遊びです。ここで不倫についてとやかく語ることはしませんが、多感な時期の子供がその事実を知った時、どう思うでしょうか?
同じような声は、ネット上でも複数見られます。子供側の傷ついた気持ちや荒れた心が表れた声も、当然ありました。
いつも上から目線でないか
親御さん本人にとっては「無意識」かもしれません。しかし上から目線の発言や態度が多い人って、いるものです。
また、カッとなって感情的に言葉を投げがちな人も注意です。これは筆者の反省点でもありますが、深い意味なく発した言葉でも、子供の心には傷として残る、ということもあるのです。
幼少期や低学年のうちは素直に聞いていても、徐々に反発することが多くなりがちに。命令口調や子どもを侮辱する言葉は、子供の心や脳に積み重なっていくものです。
子供に「こんなふうにしか言えない人間にはなりたくない」と思われることも、あるかもしれません。
尊敬できない言動が多くはないか
個人差はありますが、学年が上がるごとに自分を客観視できるようになるのは前述の通り。これは同時に「親のことを客観視できる」ということにもなるのです。
筆者の母親は、学生時代の筆者から見て尊敬できませんでした。
- 「お金がない」と言いながら自分は働こうとしない
- 「私は頭が悪いし」と言いながら新聞も本も読まない
- 「どうせ無理」などの発言や愚痴が多い
家事や子供のことは本当によくやってくれ、今では感謝しています。部分的には、尊敬もしています。でも周りに前向きな大人がたくさんいる中、当時は全く尊敬できませんでした。
それに反発するように筆者は勉強をし、進学校に入って教員を目指した。そんな気がしています。
ネット上の悩み相談でも、私立中学に入ったお子さんからバカにされている、という内容がありました。
親御さんは学歴や結婚前の職種に自信が持てず、他の親御さんに引け目を感じているとのこと…。
親として努力すべきこととは
親をバカにする原因や背景は、明確には分からないかもしれません。また、複雑に原因や背景が組み合わさっている場合もあるでしょう。
最も大切なのは、これから親御さんがどう過ごしていくか、どうお子さんにかかわっていくかを、考えて実践していくことだと思います。
「こうなってほしい」姿を親自身も
「私、人を見下すことが多いかも」「子供に命令口調や侮蔑の言葉が多かったかも」…こんなふうに気づけた親御さんは、今からでも改めましょう。
まず「気づけた」ことが素晴らしいことです。「時すでに遅し」ということは決してなく、改める努力をしている親御さんの姿を、子供は見ているものです。
また、「感謝」も効果的です。
- 子供に「ありがとう」をたくさん言う
- 家族や友人知人に対しても感謝を口にする
- ほんの小さなことにでも「ありがたい」と思う
「ありがとう」って、言えていそうで意外と言えていない言葉、かもしれませんよね。「人生、悩みやツイていないことだらけ…」という人にこそ、試してほしいです。
続けていくうちに、お子さんも家族や周りの人にたくさん「ありがとう」が言えるようになるかもしれません!
子供の気持ちを理解する努力
人の気持ちを理解する。正直難しいですよね。思春期に近づくお子さんの気持ちは、なおさらかもしれません。
しかし筆者自身も、「努力」はしていきたいと思います。でも具体的に、どうすればよいのでしょうか?
- 子供の気持ちや事情を想像してみる
- 自分の子供時代を振り返ってみる
- 子供の様子をしっかりと見る
「バカにされた…」「反抗期でイラつく!」と感情的になる前に、「疲れているのかな?」「子供の世界も大変なのかも」などと考えてみましょう。
子供の立場で考える。なかなか難しいようでしたら、自分の子供時代を思い出すのもよいと思います。
小学生は通常「少年」に当てはまるでしょうか。どんどん手はかからなくなりますが、だからと言って放置ではいけません。
反抗期の対応としても、あれこれ構い過ぎるのもNGですが、無関心でいるのはもっとNGです。
一歩引いたところから見守り、子供に必要なサポートはいつでもできるよう、言動などを観察する。これが最も大事ではないでしょうか?
バカにされた時には、「そんなふうに言われたら悲しいな」と、一言自分の感情を伝えられると、よいと思います。
自分の振る舞いに、まず「気づけた」
この記事を読んで、「親として尊敬されなくて当然だ…」と思った親御さんも、いらっしゃるかもしれません。
機械を修理する人は、その機械のどこが壊れているのかがわからなければ、修理できません。
まずは自分の非やよくない部分に気づけたこと、これは間違いなく「一歩」です。改めることができる可能性は、十分にあるはずです。
子供にきちんと寄り添えるよう…
「子は親の背中を見て育つ」。同時に、親も子育てを通してさまざまなことが学べるのだと思います。
「子供に寄り添う」というと、乳幼児ならともかく、なんか難しく聞こえます。でも決して難しいことではありません。
完璧には難しくても、筆者も日々これらに努めています。意識して実践するようになってから、自分も子供も少しずつ良い方向に変わってきた感覚があります。
皆様の何らかの「ヒント」になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。