小学生の睡眠時間をなんとか確保したい!ケース別対策3選

小学生の睡眠時間の理想は、おおよそ低学年で10~11時間前後、高学年で8.5~9.5時間前後と言われています。

もちろん、眠りの質や子どもの体質によっても変わってきます。しかし、あまりにも睡眠時間が短すぎるのは悪影響…。

といっても、受験勉強、習い事、ゲーム、親御さんの仕事の関係…。睡眠時間の確保は、難しいのが現状です。

ここでは小学生の睡眠時間を確保する工夫の仕方を、ケース別にご提案していきます。合わせて睡眠の「質」を高めるポイントもご紹介!

早速試し、お子さんの心身の発達、学力アップに、つなげていきましょう!

睡眠が大切な理由

子どもの成長には、十分な睡眠が必要。その理由を簡単に説明します。

脳の疲労回復と活性化につながる

質のよい十分な睡眠は、脳の疲労を回復させます。また脳の発達に必要な成長ホルモンや、脳を活性化させるセロトニンという物質も分泌されるのです。

睡眠が不足した状態では、注意力・集中力・記憶力が低下。気が散りやすい、考えが整理できないことにも、つながるのです。

しかも、脳は発語や感情表現、手先・指先の運動にもかかわります。十分な睡眠をとれている子どもの方が、学力や音楽などの技能が高い傾向。そんな調査結果も出ているのです。

体の発育を促す

睡眠時に分泌される「成長ホルモン」。骨や筋肉など、体の発育を促すことにもつながります。

睡眠が不足した状態では、以下のような状態を招きやすくも…。

  • 疲れている
  • 体がだるい
  • 食欲の低下
体の成長を遅らせたり、ひどくなると子どもの肥満や生活習慣病の原因になったりすることさえあります。「スポーツの技能向上に睡眠が大きな役割を果たす」という研究結果まであるから驚きです。

心や行動を安定させる

セロトニンは脳の活性化だけでなく、心の安定にもつながります。睡眠不足の状態では、やる気の低下や、不安・落ち込みが多くなりがちに…。

合わせて、「イライラ」「キレやすい」「落ち着きのなさ」「衝動的な行動」などを招きやすくなります。ひどくなると、不登校や無気力な状態につながることさえあるのです。

必要な睡眠時間はそれぞれ

睡眠は「時間」「量」だけでなく、「質」や「リズム」も大切です。よって必要な「睡眠時間」は、子どもによって違うのですね。

同じ子どもでも、季節やその時の体調によって変わることもあります。自律神経を整える観点から考えると、冬の方が必要な睡眠時間は長い傾向と言えます。

日中眠そうなら、睡眠が足りていない証拠。持っている能力が十分に発揮できないのでは、本末転倒の場合もありますね。

【1】勉強や習い事で就寝時間が遅くなる場合

塾や習い事・スポーツをしていて帰宅時間が遅い…。その後にダラダラしていれば、就寝時間も遅くなるのは当然です。

どうすれば少しでも睡眠時間を確保できるのでしょうか?

やるべきことを先に済ませる

小学校から帰宅し、塾や習い事・スポーツに行くまでの時間がある場合。この間にやれることは、徹底的にすべて済ませる方法です。

筆者の知人数人もこの方法ですが、親御さんの協力も必要な印象です。

学校の宿題や翌日の準備はもちろん、早めの夕飯もあり!後述しますが、質のよい睡眠を得るには寝る2~3時間前に食事を終わらせるのが望ましく、帰宅後の夕飯では間に合わない場合もあるのではないでしょうか?

帰宅後は入浴だけ。後は寝るだけの状態にしておくのです。

朝の時間に取り組む

たとえば同じ9時間寝るにしても、「遅寝遅起き」より「早寝早起き」が理想!後述する体内時計を整えるのに有効で、心身の健康につながりやすくなります。

とにかく夜は早く就寝し、早起きをして勉強などに取り組むのも一つです。

「万が一起きられなかったり登校時間までに終わらなかったりしたら…」と心配な場合は、最低限済ませるべきことは前日に済ませられるとよいでしょう。

朝は受験勉強や自主学習の時間、もしくは好きなことをする時間に当てるのもよいですね。

朝食をしっかりとることは、体力向上や、持っている能力を日中発揮させるために有効です。最低でも「朝食抜き」での登校は、避けるようにしましょう。

起きている時間に時短・集中

シンプルに考えましょう。忙しい中寝る時間を確保するためには、起きている時間に集中するしかありません。

子どもが中学受験をされた親御さんの体験談を読んでいても、「時短の工夫をした」という内容が多いです。親御さんがサポートできることとして、

  • どこに時間がかかっているのかを見極める
  • どこをどうフォローすれば時短できるかを考える
  • やるべきこと、したいことの優先順位を決める

などが挙げられるでしょう。まだ小学生。上記のことを自分ですべて完璧にできる、というお子さんは多くないと思います。

余裕があれば「すべてを自分でやらせて力をつける」のもよいですが、大幅に睡眠時間が削られるのでは考えものです。

どのお子さんにも、それぞれ得意不得意があります。低学年と高学年でも違うでしょう。時間がかかっている部分は、時短できるよう手助けできるとよいですね。

筆者の長女の場合、学校の宿題の自主学習。何をやろうか考えることにも時間がかかるので、提案やフォローをしながら取り組むようにしています。
時間を気にしながら行動するのが苦手なお子さんは、時間割表のようにタイムスケジュールをつくって壁に貼るのも!進捗具合を親御さんが見ながら、時間内に終わるよう声がけしていきましょう。

優先順位のつけ方、優先させたいことは、人それぞれです。

  • とにかく塾の宿題や復習に最も力を入れたい
  • 忙しい中でも、食事時間はゆっくり確保したい
  • 好きに使える時間も、少しはつくってあげたい

今一度お子さんの行動を見直しましょう。何を優先させてあげたいですか?時間をかけたいことを考え、無駄な時間があれば削れるよう調整しましょう。

睡眠時間が短すぎて日中支障が出ているようなお子さんは、睡眠時間を伸ばすことに重きをおいてほしいと思います。

塾や中学受験で頭がいっぱいでも…

精神的なプレッシャーや、思うように進まないことと闘っている方もいらっしゃるでしょう。つい他のお子さんと比較してしまうことも、多いのではないかと思います。

「あの子は睡眠時間〇時間で頑張っている!うちの子も!」と頑張らせたいこともあるかもしれませんが、あの子は睡眠時間が短くても大丈夫な体質かもしれません。

ぜひ、お子さんの様子をしっかり見てあげてほしいと思います。中学受験は、広い意味で考えれば「お子さんの幸せのため」ではないでしょうか。

夜型の生活は睡眠障害を招きやすく、慢性的な睡眠不足が心身によくないのも前述の通りです。本末転倒にならないよう、「お子さんの様子を見ながら無理せず」を心がけてほしいです。

【2】ゲームなどで就寝時間が遅くなる場合

ゲームやスマホ、PC、タブレット…。室内で一人でも楽しめる物が、どんどん充実する世の中です。「子どもがゲームをしていれば親もラク」と、ルールを決めない家庭もある様子…。

せめて夜の時間制限だけでも、つくりませんか?

本来ルールは、ゲームやスマホなどを買い与えた段階で設けるのが効果的。しかし、過ぎたことを言っても始まりません。

今からでもルールを決めましょう。もしくはルールを変えましょう。その際には、以下のような段階を踏むのが望ましいです。

【1】 まず理由を冷静に説明する
【2】 子どもと話し合いながらルールを決める
【3】 守れなかった時のペナルティも決める

特に中・高学年の場合、勝手に親が決めたルールの押し付けでは、お子さんも納得がいきません。パニックを起こし、キレたり泣きわめいたり暴言を吐いたり、というお子さんも出てくるでしょう。

まずは「睡眠時間を削ってまで行うのがよくない理由」を、感情的にならず説明しましょう。人間が生きていく上で、睡眠は大切なことを強調できるとよいですね。

次に「どうしたら早く寝られるかな?」と、お子さん自身に考えさせましょう。ゲームやスマホなどを、

  • 夕食後は触らない
  • 夜は親に預ける
  • 20時までと決める

などがお子さんの口から出てくるのが理想です。出てこない場合は、多少誘導的になっても仕方がないかもしれませんね。

しっかり守れそうなお子さんでも、守れなかった時のペナルティを決めておいた方がよいです。万が一守れなかった時に、またそこで「さあ、どうしよう」とならないためにです。

ペナルティは、「〇日間はゲームやスマホ自体禁止」や「〇週間は夕食前の30分のみ」など、ご家庭それぞれでよいでしょう。ルールもペナルティも、一度決めたら必ず「実行」することが大切です。

【3】親の仕事で就寝時間が遅くなる場合

特に低学年の場合、仮に10時間寝かせたい、かつ翌朝の起床時間は6時半と想定すると、20時半前には布団に入らなければなりません。

学童保育に19時頃迎えに行くなどの場合、帰宅後が時間との闘いとなりますよね。筆者の経験ももとに、工夫のポイントをまとめていきます。

寝るまでの家事を前倒し

帰宅してから寝るまでに子どもがすること。宿題は学童で終わらせてくるとして、夕食と入浴、翌日の準備などがあるでしょうか?

「〇時には布団に入らせたい」と決めたら、やるべきことを逆算してタイムスケジュールをつくります。「夕食は〇時まで」「入浴は〇時まで」という感じです。

タイムスケジュール通りに動くためには、必要な家事をラクにできるよう事前に準備しておくとよいでしょう。

  • 休日に夕食の献立決めや下ごしらえをしておく
  • 出勤前に夕飯分のお米をとぎ炊飯予約しておく
  • 出勤前にお風呂の浴槽を洗っておく

夕食に「手作りの物を食べさせたい」という場合は、休日に準備しておくとよいです。

  • 1週間分の献立を決め、まとめ買い
  • 唐揚げやハンバーグなど「後は揚げるだけ焼くだけ」の状態で冷凍
  • 煮物、野菜を固くゆでた物などを冷凍保存

夕食についての考えはそれぞれ。宅配サービスやお弁当・お惣菜を利用している方もいるでしょうし、うまく組み合わせている方もいます。

子どもが寝た後や早朝に家事

家事は、食事やお風呂の準備だけではありませんね。

「子どもを布団に入らせる」と決めた時間には、どんなに忙しくても子どもを寝かせることに集中します。終わらない家事は、子どもが寝た後や早朝、休日にまわせることは休日にこなすよう徹底させましょう。

「一人で寝室に行き、自分で寝られる」という場合は手がかかりませんが、特に低学年では難しいことも多いと思います。

  • 夜に洗濯をする場合、洗濯機をまわしておき、子どもが寝た後に干す
  • 夕飯の洗い物が残っている場合、子どもが寝た後か早朝にまわす
  • 掃除は基本休日に。気になる場合は早朝に床モップ・コロコロなどを使用

など、工夫して1日1日を乗り切れるとよいでしょう。

子どもと一緒に布団に入る

子どもにもよりますが、特に低学年ですと「まだ添い寝が必要」なケースもあると思います。どんなに「早く寝なさい」と言っても、寝つかないのでは意味がありません。

「一度体を休めてしまおう!」という気持ちで、子どもが布団に入る時間に大人も入るのはどうでしょう?数分間でも会話できると、お子さんも安心して眠りにつけそうですね。

布団に入っても、大人がスマホなどを見ていては子どもが寝つかない場合も…。子どもが寝ることを一番に考えられると、よいですね。

  • 大人も寝たふり、もしくは仮眠をとる
  • イヤホン使用で、小音で音楽やラジオを聴く
  • 心身の健康のため、腹式呼吸やツボ押し

子どもが寝るのに支障が出ず、なおかつ親御さん自身にもよい方法をみつけられるとよいでしょう。

睡眠の質を高めるためには

理想の睡眠時間はわかった、でもどうしても確保できない…。睡眠の「質」を高めれば、お子さんにとって十分な睡眠となるかもしれません。

睡眠のリズムも大事

人間の体には、24時間より少し長めの周期を持った体内時計が備わっています。しかし地球の1日は24時間。体内時計を日々リセットし、24時間に合わせながら生活することが、心身の健康や能力の発揮につながります。

この「体内時計をリセットする」ことに、睡眠や就寝前・起床後の習慣も影響します。体内時計のリセットに有効なことは、以下の通りです。

  • 休日も含め、毎日同じぐらいの時間に就寝・起床
  • 寝る直前に、強い光やライトを浴びない
  • 朝起きてカーテンを開け、光を取り入れる

体に備わる体内時計は、睡眠のリズムも調整してくれます。睡眠リズムが整うことは、睡眠の質を高めることにもつながるのです。

日中体をたくさん動かす

体が疲れた日はよく眠れる。大人でもそう感じたことがある人は、多いと思います。

お子さんの学校生活を覗くことはできませんが、体を動かす機会が少なくなりがちなお子さんは、少しでも運動の機会をつくれるとよいでしょう。

夕食後少し時間をあけてから寝る

睡眠の質を高めるためには、ある程度の空腹状態が望ましいです。満腹の状態では内臓が働き続け、成長ホルモンが多く分泌される寝始めの時間帯に熟睡できません。

夕飯を食べ終え約2時間あけて就寝が望ましいですが、なかなか難しいかもしれませんね。最低限、食べた直後の就寝や、夜食は避けるようにしましょう。

寝る直前のスマホやゲームはNG

テレビ、スマホ、パソコン、ゲームなどの強い光は、脳を覚醒させ寝つきや睡眠の質を悪くさせます。前述の通り、体内時計を乱すことにもつながるのです。

  • 寝る30分~1時間前には使用させない
  • 寝る30分~1時間前から照明の光を弱めて静かに過ごす
  • 寝る前の儀式をつくり、親も協力する
など工夫できるとよいでしょう。筆者の友人は、毎日子どもが寝る前に足裏マッサージをしてあげているとか。ゆったり会話しながら行うことで、寝つきもよくなったそうです。

環境を整える

眠りの質を高めるためには、寝室の環境づくりや、寝具選びも大切です。

  • 寝返りを打ちやすい敷布団にする
  • 快適な温度や湿度を保つ
  • できれば部屋を真っ暗にする

寝返りは、体のゆがみを修正し、疲労を回復させやすい効果があります。柔らかい布団だと体が沈み込んで寝返りが打ちづらいので、硬い敷布団の方がよいでしょう。

快適な温度や湿度は一概に言えない部分もありますが、冬は湯たんぽなどで布団の中を温めておくと、寝つきがよくなりやすいです。夏の冷房は、タイマーやドライ機能も上手に利用できるとよいでしょう。

皮膚にも光のセンサーのようなものがあり、少しの光でも感じ取ります。できればオレンジ色の豆電球も消した方が、睡眠の質は高まるでしょう。

快眠につながりやすい音楽や入浴剤、アロマスチーマーなど、快眠グッズを試し、合うものを見つけるのもよいですね。

十分な睡眠時間と質で能力発揮!

日中眠い、だるい。お子さんの持つ十分な能力が発揮できず、生きる楽しさも半減です。

ぜひ、睡眠の大切さを再認識しましょう。お子さんが知能をはじめ、さまざまな能力を最大限活用できるよう、十分な睡眠をとる。そのための工夫と努力…一緒に頑張っていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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