子供のテレビ視聴時間はどれぐらいまで良いの?長時間視聴の影響とは
テレビやゲーム、スマホにパソコン、たくさんのメディアが取り巻く環境の中、子供はどんなことをして過ごしていますか?
多くは、簡単に視聴できるテレビを観ることが多いのではないでしょうか。
そこで一度、子供のテレビ視聴時間をチェックしてみてください。
最近では、長時間のテレビ視聴が子供に及ぼす悪影響について、さまざまなサイト、市区町村、学校などで呼びかけています。悪影響は深刻なものが多く、時間を制限して視聴することが望まれます。
しかし、子供だけでテレビの視聴時間を管理するのはなかなか難しく、親の手助けが必要です。
ここで、長時間視聴による影響を確認し、どのように視聴時間を減らせば良いのかをみていきましょう。
子供がテレビを長時間見ることの影響
アニメ番組やバラエティ番組、教育娯楽番組など、子供が楽しめる番組は数多くあります。
そのため、番組表を読んで、リモコンを上手に操作できるようになると、好きな番組をエンドレスで見続けることだってできます。
しかし、このように長時間見続けることは、子供にどんな影響を与えるのでしょうか?
幼児の頃と、小学生の頃とで見比べてみましょう。
テレビ視聴時間が長いと及ぼす影響【幼児の頃】
幼児は2歳くらいになると、言葉を話し始めます。
動き回って大変な時期ですが、好きなテレビをつけると、釘付けになったようにおとなしくなります。
家事で手が離せないとき、テレビを観ていてくれると、とても助かります。
しかし、幼児のうちはテレビより実体験でたくさんの経験をさせてあげることが、発達の上で重要です。
テレビがついていると、親が子に話しかける回数が減り、コミュニケーションの機会を奪ってしまいます。
2004年に日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会が提言した『「子どもとメディア」の問題に対する提言』があります。
そこでは、テレビ以外のメディアも含めて、それに触れる時間の長時間化を問題視し、意見を述べています。
たとえば、以下のような考えを具体的に示しています。
- 2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える
- 授乳中や食事中のテレビ・ビデオ視聴はやめる
- 全メディア(テレビ・ビデオ・ゲーム・インターネット・電話など)に触れる総時間を制限する(全部で1日2時間まで、ゲームは1日30分まで)
- 親子でメディア利用のルールをきめる
このように、日本小児科医会が意見を出すほど、日本の子どもがメディアから受ける影響が大きくなっているといえます。
それでは、小学生にとって、視聴時間が長いとどんな影響があるのでしょうか。
テレビ視聴時間が長いと及ぼす影響【小学生の頃】
小学生になると、幼児期よりぐんと体が大きくなり、自分の意見を言葉で表現できるようになります。
何でもできるようになったと感じる時期ですが、心の発達が目覚ましい時期なので、メディア接触には親の配慮が必要です。
特に6~8歳くらいの子どもは、まだ現実と仮想の区別が十分ではなく、善悪の区別もはっきりしていません。
さらに、落ち着きがなくなり、何事にも無関心になってしまうという影響もあげられます。
生活の中で勉強が占める割合が多くなる小学生は、学業への影響も心配です。
テレビの時間が多いと、そのぶん目が疲れ、自然と勉強する時間が少なくなってしまいます。
また、観たい番組があるからといって、夜遅くまで観ていると、寝不足になり生活に悪影響を及ぼします。
これらのことをまとめると、長時間テレビを視聴することによって、以下の影響が考えられます。
- 言葉遣いが乱暴になる
- 落ち着きがなく、無関心になる
- 生活時間が乱れる→睡眠不足
- 目が悪くなる
- テレビに時間が取られ、勉強ができない→成績低下
こうしてみると、子どもにとって良くない事柄が多いことに驚きます。
それでは、いったい1日何時間くらいなら問題なく過ごせるのでしょうか?
テレビ視聴の目安は何時間くらい?
日本小児科医会の提言であるように、すべてのメディアに触れる時間は「全部で1日2時間まで」を目安とするとよいでしょう。
そのため、テレビゲームで1時間遊んだとすれば、テレビ鑑賞するのは1時間ということになります。
「2時間まで」なので、きっちり2時間とらずに、短い時間で切り上げても良いのです。
要は一日中だらだらとテレビを流さないことが重要です。また、テレビ時間が短くても、他のメディア時間が延びてしまっては意味がありません。
「2時間をメディアの総時間」としてとらえておきましょう。
テレビの時間を減らしたいときは
いままで好きなようにテレビを見せていたのに、いきなり「今日から2時間です!」と言われても、子どもは困惑してしまいます。
テレビ視聴の時間を決める重要性を子どもにも教えてあげた上で、家庭内でのテレビに関する決まりごとを考えてきましょう。
テレビ視聴の時間を決める重要性を子どもに教えるには
小学校にあがると、お便りやリーフレットを持ってくる機会があります。
今はとくに、メディアとのつきあい方を重要視している学校が多くあります。
そのため、保護者向けのお便りやリーフレットに、メディアとのつきあい方を見直す旨が書かれたものもあるでしょう。
保護者向けではあるものの、子どもにも簡単に説明して、どんなことが書かれているかを教えてあげましょう。
「学校では、テレビを観る時間はこのくらいがいいと言っているよ。うちでもやってみよう。」
テレビの視聴時間を短くするきっかけは、そんな言葉がけで十分です。
もし、学校のお便りなどで見つからない場合は、日本小児科医会が出しているリーフレット『「見直しましょうメディア漬けの子育て」テレビを消して早寝・早起きを!』をオンラインから印刷して見せても良いでしょう。
このリーフレットにははっきりと総メディア時間の2時間が書かれています。
見やすいところやテレビの近くに貼っておくと、親子で目標を確認しやすくなります。
テレビに関する決まりごとを守らせるには
テレビの視聴時間を決めたら、テレビ視聴に関する家庭のルールを決めておきましょう。
テレビの時間を他のメディアと合わせて2時間とすると、ゲームを1時間したらテレビの時間は1時間となります。
アニメの30分番組だと2つ分、娯楽番組だと1つ分といった計算になります。
そう考えると、適当にテレビを流していては、すぐに視聴時間が終わってしまいます。
効率的に好きな番組をタイミング良く観られるように、以下のようなルールに沿って取り組むとやりやすくなります。
- ルール1 観たい番組を絞る
- ルール2 テレビを観ていいタイミングを決める
- ルール3 1日に2時間以内で時間を設定する
- ルール4 テレビを付けない時間を決める
それぞれのルールをくわしくみていきましょう。
【ルール1 観たい番組を絞る】
番組表を見て、子供が観たい番組を絞っていきましょう。オンエア中に観られなければ、録画しておくようにします。
そうして、選んだ番組だけを観るようにし、他の時間はテレビを消しておきます。
1週間続けてみて、1日2時間以内(週合計14時間以内)に観たい番組が消化しきれなければ、番組の本数を減らして調整するようにします。
【ルール2 テレビを観ていいタイミングを決める】
テレビを観る前に済ませておきたいことをやってから、観るようにするとテレビ視聴で疲れて休んでしまっても安心です。
たとえば、宿題が済んでからテレビを観る、お手伝いが終わってからテレビを観る、といったように、テレビをつけるタイミングを決めておきます。
なかなか宿題に乗り気でないときも、テレビ視聴のご褒美があると、勉強がはかどるものです。
【ルール3 1日に2時間以内で時間を設定する】
家庭によって、メディア時間は変わります。塾や習い事で、あまりメディア時間が取れない場合は、少なくても良いのです。
必ず2時間を越えないようにし、習慣づけるようにしましょう。
1度でも時間を越えてしまうと、次も、また次も…と、約束が守れなくなってしまうので、タイマーを活用すると便利です。
たまには、全くメディアに触れない「ノーメディア」の日を作っても、いつもと違った遊びが発見できて面白いですよ。
【ルール4 テレビを付けない時間を決める】
テレビをだらだらと見続けないために、テレビを消す時間を決めておきます。
例えば、食事中はテレビを消す、テスト前の数日間はテレビを観ない、といったものです。
テレビ視聴にもメリハリをつけて、活動的に過ごせるようにしていきましょう。
食事中のテレビ視聴については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。→子どもと一緒の食事にテレビはつける?それともつけない?
このように、ルールを決めておくと、手が空いてすぐにテレビをつけることがなくなります。
テレビの視聴時間を減らすには、テレビを置いている場所も大切です。
一家にテレビを数台置いてある場合もあり、部屋のどこでも好きな時間にテレビが観られる環境は、テレビの時間を減らしにくくしてしまいます。
特に子ども部屋にテレビがあると、視聴時間が制限できなくなる可能性があります。
子ども部屋にテレビを置いているなら、他の場所に移動させましょう。
子供部屋にメディアを置かない
テレビの時間を減らしたいときは、親の目の届かない場所で見せることは避けましょう。
子ども部屋にテレビがあると、いつまでも観てしまう可能性があり、改善がむずかしくなります。
ルールをしっかりと守れるようになるまで、テレビなどのメディアは子供部屋に置かないことが賢明です。
テレビ以外の楽しみを見いだそう!
テレビを観ている時間は、動きも会話も少なく、子供の運動時間やコミュニケーションの時間を少なくしてしまいます。
観る体験はできるものの、実体験はできません。
テレビ以外にも、兄弟・友達同士で遊んだり、創作遊びをしたりして過ごすことで、自分の頭を使いながら実体験することができます。
さまざまな運動をすると、自分がどんな運動が得意で、どんなスポーツに向いているかがわかります。
体を動かすことに興味を持ち始めた子供は、家でテレビを観るより、外に出て遊び始めます。
ぜひ、週に何度かテレビを観ない日を作って、家族や仲間たちと触れあう時間をとってみてください。
きっと子供が持つ新しい面に気がつくはずです。
子供の健康のために、テレビの時間とルールを守って過ごそう
子供とテレビ視聴時間の関係について、お伝えしましたが、いかがでしたか?
いまではスマホでテレビ番組が観られる時代となりましたが、長時間のテレビ視聴は子供にさまざまな影響を与えることがわかりました。
- 言葉遣いが乱暴になる
- 落ち着きがなく、無関心になる
- 生活時間が乱れる→睡眠不足
- 目が悪くなる
- テレビに時間が取られ、勉強ができない→成績低下
これらの影響を少しでも減らすために、家庭の中でルールを徹底することが望まれます。
今回ご紹介したルールをもう一度おさらいしてみましょう。
【子供のテレビ視聴のルール】
- ルール1 観たい番組を絞る…番組表から、観たい番組を選び、その番組だけ観る
- ルール2 テレビを観ていいタイミングを決める…宿題が終わってからなど
- ルール3 1日に2時間以内で時間を設定する
- ルール4 テレビを付けない時間を決める…食事中、テスト前など
これらのルールを守って、子供が生き生きとした毎日を送れるようにサポートしてください。
上手にメディアと付き合うことの大切さを、親子で確かめ、実践していきましょう。