スイミングを始めるのは何歳から?小学生からでは遅い?


子どものスイミング。「効果がたくさん」「できれば幼いうちから」…よく聞きますが、小学生から始めるのでは、遅いのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。何かを始めるのに「遅い」ことはないですし、むしろ小学生から始めるメリットもあるとか…。

ここでは、まずスイミングの効果や習うことでのメリットをご紹介します。そして小学生から始める場合に焦点を当て、メリットや気をつけたいことをお伝えしていきます。

スイミングの効果

スイミングの効果は実に多い!小学生から始めても大人からでも、嬉しい効果は多数あるのです。

風邪をひきにくい体になる

「スイミングを始めてから風邪をひきにくくなった」…筆者自身も感じていますし、周りでもよく聞きます。でも、どうしてなのでしょうか?

  • 体温調節機能が高まる
  • 心肺機能が高まる
  • 筋力が高まる

主にこれらの理由で、風邪をひきにくい丈夫な体になるのです。

詳しくみていきましょう。

スイミングは体温より低い「水の中」で行いますよね。運動をすると体温が上がり、血管が収縮と拡張を繰り返します。そのことにより体温を調節する力が高まっていくのです。

また、スイミングは水圧を受けた状態で、規則正しく呼吸することが基本。呼吸筋を強くし、心肺機能の向上につながっていきます。

筋力も高めてくれますよね。筋力と基礎代謝は大きく関係しており、筋力が高まると基礎代謝も高まります。基礎代謝が高まると、免疫力も向上していくのです。

運動をすることで基礎体力がつく

スイミング以外の運動でもいいのでは…?と思いますが、スイミングの特徴として、

  • 全身運動
  • 消費カロリーが高い
  • 呼吸の制限がある

ということがあります。

スイミングは全身をバランスよく使う運動。しかも水の「抵抗」を受けながら運動することは、同じ動きを陸の上で行うより、消費カロリーが高くなります。

加えて呼吸をしたい時にできないということもあり、非常に体力がついていくのです。

スイミングは「浮力」により、関節や骨への負担が少ない状態で運動できます。左右対称の動きが多く、全身の筋肉がバランスよく鍛えられるとも言えますね。

また、スイミングは「喘息」や「気管支が弱いことによる咳」の改善によいと聞いたことはありませんか?

スイミングは、陸の上での運動に比べてホコリが少なく湿度が高いです。よって気管支の収縮が起こりにくく、喘息の発作や咳が出にくい環境なのですね。
その上で基礎体力がつくことや、先述した心肺機能も向上させられることから、喘息の改善や気管支を強くする期待ができるのです。

筆者の長女も気管支が弱く、咳で頻繁に病院へ行っていました。しかしスイミングを始めた年の冬から、明らかに病院へ行く回数が減りました。

正しい方法で泳げるようになる

独自の方法で泳いでいると、無駄な力が入り疲れがち。きちんと教わって正しい泳ぎ方を習得できると、疲れずに長い距離を泳げるようになります。

また正しい方法で泳げることは、万が一の時の水難事故の対策にも…。水死事故の多くは、正しい泳ぎや浮き方ができていれば助かったかもしれないとも言われています。

洋服を着たまま、靴をはいたままの状態だと条件は違ってきますが、正しい方法で泳げると、万が一の時の子どものパニックの度合いも違ってくるのではないでしょうか?

習うことでのメリット

どんな習い事でも、学ぶことによるメリットがあるもの。では「スイミング」に焦点を当てた場合、どんなことがあるのでしょうか?

人間関係の幅が拡がる

「新たな人間関係ができる」。他の習い事でももちろん言えますが、スイミングは特にそう言えると思います。人気の習い事なので、単純に「習っている人が多い」のですね。

通常、個人授業ということはありませんので、しばらくすると友達が数人できていることも…。

しかもコーチや先生も、ずっと同じではなく変わっていく場合が多いです。いろいろなタイプの先生とかかわることは、刺激や勉強にもなりますね。

他にもスイミングスクールの受付の方や、スクールバスを利用する場合バスの運転手さんなど、かかわる人が多いのも特徴です。

達成感が得られやすい

これも他の習い事でも言えることなのですが、スイミングの場合は特に「達成感」が目に見えやすいと思います。

スクールによって多少の違いはありますが、

  • 20級から19級のクラスに上がった
  • クロールができるようになった
  • 泳力検定で合格した

など、子どもにもわかりやすいかたちで伸びていきます。

「達成感」を得ると、子どもの意欲・やる気が高まります。段階が上がるとカードにスタンプが押してもらえたり、賞状やメダル・ピンバッジなどがもらえたりするスクールも…。先生・コーチに肯定的な言葉をかけてもらうだけでも、意欲向上につながりますよね。

趣味・特技ができて自信がつく

子どもにもよりますが、小学生ぐらいになると「他の友達に比べて自分はどうなのか」を意識するようになります。たとえば、

  • 小学校の水泳の授業で、水に潜れないのは自分だけ
  • 泳げる子のグループに入れ、水泳の授業が楽しみになった
  • 勉強は苦手で自信がないけど、水泳は得意だ!

などを、自分自身で感じるようになってきます。

「自信」は、子どものやる気を引き出すもの。水に潜れなかった子は、潜れるようになっただけで「自信」につながり、やる気が増すことが想像できますね。

「楽しみな授業」が一つでも多い方が、学校が楽しくなります。「水泳だけは得意だ!」「泳げる!」という自信が、他のことに対する意欲につながることもあるでしょう。

また、一度習得した泳ぎは忘れることなく、大人になってから「趣味」にできるかもしれません。体を動かせる趣味があると、日々のストレス発散や健康な体づくりにもつながりますよね。

スイミングの効果やメリットをもっと詳しく知りたい方、ぜひ以下の記事もお読みください。
スイミングの効果と子どもが習うメリット。何歳からでも始めてみよう!

小学生でスイミングを習い始めるメリット

「もっと早い年齢で始めていればよかった」と後悔する人、「小学生から習い始める子、いるの?」と不安になる人…、いらっしゃるかもしれませんね。

実は小学生から始めるメリットもあるのです!メリットと気をつけたい点を、お伝えしていきます。

メリット:習得が早い

これは大きなメリットです。もちろん個人差はあるのですが、一般的に子どもの年齢が上がるにつれ、

  • コーチ・先生が言っていることの意味が理解できる
  • 指導された通りに体を動かせる
  • 進級テストに合格したいという気持ちが高い

ことが多いです。よって級やクラスが上がるスピードが早いのですね。

筆者の周りの、二人の女の子の例をご紹介します。二人とも同じスクール、かつ運動神経は比較的よくない方です。

【Aさん】

  • 幼稚園年少の6月からスイミングに通う
  • 1級合格(クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライを習得)は小3の夏
  • 顔つけ~1級合格まで「約5年」

【Bさん】

  • 小学1年生の8月からスイミングに通う
  • 1級合格(クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライを習得)は小4の夏
  • 立ち飛び込み(顔つけの次の段階)~1級合格まで「約3年」

飽くまで一例ですが、子どもがスイミングを続けた場合、全体的にこのような傾向があります。

ちなみに筆者の長女は、幼稚園年長から始めました。まる3年続けていますが、現在平泳ぎコースで、なかなか進級せず…。でも体が丈夫になり、楽しく通っています。

メリット:トータルのお金がかからない

上記に付随する内容となりますが、「バタフライまで習得」が目的と仮定すると…。AさんとBさんを例にとった場合、Bさんの方は費用が2年分安く済んでいます。

すなわち「泳ぎの習得」が目的である場合、トータルでかかるお金が安く済む傾向があるのですね。

月謝はスクールによって違いがあったり幼児コースは安かったりしますが、だいたい週1~2回の授業で6000~9000円前後が相場です。

もちろん、スイミングには「泳ぎの習得」以外にもたくさんの効果があるわけですよね。幼いうちから始めるのが無駄ということは、決してありません。

しかし、過ぎたことを考えても意味がありません。小学生になってから始める場合には、メリットの方に多く目を向けて取り組んでいきたいですね。

気をつけたいことと、長く続けるために

反対に、小学生からスイミングを習い始める場合の「気をつけたいこと」とは、どんなことでしょうか?

「せっかく始めるのなら、できるだけ続けたい」…そのための事前準備や、子どもの意欲を高める言葉がけについて、お伝えします。

最初は幼い子やできる子に混じることも

最近は幼児期から習い始めるお子さんが多い。中にはもっと早くからの子もいますね。

ということは、水が怖くて水慣れや顔つけのクラスから始めることになると、習い始めが小さな子に混じる場合が出てきます。

それ自体が屈辱で嫌がる子もいますし、見えるエリアで小学校の友達がどんどん泳いでいるなど「同学年の子と比較して」嫌がる子もいます。

同じ「小学生」でも、1年生だと幼児との身長差もあまりないですよね。でも4、5年生が幼い子に混じっていると、どうしても目立ってしまうと言えます。

ただ、これは地域やスクールによって、だいぶ状況が変わってきます。

「幼児クラス」と「小学生クラス」で、時間帯が分かれているスクールもあります。すると場合によっては、「同じクラスの中で自分だけ顔つけができない、他の子は泳いでいる」というケースもあるようです。

また、「クロールはできるから背泳ぎのクラスから希望したい」という場合も、クロールの完成度によっては希望通りにならないでしょう。

自分では「できる!」と思っていても、プロが見てクラス分けをしていくスクールがほとんどです。よって初級のクラスからスタートで、「思ったのと違う!」ということもあるでしょう。

地域の傾向は?

地域によって、小学生からスイミングを始める子どもが多い、少ないもあるようです。

よく見かける「70%の子どもが4歳までには習い事を始めている」などのデータも、地域によっての違いはあるでしょう。

たとえば中学受験をする子どもが多い地域の場合。知人の話だと、スイミングを習うほとんどの子が幼児期から通い始め、ある程度泳ぎを習得した時点で学習塾に切り替えるケースが多いとのことです。

「子どもの新規会員の受付は小学校2年生まで」というスクールも、実際にあります。

筆者はほとんどの子が公立中学に進む地域に住んでいますが、小学生から始める子も一定数います。やはり低学年からが多いですが、3年生や5年生の例も知っています。

「小学校の水泳の授業だけでは泳げるようにならないから」「水に潜れないと水泳の授業で何もできないから」などの理由です。

「他人は気にしない。自分が習いたいのだから!」というタイプのお子さんは問題ないでしょう。しかしそうでない場合、ある程度お住まいの地域の傾向を知っておいて損はありません。

実際に習っているお友達のお母さんに聞いてもよいですし、スクールで聞いてみてもよいでしょう。

スクールの調査をしよう

事前に、入会を考えるスクールの調査をしましょう。ネットで調べたり電話で聞いたりするだけでなく、親子で足を運んだ方がよいです。

入会してしまうと、入会金や年会費、スクール専用のバッグや水着代など、何かと費用がかかる場合も多いですよ。

  • 受付で気になることを質問
  • 体験教室に参加する
  • 短期水泳教室に参加する

「クラス分けってどんな感じ?」「小学生から習い始める子もいる?」…。気になることや不安なことは、受付や専用の窓口で聞いてみましょう。

あまりにも対応が悪い場合、入会しても各種相談や授業振替の申請が苦痛になることも考えられます。

また、スクールによってカラーが違うものです。

  • 泳ぎの習得を目標に、わりと指導が厳しめ
  • どちらかというと、楽しむことを重視
  • 選手の育成や大会で結果を出すことに力を入れている
これは、できればすでに習っているお友達やそのお母さんに聞けるとよいです。体験教室や短期水泳教室で実際に授業を受けたり、先生と話したりすることで見えてくることもありますよ。

スイミングスクール選びの基準は?

通える範囲に複数のスクールがある場合、どこかを選択することになります。選択の基準、優先順位はそれぞれです。

お子さんにとっては

  • 自分に合う雰囲気か、楽しく通えるか
  • 同じ小学校の友達が多いか少ないか
  • (自分で通う場合)通いやすいか

などが大切だと思います。加えて親御さんからの視点として、

  • 授業の曜日や時間帯
  • 費用や自宅からの距離
  • (送迎する場合)送迎しやすいか
  • スクールのきれいさ・設備
  • 水は塩素を使っているか否か

なども気になるところかもしれませんね。

曜日や時間帯は、下校する時間やご家庭での都合と、スクールの状況との兼ね合いがあります。「希望の曜日の初級クラスは幼児ばかり」ということもあるかもしれません。「授業を休んだ場合、他の曜日に振替可能なのか」も含めて、きちんと調べておくことをお勧めします。

自宅からの距離はどうでしょう?バスが出ているスクールは、バス利用の詳細についても事前に聞けるとよいですね。

筆者の周囲でも「あえて遠いスクール」に通っている人もいれば、「自宅から近い」という理由だけでスクールを決めた人もいます。

【自宅から遠いスクールの特徴】

  • 一人で通う場合は心配(送迎の場合も時間がかかる)
  • (よくも悪くも)知っている人が少ない
  • 小学校以外の人間関係が拡がる

最初は幼い子と同じクラスの場合も、同学年ですでに泳げる子と同じクラスの場合も…。「知っている子がいない方がよい」と感じる子もいるかもしれませんね。

「以前はクラス数が多かったのに、今は1学年に1クラス…」という小学校も増えてきています。子どもの将来のために、人間関係の幅を拡げる考え方も一つです。

【自宅から近いスクールの特徴】

  • (一人で通う場合も送迎でも)通いやすい
  • (送迎の場合)授業時間に帰宅し家事などができる
  • (よくも悪くも)同じ学校の友達や知っている人が多い

慣れてくれば、「通いやすい」ことや「学校の友達が多い」ことは、長所になってくる場合も多いでしょう。

またスクールにもよりますが、能力とやる気があって「選手育成コース」や「選手コース」に推薦されることも…。その場合週2~6回の授業になることもあるので、通いやすいのは最大のメリットです。

通わせたい目的にもよります。「水嫌い克服」であれば厳しくないスクールの方がよいかもしれませんが、ある程度厳しい環境で子どもが強くなったという声もあります。

お子さんのタイプや親御さんの教育方針とも合わせて、できるだけ後悔のないよう選べるとよいですね。

子どもが意欲的に通える「言葉がけ」

実際に習い始めたとします。子どもの意欲を高めるためには、親からのプラスの言葉がけが大切です。

  • 「もう〇〇ができるようになったの?すごいね!」
  • 「本当に頑張っているね!お母さんはわかっているよ」
  • 「テストの結果は気にせず、楽しんでおいでよ!」
  • 「すごくいい勉強と経験になっているよね」
  • 「へー、最後にサウナに入れるの?気持ちよさそうだね!」

などなど…。たくさん褒める。ほんの少しでも、ほんの小さなことでも、「スイミングのよいところ」に目を向けた言葉がけをする。これを意識していきましょう。

親の気持ちや言葉は、思うよりも子どもへ強く影響します。親から心配そうな表情で「どうだった?嫌じゃなかった?」などと何度も聞かれては、子どもも不安になってしまいます。

お子さんと一緒に文句を言う、嫌がったり進みが遅かったりするお子さんを叱ってしまう…。気持ちはわかりますが、よい方向に作用することはほとんどありません。

小学生から始めても、前に始めた友達を抜かす例もあります。もしお子さんが習い始めに落ち込んでいても、「みんな最初はできないよ。先生が教えてくれたことをしっかり頑張れば、追いつけるかもしれないよ!」などと声がけしてあげると、よいと思います。

加えて、「他の子との比較」ではなく、その子自身の成長をしっかりと褒めてあげる。先生・コーチも褒めてくださっているでしょうが、親としても言葉で表現しましょう。

それでも、どうしても難しい…。子どもが通うのを嫌がっている場合…。通える範囲にスクールが複数あれば、変えてみるのも一つ。他のスクールなら楽しく通えることもあり、実際、筆者の周りにも数人います。

お子さんがスイミングに通うのを嫌がる場合、以下の記事も参考になると思います。
スイミングを嫌がる小学生への接し方。事例から対応のヒントも!

お子さんのやる気を大切に!

多くの方が、子どものスイミングに関心を持ったことにより、この記事にたどりついてくださったと思います。

お子さんが「習いたい」と言い出した、という方も多いかもしれませんね。ぜひその意思ややる気を、大事にしてあげてほしいです。

入会前に、調査したスイミングスクールの状況を、わかりやすくお子さんに伝えてあげてほしいと思います。入会してから「思ったのと違った…」を少しでも減らせるように、です。

スイミングを習うことがお子さんの希望でも親御さんの希望でも、お子さんの気持ちに寄り添うことを大切に…。一歩を踏み出すお手伝いができれば、嬉しいです。

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