子どもの汚い字。直すには、言葉かけで子供の意識を変える!
子どもの字が汚くて悩んではいませんか?
家庭学習や宿題をのぞいてみると、字が汚くて読めないことがあります。第三者が読めないばかりか、書いた本人でさえ読めない字を書いていることもあります。
計算式を見直すとき、読めない字を書いていると困ってしまいますね。
汚い字を書くのには、子どもなりの理由があります。
ここでは、字が汚くなる3つの理由を取り上げ、字を綺麗に書くための4つの働きかけをご紹介します。
働きかけの中には、毎日少しずつ実行できる「言葉かけ」があります。適切な言葉には子どもの意識を変える力があります。
ここで、綺麗な字を書くための「言葉かけ」の方法についてもふれているので、ぜひ試してみて下さい。
なぜ汚くなるの?子どもの字が汚いワケ
字を習い始めたときは丁寧に書いていたはずなのに、いつの間にか「はね」や「はらい」が雑に書かれていて、全体的に汚い字になっていることがあります。
子どもの字が汚くなる理由として、以下の3つがあげられます。
- 鉛筆が正しく持てていない
- 早く書き終わりたい
- 丁寧で綺麗な字に重要性を感じていない
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
【鉛筆が正しく持てていない】
綺麗で整った字を書くときの基本は、鉛筆を正しく持って使うことです。
鉛筆の持ち方がおかしいと、指の動きが制限されて、なめらかな字が書けないことがあります。
例えば、鉛筆を握り込むようにして持っていると、直径2センチほどの円を描くとき、指先だけの動きでは無く、腕全体を動かさなくては描けません。
しかし、正しく持っていれば、同じ大きさの円を描くとき、小指側の手の側面を支えとして、指だけで円を描くことができます。
自分が思い描いた字を書くには、正しく鉛筆を持つことが大切なのです。
【早く書き終わりたい】
子どもの字が汚くなる理由のひとつとして、「早く書き終わりたい」と思っていることが、字にあらわれることがあります。
子どもが早く書き終わりたいときは、「宿題」や「家庭学習」をしているときが多いです。
家での勉強を早く済ませると、自分の時間ができたり遊べたりするため、急いで字を書くことになります。
宿題や家庭学習は、親が見ている場合を除いて、その場で添削されることがなく、字が汚くなりがちです。
そのため、普段の授業やテストでは綺麗に字を書くことができても、丁寧に書く意識が薄れるとたちまち汚い字になってしまいます。
【丁寧で綺麗な字に重要性を感じていない】
もうひとつ、子どもの字が汚くなる理由として、「丁寧で綺麗な字に重要性を感じていない」ことがあげられます。
授業のノートやテストの答案用紙を見て、字が汚いと感じる場合は、子ども自身がそもそも字を丁寧に書くことに重要性を感じていないからです。
「汚い字を書いていても困ることがない」もしくは、「丁寧に書いても得したことがない」経験を持っていると、丁寧で綺麗な字に重要性を感じにくくなります。
そのため、ノートでもテストでも、字を書くときはいつも汚い字を書いてしまいます。
この3つの理由をみてみると、【鉛筆が正しく持てていない】ために字が汚くなっている子は、鉛筆の正しい持ち方を身につけることが大切です。
【早く書き終わりたい】ために字が汚くなっている子は、丁寧に書く意識さえ持てれば綺麗に書くことができます。
一方、【丁寧で綺麗な字に重要性を感じていない】ために字が汚くなっている子は、綺麗な字を書くことに関心が無いため、まわりからの働きかけが必要です。
次に、字を綺麗に書くための4つの働きかけを見ていきましょう。
字を綺麗に書くには4つの働きかけが必要
丁寧で綺麗な字を書く子は、しっかりしていて細かいことに気がつくタイプが多く、反対に物事をおおらかに捉えるタイプの子は字が雑になりがちです。
子どもが丁寧で綺麗な字を書くのは、こうした子どもの性格にもよりますが、まわりの働きかけも大切です。
親ができる働きかけは以下の4つです。
- 働きかけ1 正しい持ち方をさせる
- 働きかけ2 線を書く練習をさせる
- 働きかけ3 綺麗な字を記憶させる
- 働きかけ4 「意識づけ」をする
それぞれどのように働きかけたらよいのか、見ていきましょう。
働きかけ1 正しい持ち方をさせる
汚い字を書いているな…と感じたら、子どもの鉛筆の持ち方をチェックしてみましょう。
もし、おかしな持ち方になっていたら、以下の持ち方を参考にして下さい。
人差し指…指の腹で押し当てるように鉛筆を支える。
親指…人差し指よりも少し後ろにくるようにして、鉛筆を支える
中指…指の爪の根元(左側に鉛筆がくるように)を支える
薬指と小指…中指に沿わせて、小指は軽く紙に触れるようにする
【左利きの場合】
人差し指…指の腹で押し当てるように鉛筆を支える。
親指…人差し指よりも少し後ろにくるようにして、鉛筆を支える
中指…指の爪の根元(右側に鉛筆がくるように)を支える
薬指と小指…中指に沿わせて、小指は軽く机に触れるようにする
一度、持ち方の癖がついてしまうと、直すのは大変です。
持ち方をサポートするグッズをうまく活用して、正しい持ち方が出来るように働きかけましょう。
こちらの記事では、鉛筆の正しい持ち方やサポートグッズについてご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。→3点で支えて持ってる?えんぴつの正しい持ち方と矯正グッズ
働きかけ2 線を書く練習をさせる
綺麗な字を書くためには、さまざまな形を描く経験を増やすと良いでしょう。
まっすぐな一本線から始まり、クルクルと円をつなげて描く、三角を描くなど、鉛筆を使って思い通りに動かす練習をします。
自由に思い描いた形が描けるようになったら、お手本を用意して図や文字をなぞる練習をします。
字が汚い子の中には、ノートの罫線やマス目をはみ出して書いてしまう子もいます。
この段階で、一字一字マス目の中に収まるように書く練習をしましょう。
働きかけ3 綺麗な字を記憶させる
綺麗な字を書くには、綺麗に整った字の形が頭に浮かぶことが大切です。
お手本やなぞり書きの字の形を記憶しておくと、何も見ないで字を書くときに、頭の中で思い描きながら字を書くことができます。
字の形を覚えておくことは、子ども自身に「覚える意識」がないと、なかなかうまくいきません。
次で「意識づけ」について、みていきましょう。
働きかけ4 「意識づけ」をする
いくら周りが綺麗な字を書かせようとしても、書いている本人に「うまく書こう」という意識がなければ、綺麗な字に結びつきません。
「意識づけ」は、子ども本人の意識を変える行為です。他の働きかけよりも時間がかかるかも知れません。
しかし、一度本人の意識が変わると、みるみるうちに綺麗な字を書く力がついていきます。
「意識づけ」で親ができるのは「言葉かけ」です。ほかにもいくつか方法があるので、見ていきましょう。
意識づけのための方法3つ
綺麗な字を書かせる「意識づけ」をするには、以下の3つの方法があります。
- 言葉かけ
- 書道
- 苦い経験を味わう
親が直接関わる方法が1つ(言葉がけ)と、本人が経験する方法が2つ(書道、苦い経験を味わう)です。
方法1 意識づけに大切な言葉かけ
言葉かけは第三者ができる意識づけです。時間はかかりますが、何度も続けて言葉かけをしていると、子どもの意識を変えていきます。
「言葉がけ」をするときは、以下のような言葉を伝えると、子どものやる気が育ちます。
「この字はハネがしっかりできているね」
「マスにしっかりと入っていて見やすいよ」
このように、「良いところ」や「こうしたら良くなる」という所を見つけて言葉がけをしていきます。
すると、良いところが具体的にわかり、良い点に意識を集中して書くようになります。
字の汚さを何度指摘しても直らないからといって、ダメだしするとダメなところに意識が集中してしまい、余計にダメになってしまいます。
ついつい言ってしまいがちな以下のダメ出しは、口の中にしまっておいて下さい。
「なんで丁寧に書けないの?」
「全然ダメ」
「ちゃんとやりなさい」
ダメ出しの言葉はマイナスのイメージを引き寄せ、苦手意識を育ててしまいます。
反対に、「良いところ」に注目した言葉は、プラスのイメージを膨らませ、ポジティブに取り組む意識を育てます。
言葉かけをするときは、プラスのイメージが出来るような言葉をかけてあげましょう。
方法2 書道で意識づけ
子どもが興味を持っているなら、書道を習わせるのも綺麗な字を書かせる「意識づけ」に良い方法です。
書道では、点や線の一つ一つがバランス良く組み合わさり、字形を作っていることがわかります。
お手本には、綺麗で整った字を使うため、バランスの良い字を記憶しやすく、練習することで自分の字との違いを認識します。
漢字の書き順は書道で書きやすいようになっているので、正しい書き順を覚えてバランス良く書く練習にもなります。
また、書道展や昇級・昇段により、綺麗に字が書けることを評価されると、「もっとうまくなろう」という意識が自然と生まれます。
方法3 苦い経験を味わうことで意識づけ
誰かに指摘されたり、普段の生活で困ったりすることが無ければ、「字をうまく書こう」という意識はなかなか生まれません。
指摘してもなかなか聞かない、書道は興味がない、という場合は、実際に苦い経験をするまで待つしかありません。
字が汚くて困るのは、以下のことがあげられます。
- 字が汚くて先生に伝わらず、テストが減点された
- 手紙を書いても人に伝わらない
- メモを書いても自分で読めない
字が汚くて一番困るのは、大切な試験で書いたことが伝わらないことです。
何度もこうした困った経験を積むと、「字を綺麗に書きたい」という意識が芽生えてきます。
子どもから「字を綺麗に書きたい」という意思表示が見られたら、絶好のチャンスです。そこを逃さず、親は出来ることをしてあげましょう。
最初にご紹介した4つの働きかけを実行し、綺麗な字を書くサポートをしてあげて下さい。
- 働きかけ1 正しい持ち方をさせる
- 働きかけ2 線を書く練習をさせる
- 働きかけ3 綺麗な字を記憶させる
- 働きかけ4 「意識づけ」をする
親が子どもの字を変えたいと思っていても、変えるのは子ども自身です。まずは、子ども自信の意識を変えることから始めましょう。
のんびりおおらかに構えて子どもをサポートしよう!
子育て中には、さまざまな悩みごとが出てきます。
子どもの汚い字を見て、すぐにでもどうにかしたいと感じるかもしれません。
しかし、親が焦っていると、すぐに直らないことでイライラが募り、心ない言葉を投げかけてしまうことがあります。
子どもはゆっくりと成長しています。
親が言ったことをすぐにできなくても、ゆっくりですが吸収しています。
親ものんびりとおおらかに構え、いつかできることを信じて、サポートしていきましょう。
今回ご紹介した「字が汚くなる理由」を子どもの様子と照らし合わせ、適切なサポートをしてあげてください。
字が汚くなる理由3つとサポート方法をまとめました。
→正しい鉛筆の持ち方を教える
・早く書き終わりたい
→丁寧に字を書く意識を持たせる
・丁寧で綺麗な字に重要性を感じていない
→綺麗な字を書くことの重要性を感じさせる
さらに、綺麗に字を書くための4つの働きかけを続けることで、子どもの「綺麗に書きたい」という意識を引き出します。
・働きかけ2 線を書く練習をさせる
・働きかけ3 綺麗な字を記憶させる
・働きかけ4 「意識づけ」をする
特に、意識づけでは、親の「言葉かけ」が重要です。
ポジティブになれる言葉のシャワーを浴びせて、やる気の芽をぐんぐん育てていきましょう。
いつの間にかノートに綺麗な字が埋まっているかもしれませんよ。