いじめられやすいタイプといじめられないタイプ。育て方の注意点


いじめは学校の先生がどんなに頑張っても無くなるものではありません。一度ターゲットになってしまうと、どんどんエスカレートしてしまい、不登校の原因にもなるので問題視されています。

そんないじめの実態として、子どもの中にはいじめられやすいタイプが存在します。いじめられやすいタイプにはいくつかあり、中には身体的な特徴まで関係している場合もあるのです。

親ならば誰しも、我が子をいじめから守りたいと考えますよね。それには、早くから我が子をいじめられやすいタイプにしない育て方をするのも有力な方法と言えます。いじめが何故起こるのか?そしていじめられやすいタイプについてよく理解し、我が子をいじめから守りましょう。

なぜいじめられる?いじめが起こる理由

子どもがいじめを始めるには理由があります。相手から嫌な思いさせられた事がきっかけになりいじめへと進展してしまうと考えがちですが、どうやら他にも理由があるようです。

最近の子どものいじめはどんな理由から起きているのか、ここで詳しくご紹介していきます。まずは子ども社会の実情を知っておきましょう。

優越感が得られるから

何事に於いても人より優れているものが無いと感じている子どもは、いじめをする事で優越感を得ようとします。本当は、得意分野で他の子どもよりも優れていると認めてもらいたいのですが、それができないと感じるといじめにより優越感を得ようとするのです。

この場合、本来勝ちたい子どもに対して向けられるはずの妬みなのですが、本人には向けられる事無く矛先を変えて無関係の子どもをいじめるという行動に出ます。自分を満足させるためのいじめであり、いじめられやすいタイプが真っ先にターゲットになりやすいのです。

不安な気持ちを解消させるため

いじめには、いじめる側の子どもの気持ちが大きく関係しています。そして、その気持ちは決して特別なものでは無く、誰しもが持ち合わせている「不安」からくるものなのです。

いじめる側の子どもは不安を解消するために他の子どもをいじめます。例えば、いじめられやすいタイプ子どもに対して暴言を吐いてみたり、集団でたった一人を攻撃するなどのいじめが行われますが、これは不安な気持ちを埋めようとしているのです。

でも、このような心理は人間にはもちろん動物ならば本能として持ち合わせています。

例えば野生の動物は空腹になると不安になり、その不安を解消させるために餌を求めるのです。不安な気持ちを感じると、解消しようとするのは動物的な本能と言っても良いでしょう。

但し、すぐにいじめで解消しようとする子どもの場合、いじめる側の家庭環境や育て方に問題があるとも考えられています。心が正しく成長できていないと、自分の不安な気持ちを解消させるために特定の子どもをいじめるようになり、その時いじめられやすいタイプが格好の的となってしまうのです。

寂しさからの怒りをぶつけている

寂しい気持ちがどんどん蓄積されていくと、怒りの気持ちが生まれてしまう事があります。怒りの気持ちが自分へ向くようになると自傷行為へ繋がりますが、他人へ向いてしまうといじめが起こるようになるのです。

寂しさを埋められずイライラしている子どもの場合、いじめているという意識が無いまま意地悪な事を言ったり、暴力的な事をする場合が多くなります。しかも相手は自分より強い立場にいる者ではなく、いじめられやすいタイプに向けられてしまうのです。

少し前まではいじめられる側に問題があると言われた事もありました。しかし、今はいじめる側の子どもの方に問題があり、親からの愛情不足も一因であると言われています。親からの愛情が不足していると日常的にイライラしやすい子どもになり、いじめられやすいタイプの子どもがターゲットになってしまうのです。

いじめられやすいタイプの子どもとは?

いじめが起こる原因として、実はいじめられる本人には全く関係の無い理由があるかもしれないという事を分かっていただけましたでしょうか。そしてそんな時に真っ先にターゲットになってしまう恐れがあるのが、いじめられやすいタイプなのです。

では、ここからはいじめられやすいタイプにはどんな特徴があるのかご紹介していきます。お子さんに当てはまる様であれば、いわれの無いいじめに遭ってしまう可能性があると考えられるのです。

目立ってしまう子ども

いじめられやすいタイプとして挙げられる目立ってしまう子どもと言うのは、目立ちたがり屋さんとは少々意味が違います。

例えば見た目が他の子と違う特徴があったり性格があまりにも個性的な場合など、決して本人が悪い訳では無いのですが知らず知らずのうちに目立ってしまう子どもはいじめのターゲットになりやすいのです。

そもそも子どもには残酷な面があり、身体的な部分で特徴がある部分に付け込んでいじめを始める事もあります。また、行動がゆっくりしている子どもや逆に何でもテキパキと他の子どもよりも素早くできてしまう子どもも、本人の意志とは関係が無いところで目立ってしまい、いじめられやすいタイプに入ってしまうのです。

個性的な見た目や性格の子どもは、良くも悪くも目立ってしまいます。いじめる側にすると、自分とは違うというだけでいじめが始まる訳ですから、子どものいじめは理不尽な一面が多々あるのだと言えるのです。

気弱な性格の子ども

何を言われても言い返す事ができない、自分から意見を述べる事ができないなど性格的に気が弱い子どもはいじめられやすいタイプと言えます。いじめる側の子どもが、この子は何を言っても言い返して来ないのでいじめやすいと考えるからです。

また、気が弱いが故にいじめる側についてしまい、気が付けばいじめられる側に立たされていたという事も珍しくありません。自分の考えを隠し表に出さないと信頼も得られず、いじめられやすくなるのです。

協調性の無い子ども

集団生活をしている中で協調性が必要ですが、中には集団行動が苦手という子どももいるでしょう。自分の納得できない部分で反対意見を述べる事も子どもながらにあると思いますが、それが協調性に欠けるほど過剰になってしまうといじめられやすいタイプになってしまいます。

協調性が無くていじめられてしまう場合、他の子どもは関わりを絶とうとするので暴力的ないじめでは無く、ひとりぼっちにさせられてしまう事が多いかもしれません。周りを受け入れられないので、逆にみんなが離れていってしまうのです。

但し、協調性に関しては発達障害である可能性も指摘されています。発達障害の場合は幼児の頃から集団の中で一人違った行動を取っていたり、コミュニケーションが上手く取れないなどの特徴がしばしば見られます。

もしも発達障害の場合はわがままな子どもであると勘違いされてしまう事も多いので、周りの大人が注意して見てやらなければいけません。無理やり集団に馴染ませようとするのでは無く、専門家のサポートを受けながら少しずつ時間を掛けて集団行動に慣らしていく必要があります。

真面目過ぎる性格の子ども

何事に於いても真面目過ぎる子どもは、何かが起こった時に自分を責めてしまう場合が多いです。「まあいいか」と楽観的に考える事ができず、「全部自分が悪かったんだ」という風に結論を出してしまいます。

すると、いじめる側の子どもも「自分で悪いと思っているのだから悪いのはあの子なのだ」という風に考えてしまい、いじめの内容もどんどん悪化していく傾向にあるのです。

また、真面目過ぎる性格の子どもはすぐに自分が悪かったと思い込んでしまうため、相手に対して強く出る事が無くなります。それは、いじめる側の子どもにとって絶好のターゲットとなる材料にもなるのです。

妬まれやすい子ども

他の子と比べて成績が良くスポーツが万能、そして容姿も良いとなれば周りからは羨ましいと思われるでしょう。でも羨ましい気持ちが嫉妬となり、いじめの対象になってしまう場合が多く、実は羨ましがられる子どもはいじめられやすいタイプなのです。

才能や見た目だけでなく、裕福な家庭である事や両親が有名人であるという場合にも妬まれやすくなります。よく芸能人のお子さんが子供時代に学校でいじめられていたという話を耳にする事があると思いますが、これこそ正に妬みからくるいじめと言っても良いでしょう。

いじめられないタイプの子どもとは?

いじめられやすいタイプの子どもがいる一方で、いじめられないタイプの子どもも存在します。次は、いじめに遭う可能性が少ない子どもとは、どんな様子の子どもなのかを詳しくご紹介していきましょう。

信頼関係を上手く築ける子ども

皆から信頼されてリーダーシップの取れる子は嫉妬されやすく、いじめられやすいタイプになってしまいます。ところが、相手の気持ちを考えながら行動する事ができる子どもは個人的に信頼を得る事ができ、いじめられないタイプになるのです。

表立っては目立つ事無く陰ながらみんなに慕われている子どもがこのタイプで、大人しいけれども自分の意見を持ち、先頭には立たずに縁の下の力持ち的な存在となっているケースが多いでしょう。

自分の考えに自信のある子ども

間違った事をしている友達に、「それは間違っている」と自分の意見に自信を持って言える子どもに対しては、いじめる側も警戒します。勉強や運動ができるできないに関係無く、自分の考えには根拠があり間違えていないと自信を持って相手に伝える事ができる子どもはいじめられないタイプです。

そのような子どもは、家庭でも良い事や悪い事を小さな頃からきちんと教えられて育ってきています。両親を始め周りの大人たちから幼いころより良い事をした時には褒められ、いけない事をすると叱られるといった経験が多く、自分の善悪の判断が的確であるという自信があるのです。

NOとはっきり言える子ども

理不尽な命令や暴力などをされても、その場で直ぐに「いやだ」という意思表示をはっきりする事ができる子どもはいじめられにくいタイプです。いじめる側の子どもも、はっきりNOと言われるとその先なかなか手を出す事はできないでしょう。

嫌な事をされた時に毅然とした態度で断る事ができれば、いじめられる可能性は低くなります。但し、事あるごとに自分の気分次第でNOを言っていると、逆にイジメられやすいタイプになってしまうでしょう。

いじめられやすいタイプにしない育て方

いじめられやすいタイプといじめられないタイプの大きな違いは、目立つ存在ではないものの自己主張がしっかりとできるという点です。

いじめられないようにするには、いじめる側の子どもに対して付け入る隙を見せない事がポイントで、消極的な態度を取っているといじめられやすくなります。

いじめられやすいタイプにならないようにするには、常日頃から家庭での育て方にも気を付ける点がいくつかあるようです。ここでは、いじめられやすいタイプにしないようにするにはどのような点に注意して育てていけば良いのかご紹介します。

過保護はダメ

過保護に育ててしまうと、何か嫌な事をされた時にどのように対処したら良いのか分からず、いじめられやすいタイプになってしまいます。過保護の場合、親が常に先回りをして子どもを守ってしまうので、色々な経験ができないのです。

嫌な事をされてもどうしたら良いのか分からずあやふやな態度を取ってしまうので、そのままずるずるといじめられる側のターゲットになってしまうでしょう。過保護や過干渉を改め、子どもには幼いうちから友達同士の関わりの中で色々な経験をさせる方が良いのです。

良い事悪い事をしっかりと教える

いけない事をした場合は、何故それがいけない事なのかを子どもが納得するまで説明して嗜めるようにしましょう。そして子どもが良い行いをした時は、思いっきり褒めてあげてください。

良い事や悪い事を親がきちんと教えておかなければ、子どもは学校でいじめられた時に「自分が悪いのかもしれない」と思い込むようになってしまいます。良い悪いの判断が正確にできる子どもは、いじめる側の要求に対してもきっぱり拒否する事ができるようになるのです。

相手の気持ちを考えさせる

こんな事をされたら相手はどんな気持ちになる?と、相手の気持ちを想像させるようにしましょう。空気を読む事ができたり相手の気持ちが理解できる子どもは、信頼関係を築くのが上手になるのです。

いじめられやすいタイプは集団行動があまり得意では無い傾向にありますが、相手の気持ちを上手く読み取る事ができていると協調性も自然に育まれていきます。

「お母さんは今、とても悲しい気持ちになっているのよ」という風に、子どもに正直な気持ちを話すのもいじめられやすいタイプにならないように育てる際には重要です。相手の気持ちをすぐに想像できるようになると、周りの子どもからも信頼を得られ自信も付きます。

否定的な育て方をしない

いじめられやすいタイプにならないように育てるには、子どもが苦手とする事を否定的に捉えるのではなく、できる事を褒めてもっと伸ばしていく育て方をしましょう。子どもは褒められる事で「自分は家族から愛されている」と強く感じるようになり、自信が生まれます。

できない部分にばかり焦点を当ててしまい否定的に育ててしまうと、「自分はダメな人間だ」と思い込むようになりいじめられやすいタイプになってしまうのです。自分が悪いからいじめらていると思ってしまうと、周囲へ相談する事もしなくなります。

子どもが良い行いをした時や得意な事に関しては、その都度たくさん褒めてあげましょう。否定的な言葉は子どもに使わず、どんどん肯定する言葉を投げかけてあげてください。ポジティブな思考の子どもになるように育てると、いじめには無縁な子どもに成長してくれるでしょう。

子どもにはいじめられやすいタイプがいる

子どものいじめは何がきっかけになってしまうのか、大人には想像もつきません。ましてや学校へ通うようになると、先生にも分からないような陰湿ないじめが起こっています。そして子どもにはいじめられやすいタイプがあり、そんな子どもがターゲットになりやすのです。

親は子どもの傍にずっとついていてやることができません。子どもは自分の身を自分で守らなければならないのです。けれども、子どもをいじめられやすいタイプにならないように育てる事なら、今からでもできるのではないでしょうか。

子ども社会では理不尽な理由でいじめへと発展してしまうのも、決して珍しい事ではありません。最近では子どもがいじめられやすいタイプになってしまうのは、親の育て方による影響も大きいと言われています。ここで述べてきた内容を参考にして、いじめられやすいタイプにならない子育てをしましょう。

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