小学校の担任が「合わない」と思う時。親はどうするべき?
大人でもありますよね、「あの人、合わないな…」。お子さんが小学生にもなると、お子さんにも「合う人」と「合わない人」がはっきりしがちになります。
親御さんからの目で、「うちの子には合わない…」と思うパターンもあるかもしれませんね。
その相手が小学校の担任の先生だったら…?親としてどう対処するのが望ましいのでしょうか?
ここでは、お子さんへの声がけ、親としての気の持ち方、担任の先生へのかかわり方などをご提案!筆者の小学校勤務経験や二児の母親としての体験も交えて、お伝えしていきます。
お子さんのよりよい成長のために、親としてできること…。一緒に考えていきましょう。
「担任と合わない」…3つのケース
「今回の担任の先生、合わないなぁ。」…よくある話です。「合う・合わない」のケースや度合いはそれぞれですが、よくありがちなケースを3つに分けてご紹介します。
先生に問題がない場合に限る
3つのケースをご紹介する前に、この記事全般、「先生側に問題がない」場合を前提として執筆していきます。
- いじめなどの深刻な問題に対処してくれない
- 授業をする力が極端に不足している
- 体罰や暴言、性的嫌がらせの疑いがある
などの先生は、「合わない」ではなく先生側に問題あり。線引きが難しいとも言えますが、子どもたちのよりよい成長のため、親として何らかの手立てを講じる必要があると考えます。
この記事では「先生側に問題がある」のではなく、単に個人対個人の「相性がよくない」場合を取り上げていきます。
ケース①指導が厳しすぎる先生
最も多いパターンかもしれません。ひどい場合は子どもの自信や意欲が失われ、「学校に行きたくない」と言い出すケースもあるでしょう。
「厳しい指導が多いけれども、褒める時はうんと褒める」のように、指導にメリハリがある先生もいます。反面、細かく厳しく指導するばかりの先生もいます。
- きつく注意されたり怒鳴られたりすると萎縮する
- 褒められた方がやる気が出て伸びる
- 厳しく注意されることを恐れて実力が発揮できない
などのタイプの子どもは、「合わない」と思いがちに…。
ストレスのはけ口や感情むき出しの厳しさでは困りますが、きちんとした方針のもとでの指導であれば、成長が見られる子どもも多数います。
最近はある程度厳しくしないと授業が成り立たなかったり、学級がまとまらなかったりするケースも多いと聞きますね。
ケース②雰囲気・波長が合わない先生
先生も人間。それぞれカラーをお持ちです。
体育会系でサバサバした雰囲気の先生もいれば、おっとりとした口調だったり表情にあまり変化がないタイプだったり…。
子どもの「主体性」を重んじる先生もいますし、「〇〇しなさい!」が多い先生もいます。
子どもにも個性があります。先生と合わない場合、「なんとなく話しにくいな」「なんか教室の居心地が悪いな」などと感じることがあるでしょう。
ケース③指導が甘すぎる先生
ケース①の反対で、指導が全体的に甘すぎる先生もいます。この場合、子どもが「合わない」と感じるより、親が「うちの子には合わない」と思うパターンが多いでしょう。
学習面・生活面・各種行事など、自ら主体的に取り組むのが難しい子の場合、
- 文字や数字、連絡帳に書く字などが雑になる
- 忘れ物が多くなるなど生活態度が乱れてくる
- 悪ふざけが多くなる
ことなどが出てきがち。友達から悪い影響を受けやすくなったり、「ちゃんとやらなくていいや~」と思ったりする可能性が高まるのですね。
でも注意したいのは、ぱっと見た感じだけで先生のタイプを決めつけないこと。
子どもにどうかかわるのが望ましい?
では実際に「担任が合わない」時。親として子どもにどう声がけしたり、かかわったりしていけばよいのでしょうか?
状況によって正解が違う、一概に言えない、ということも多いのですが、親自身の気の持ち方やラクになる考え方も含めて、ご紹介します。
前提として…
まず先生と保護者は、決して敵ではありません。「子どもの成長を願う」仲間です。
たとえ教育方針や考え方が親と先生で違ったとしても、最終的に子どものよりよい成長につながっていけばよいのですね。
ありがちなのが、子どもが近くにいるにもかかわらず、親が先生の悪口を言ってしまう。これ、意外と子どもは聞いて理解しています…。
聞いた「悪口」は頭に入り、よい方向に作用することはありません。仮にお子さんが先生のことを好きな場合、心が傷つきますし、先生の悪い部分が目につくようになるかもしれません。
お子さんが先生のことを嫌いな場合、「親も味方になってくれた!」と思う可能性はあります。
厳しすぎる先生の場合
子どもは小学校で疲れていることが考えられます。すでになさっている親御さんも多いかもしれませんが、「安心してリラックスできる家庭づくり」を心がけましょう。
厳しすぎる先生に当たった1年間は、普段厳しい親御さんも少しゆるめるなど、シフトチェンジするのもよいかもしれません。
学校では褒められる機会が少ないことも考えられます。家庭では学習面でも生活面でも、お子さんの良いところは存分に褒めてあげるのがよいと思います。
学校の話を親御さんにしてくる場合は、よく聞いてあげましょう。
- 「〇〇くんもまた怒られていたよ」
- 「ほんっと、あの先生怒りすぎ!」
- 「もう学校に行きたくないよ」
もちろん、明らかにお子さんが悪い場合は…。叱られてつらかった気持ちに共感した上で、「いい勉強になったね、今度から気をつけよう」などの声がけをするとよいでしょう。
話を聞く中で、先生に体罰や暴言の疑いがあったり、深刻な不登校につながったりしそうな場合は別ですが、単に発散したいだけのことも多いもの。
そんな時は、親側からはあまり口を出さず、話をきちんと聞いてあげる。それだけでお子さんの気持ちがラクになり、また明日から頑張れる、という場合もあります。
「そうなんだ…」「大変だったね」など共感の姿勢は大事ですが、一緒に悲しんだり怒ったりの感情移入はしすぎない。どっしりとした「山」のような包容力で話を聞いてあげると、よいと思います。
子どもの話を信じる気持ちは大切ですが、ありのままを話しているかはわかりません。
- 自分に都合が悪いことを隠す
- 共感を得たくて大げさに話す
- 上手く説明する力がまだ不十分
自分が有利になるように話したり大げさに話したりすることは、大人でも思い当たる節がないでしょうか?また特に低学年のお子さんは、説明力が不十分なこともあり得ます。
こんな時は「事実」や「先生のお考え」を知ると、親側の見方が変わることも考えられます。後ほど「担任の先生とのかかわり方」の章などでも、お伝えします。
雰囲気・波長が合わない場合
お子さんのこれからの人生、いろいろな人に出会うものです。
- 「ガミガミ言う人だな。全部真に受けると体がもたない」
- 「この人はいつもここで怒る。だから先回りして準備しておくか」
- 「ちょっと苦手な人。だから必要なこと以外は話さなくていいや」
親御さんも、自分自身のことを思い浮かべるとわかりやすいです。近所、親同士、職場などの人間関係…疲れないよう上手く対処することがありませんか?
雰囲気や波長が合わない先生とかかわるのも、お子さんにとって勉強です。
また、1学期は特に「前の先生の方がよかった」と言うこともあるでしょう。しかしこれも、大人の世界でもよくあることではないでしょうか?
もちろん、「前の人の方がやりやすかった」とずっと感じる場合もあるでしょうが、「慣れ」は大きいもの。先述しましたが、お子さんも数ヶ月後にはあまり言わなくなるかもしれません。
結論としては、お子さんの話に影響されず、でもきちんと話を聞いてあげる。お子さんの「ガス抜き」はさせてあげるのがよいと思います。
「ハズレ教員」からでさえも、何か学べることがあるかも…。「放置したら大変なことになりそう」「教育公務員なのにこれ?」という先生の可能性もなくはないですが、少しぐらいの「ハズレ教員」なら勉強の機会ととらえるのも一つです。
しかし気をつけたいのが、授業が少しわかりにくいなどの理由で、親側だけが「ハズレ教員」と思っている場合。案外子どもは先生のことを好きかもしれません。
- 休み時間に一緒に遊んでくれる
- よく話を聞いてくれたり褒めたりしてくれて嬉しい
- 笑顔が多くて楽しいしリラックスできる
親自身が前向きな気持ちでいるだけで、子どもに対する声がけの質や態度も変わってくるものです。
指導が甘すぎる先生の場合
「指導が甘すぎる」にも、いろいろなパターンがあると思います。一見「甘い先生だな」と思っても、
- 子どもの主体性や気づきを大事にする
- 厳しく指導することよりも褒めることを多くする
- やるべき時以外は子どもにのびのびさせたい
という教育方針かもしれません。教育の成果は、すぐには出ない、目に見えにくいことも多いもの。厳しく指導することだけが、将来的にお子さんのプラスになるとは限りません。
しかしながら、書く文字が雑になったり悪ふざけや忘れ物が増えたりするお子さんも出てきがちなのは先述の通り。
親の言うことは聞かない!という子どもも多いので難しいのですが、ここは工夫して親御さんからも繰り返し注意していきたいところです。
- 命令でなく「〇〇の方がお母さんは嬉しいな」などの声がけ
- 「〇〇だからやめよう」など、理由を明確にして話す
- 何かに対して褒めた後に、改善してほしいことを言う
しかし、先生の指導の甘さがあまりに行き過ぎている場合、何らかのかたちでアクションを起こした方がよいことも…。
- 間違いだらけの計算、読めないほど雑な漢字などにハナマルがついている
- 禁止されている持ち物が教室内で流行っているのに、一言も注意しない
- 子どもたちが騒がしく、授業が成り立っていない
などなど…。放置しておくのもどうなのか、というケースもあります。
担任の先生とのかかわり方
できれば、保護者と先生が良好な関係を築いていく。お子さんのために、これに越したことはありません。
筆者の経験と心理学の知識もからめた、良好な関係を築くためのポイントや、実際のやりとりのコツなどを、お伝えしていきます。
最低限の礼儀は心がけたい
どんな人間関係にも共通することですが、まずは「挨拶」や「お礼」などの礼儀を心がけましょう。
- 会った時には「こんにちは、いつもお世話になっております。」
- 電話や連絡帳で何かを伝えてもらったら「ありがとうございます。」
- 子どもが迷惑をかけた時には「申し訳ございませんでした。」
「えっ?常識でしょ」と思う方もいるかもしれませんが、残念ながらできない親御さんが増えてきています。
まずこれらの挨拶があるだけで、誰でも気持ちがよくなります。先生に気分よくなってもらえることは、お子さんや親御さんにとっても全く損はないですよね。
挨拶の心理的効果は数知れず。相手の存在を認知し受け入れるサインになりますし、印象をよくしたり会話のきっかけになったりもします。
また授業参観後に設定されることが多い「学級懇談会」も、できれば参加した方がよいでしょう。先生の教育方針を聞いたり、お人柄や雰囲気を知れたりする機会でもあります。
プライドを傷つけないことが得策
筆者の経験から、学校の先生はプライドが高い方が多いと感じます。老若男女問わず、ですが、ベテラン教員の方が確率は高いですかね。
もちろん全員が全員ではありません。仕事をする上でプライドは大事だとも言えますし、決して悪いことではありません。
ここで言いたいことは…。先生とかかわる時には、「プライドを傷つけないよう配慮する」のが無難だということです。
自分よりも若い、自分よりもレベルの低い大学…。見下す親御さんもいますが、先生は立てておいた方が良好な関係を築きやすいです。
「そんなこと、したくない!」と思う親御さんもいるかもしれません。しかし良好な関係を築いておいた方が、お子さんのためにもなるでしょう。
本来は自然と感謝でき、自然と良好な関係を築けるのが理想。でもそうできない事情があっても、良好な関係を築く努力をしておく方が得策なのです。
実際に先生とやりとりする時は?
実際に小学校の担任の先生に、話したり相談したりしたい場合。基本的に、以下のいずれかの方法となりますね。
- 連絡帳
- 電話
- 直接小学校へ出向く
それぞれの方法に特徴があり、内容によってその特徴を生かせるとよいと思います。
連絡帳は、親御さんも先生も考えながら文章をつくることができます。反面電話や直接会うことは、素早く答えが返ってきますね。
もちろん、親御さんの得意な方法を選ぶのも一つです。文章に表す方が伝えやすい、電話の方が緊張しない、実際に会って話したい、…それぞれでしょう。
最近ようやく教員の過酷な労働状況が明らかになってきていますが、先生方は基本忙しいです。その中で保護者対応をしている現実を、保護者側も理解しておくとよいのかなと感じます。
連絡帳での注意点は、お子さんの目にも留まること。見られない方がよい内容については、手紙を書いて封筒に入れ、クリップなどで留めるとよいでしょう。
何か先生にお願いしたい時や言っておきたいことがある時。まだ事実がわからないことに関しては、まず事実を聞き出すことをお勧めします。
「子どもが〇〇と言っているが本当か。その時の様子を知りたい。」という旨を、失礼のないようソフトに聞く感じでしょうか。まず先生に聞いてみるスタンスから入ると、感じが悪くなりにくいです。
先生とやりとりをするうちに、その時の状況や先生のお考えが見えてくることも多いでしょう。子どもの話だけで「決めつける」ことは、ありがちですがNGです。
先生に何かお願いしたい時、「学校に丸投げ」という態度はお勧めできません。
筆者の母親としての体験談
筆者の長女は小学校3年生。厳しくて有名な先生が担任になりました。
長女から「3年生になって学校がつまらない。先生がみんなに怒ってばかりで」などと毎日聞かされていました。よくないと思いながらも、つい一緒になって悪く言ってしまったことも…。
「ちょっとしたことでもすぐに電話がかかってくる」と近所の方々から聞いていたので、早速5月にかかってきた時もびっくりはしませんでした。
内容は
- 長女の食べ方のマナーに少し問題がある
- 授業を聞く姿勢に問題がある
- 言わない方がよいことを口にする傾向がある
などなど…。実はこれ、長年筆者が家庭で注意しても直せない「娘の苦手なこと」。筆者もつい娘に怒ってしまう、「イライラさせられている」ことでした。
親としてショックな気持ちもありましたが、まず先生がしっかり見てくださっていることに驚きました。2年生までは、こちらから聞いても「特に目立った問題はない」と言われていたからです。
しかも話の端々に「直していかないと将来的に〇〇さんが損をしてしまう」などの言葉がありました。娘の将来を考えて、きめ細かく指導してくださっているのが伝わってきたのです。
筆者の対応として、
- 丁寧に指導してくださっていることへのお礼
- 自分も家庭で長年注意してきていることのアピール
- 先生のおっしゃる通りですので引き続きよろしくお願いします
この3点を軸に、先生との会話をしました。もちろん筆者も人間。お話を聞きながら、頭には批判したいことがよぎったりもしました。
しかしそれを、瞬時に頭の中でチェンジ!子どものため、自分のために、前向きな考え方に切り替えました。
- 話が長いなぁ→忙しい中娘のために時間を割いてくださっている
- 細かすぎない?→雑な指導の先生もいる中ありがたい
- 頭が固いなぁ→教師あるあるだし仕方がないか
他にもいろいろあり、1学期だけで5回電話をいただきました。家庭訪問が廃止された関係もあるのかもしれませんが、自分の子育てが悪いのか…娘の将来は大丈夫か…と心配が頭をよぎる時もありました。
しかし今になって思うのは、先生のお考えや熱心なご指導を理解でき、4、5月よりも安心して預けられるようになったこと。
長女にも「そうか…大変だったね」と話を聞きつつ、「先生はよく見てくださっていてありがたいね」「将来のことを考えて言ってくれているのだよ」という声がけが自然とできるように。娘の話は、徐々に先生の悪口よりも楽しかった話が増えてきました。
もちろん親子共々「慣れ」も大きいと感じます。
いろいろな人とかかわるのが勉強
子どもは、さまざまな「人」とかかわりながら成長していきます。「人」にはそれぞれ良い面・悪い面がありますが、良い面を自分に取り入れながら育っていってほしいものです。
その手助けをするのが、親の仕事ではないでしょうか?縁あって出会った担任の先生。勉強を教わるだけでなく、良いところは「お手本」として吸収してほしいですよね。
しかし繰り返しになりますが、この記事は「先生に問題がない」場合を想定して執筆しています。
このまま黙り続けることが、明らかに子どものためにならない…残念ながらそんな先生もいるでしょう。お子さんの深刻な不登校を招いた場合も、黙っているわけにはいきませんね。
その場合は以下の記事をご参照いただければと思います。
小学校の担任にクレームを言う時に、失敗しないための4つのこと
お子さんと担任の先生が合わない経験も、今後のお子さんの人生に生かされる。何年後かはわかりませんが、それを実感できる日が来るかもしれません。