小学校の担任の決め方。事例や傾向、クラス分けについてもご紹介!
小学校の担任の先生。誰がどう決めているのか、気になりますよね。
保護者の要望は通る?先生の希望も考慮されている?…決め方に明確な取り決めがあるわけではないのですが、大まかな流れや傾向はあります。
また、児童のクラス分けも担任を決めるポイントとなる場合が…。よってクラス分けについても、お伝えしていきます。
小学校や特別支援学校での勤務経験がある筆者の記事で、学校の中を少し覗いてしまいましょう!
小学校の担任の先生、どう決める?
まず、小学校の担任の先生の決め方についてです。知っている範囲での流れを、お伝えしていきます。
誰が決めるの?
ズバリ、その小学校の校長先生です。
ただ、単級(1学年1クラス)でない限りは、
① まず学年主任を含めた、その学年の先生だけを校長先生が決める
② 次に各クラスの担任を学年主任、もしくは学年での話し合いで決める
③ 最後に校長先生が確認し、正式決定する
という場合もあります。
しかし、そういった手段も含めて、飽くまでも決めるのは「校長先生」。後述する「いつ」「どうやって」なども、それぞれの校長先生により多少違いは出てきます。
いつ頃決まるの?
教職員に対しても、正式に発表されるのは4月に入ってから。通常3月中には4月からの担任が決まりますが、けっこうギリギリなことが多い印象です。
終了式の段階で、まだ正式決定していない場合も多いと思います。なぜかと言うと、人事異動の発表が3月下旬だったり、急に決まった転入・転校生がいると学級数の増減があったりするからです。
ただ、筆者の勤務していた2つの学校は、先生方に「希望」をとっています。「異動希望」はもちろん、同じ学校に残る場合は「何年生を担任したいか、教務への希望の有無」などです。
教員の中には、教員同士の情報交換や学校全体を見渡した感じで、なんとなく来年度の人事を予想している人もいます。「自分は多分持ち上がりだろうな」「誰も6年生を希望していないから来年も6年生かな」など…。
希望をとる時期にもよりますが、中には早い段階から予想している先生も!余談ですが、この「予想」は難しい年と比較的簡単な年、大幅にハズす時とだいたい当たる時、さまざまです。
どうやって決めるの?
先述の通り、校長先生が決められます。先生方の希望や意見は聞かず、校長先生一人で決めることも可能なのですね。
では「決め方」には、どんな傾向があるのか…。
校長先生は、学校全体の状況を考え、担任もしくは学年の先生を決定していきます。具体的には、どういうことでしょうか?
- 教員の経験年数、力量、性別、健康状態
- 児童の様子や状態
- モンペなど、注意を要する保護者のこと
まず「教員のバランス」、これは重要です。たとえば、以下のようなことを考慮します。
- 同じ学年にベテランと若手を配置
- 同じ学年に力量や健康状態の偏りがない配置
- なるべく男女比のバランスも考慮した配置
1学年1クラスでない限りは、基本的に学年主任を先に決めます。学年主任は、ある程度の経験がないと務まらないからです。
軸である学年主任を決めてから、各学年の先生を配置。校長先生のお考えにもよりますが、教師の力量、健康状態など、なるべく偏りがないよう考慮していきます。例として、
- 指導力不足や何らかの問題が疑われる教員
- 家庭の状況や健康状態などで休みがちな教員
- うつ病などの精神疾患で最近休職していた教員
などが複数いた場合、なるべく違う学年に配置するでしょう。
それに加え、児童の様子や注意を要する保護者のことも考慮されます。
- 前年度に学級崩壊を起こしたクラスのある学年
- 配慮や支援を要する児童が多い学年
- モンペや全体的にクセのある保護者が多い学年
などは、特に考慮されるでしょう。「授業が荒れがちな学年には指導力のある教員を多く配置」、「モンペが多い学年には保護者対応に慣れた教員を多く配置」などです。
よって先生方の「希望」を事前にとった場合でも、全体のバランスと先生一人一人の「希望」とがすべて噛み合うとは限りません。
教員が提出した希望以外の学年に配置したい場合、その教員を呼び出して説得するなど、コミュニケーションを密にとって決める校長先生もいます。
家庭状況が大変な教員を、負担の少ない学年に配置することもあります。交渉や相談が上手な教員は有利とも言えますし、校長先生に気に入られていれば希望が通りやすい…?可能性もゼロではないでしょう。
保護者の要望は通るの?
通るか通らないかは、わかりません。繰り返しになりますが、最終決定するのは校長先生ですし、学校全体のバランスを考えて決める必要があるからです。
しかし「どうしても…」という理由があれば、言ってみる価値はあると思います。なぜかと言うと、学校は問題をなるべく避けたいですし、問題を指摘されれば何らかの「対応」をするからです。
その場合、「〇〇先生にしてください!」ではなく、「△△先生だけはやめてください」の方がよいでしょう。
「〇〇先生にしてください!」はただのワガママ保護者ととられがち。お子さんに障害によるこだわりやパニックの兆候があるなど、よほどの理由がない限り、聞く耳すらもたれないと思います。
こんな事例や傾向もある!
飽くまで「事例」や「傾向」ですが、担任決定において筆者が見たり聞いたりしたことを、5つに分けてご紹介します。
新婚や小さなお子さんのいる女性教員
小学校教員をしている友人が、同じ小学校に勤務する教員と結婚。友人は4月~他校に異動しましたが、そこで希望もしないのに「教務(担任外)」となりました。
筆者の勤務校でも、6月~産休に入る先生が、4月~教務に配置されました。
数ヶ月後から産休に入るということは、子どもたちが慣れた頃に担任を外れるということ。最初からそれがわかっているので、担任外(教務)にした例です。
新婚の友人も、「いつ妊娠してもいいように」という校長先生の配慮でしょうか。妊娠時に担任を持っていた場合、仕事を続けて切迫流産や切迫早産などになる恐れがないとも言えません。
よって小さなお子さんがいる、ご両親の介護が大変などの女性教員も、同じ傾向が見られます。もちろん男性教員でも、メインで育児や介護をしていれば、校長先生に配慮してもらえるケースもあるでしょう。
高学年に男性教員だけのケースは少ない
通常、5年生では林間(臨海)学校、6年生では修学旅行があります。1~2泊のケースが多く、女の子が初潮を迎える場合もあるでしょう。
女の子の方が体の成長が早く、何かと相談したいことも出てくるかもしれませんね。そんな時に身近な学年の先生がすべて男性だと、困ることもあるかもしれません。
単級(1学年1クラス)だと難しいにしても、複数の学級がある場合は、できるだけ男性教員だけの配置は避ける傾向です。
新任や臨時的任用の教員
若くても指導力がある先生もいます。児童からも保護者からも評価が高い先生もいます。
しかし1年目は、負担が比較的少ない学年を持つことが多いようです。教員採用試験に合格してすぐの先生も、まだ合格していない先生も含めてです。
教員採用試験に合格した先生は、1年目で「初任者研修」に参加します。担任を持っている場合、その日は教室を抜けて別の先生にお願いすることになるのです。
通常業務に加えての研修なので、先生の負担も大きいですし、快く思わない保護者も出てきます。よって担任を持つとしても、2、3、4年生が多い印象ですね。
また、教員採用試験に合格をしていなくても、教員免許があれば教壇に立つことができます。「臨時的任用教員」「臨時教員」などと呼ばれ、担任を任されることもあるのです。
産休・病休の先生の代わりで入る場合もありますし、都道府県や市によっては定数内(本採用の先生だけでは不足の場合)のケースもあります。小学校では、1年で他校に異動する例が多いです。
しかし状況によっては、都合よく使われることも。臨時的任用教員としての経験が長いと、容赦なく大変なクラスを任されるということもあります。
指導力のある教員
「先生の指導力はバラつきがあるなぁ」。そう感じている親御さんもいると思います。教育方針や指導観も、先生によってそれぞれです。
その中で、荒れているクラスを立て直すのが上手な教員がいます。
また、いじめへの対応力や不登校の児童への対応力、問題ある保護者への対応力…。どれかが秀でている、もしくはすべてが上手な教員もいるのです。
適材適所とも言えるのかもしれませんが、校長先生としても問題ある学年や学級には指導力のある教員を配置したくなります。
筆者の長女の小学校でも、保護者が「あの先生のクラスって、いつも問題がない?」と話していました。筆者が思うには、「問題が起きやすいクラスだからその先生に任せている」で間違いないです。
勤務時代は「特別ボーナスが出てもいいぐらいだな」と思いながら、指導力のある先生のことを見ていたものです。
指導力が極端に不足している教員
この事例は、保護者の目に見えやすいです。よって知っている人も多いかもしれません。
- 学級崩壊を起こしやすい
- 大勢の児童の指導には向いていない
- 仕事量的に普通学級の担任業務をこなせない
などの教員が、特別支援学級にまわされるケースです。
筆者の教育実習校では、前年度に学級崩壊を起こした教員。長女が通う小学校では、前年度に「その学年で学習すべき内容」を授業で終わらせられなかった教員です。
聞いた事例も含めれば、もっと多いです。だいたいその小学校に通う児童や保護者の間では、噂になっています。
特別支援教育の道を志した筆者にとって、無念極まりないです。特別支援学級だから仕事がラクなんてことはないですし、本来は障害の特性や指導法を学んだ上で就くべきだと思っています。
ただ、「優しく丁寧に寄り添った結果、子どもたちの成長につながった」「特別支援教育に目覚めて専門の資格取得のために努力している」。そんな先生もいるようです。
特別支援学級は、公立の場合1クラスで児童8人まで。地域や個々の障害の程度にもよりますが、実際は1人の教員に対して1~5人前後の場合が多く、児童が非常に少ないです。
児童のクラス分けのポイントは?
担任の先生を決める際、クラス分けも関係することがわかりましたね。では、クラス分けはどうやって行われているのでしょう?知っている範囲でお伝えしていきます。
クラスのバランスを考える
同学年のクラスは、なるべく平均的になるよう分けるのが基本です。では、具体的にどんなことが挙げられるのでしょうか?
- 男女数、旧クラスの人数
- 主要教科の成績
- 運動能力
また場合によっては、以下の件でも偏りがないよう考えます。
- 特別な支援や配慮を必要とする児童
- 注意を要する保護者
- 住んでいる地域
偏りがないようにするだけではなく、組み合わせにも気を配ります。たとえば、
- 支援を必要とする児童に率先して手を貸していた児童を、同じクラスにする
- 不登校になりがちな児童と仲のよい児童を、同じクラスにする
- 仲が極端に悪い保護者同士を、別々のクラスにする
などです。
実際のクラス分けの方法は、学校、学年主任、その時の状況などによって、まちまちでしょう。
- 最初に主要教科の成績をもとに平均的に分け、後から必要な部分を交換
- (学年4クラスの場合)旧クラスを4等分し、各々を組み合わせた後で必要箇所を交換
- 配慮すべき児童や保護者を先に配置し、後から能力的に平等になるよう配置
児童は人間ですが、物のように表現してしまい申し訳ございません。その時の状況にもよりますが、クラス分け作業はけっこう大変だったり数日間かかったりすることもあるそうです。
また、特に高学年で言えることですが、
- 他の児童を引っ張っていく力のある児童
- ピアノの伴奏ができる児童
- 球技大会、体育大会などの種目で秀でている児童
も偏りすぎないよう注意します。
学年が上がるにつれ、児童は自分たちで解決したりつくりあげたりする機会が増えていきます。運動会の応援団長などは、大きな声を出すことも必要。クラス全員が物静かで、誰もリーダーシップがとれないと困る場面も出てくるのですね。
また、地域にもよるでしょうが、音楽会や球技大会、体育大会などの行事もあります。ピアノの伴奏をできる児童が一人もいない、(球技大会がバスケの場合)バスケを習っている児童が偏っている、などのないよう構成していきます。
誰がいつ頃決めるの?
基本的に現在担任している先生方で話し合い、来年度のクラス分け作業をします。通常、学年主任の先生が取り仕切るでしょう。
それぞれの担任の先生は、現在のクラスの様子をもとに考えたり話し合ったりしていきます。時期は、多くの場合3月に入ってからでしょう。
保護者の要望は通るの?
「苦手なお母さんがいる」「子どもが〇〇くんからいじめられている」…悩みとともに、最も気になる部分かもしれませんね。
まず結論から。要望は「どちらかと言えば通りやすい」です。
なぜ?…学校側としては、できれば問題が起きたりクレームが入ったりすることを避けたいからです。
なおかつ要望を通さずに問題が起きた場合、「だから言ったでしょ!」と苦情につながるケースも予想されます。
- 子どもが不登校気味で悩んでいる
- 子どもが特定の子からいじめられている
- 保護者同士の関係が悪く、精神が病むレベルにまでなっている
こんな場合は、早いうちに遠慮せず相談しましょう。クラス分けでも配慮してもらえるかもしれません。
しかし、ワガママな要望もあるのが事実です。要望を出す前に、もう一度胸に手を当てて考えてみましょう。
「単に嫌いだから」などの理由で要望を出したり、先生との会話の中で気軽に言ったり、ということは避けるべきです。
要望を出すことが、本当に子どものためになるのか、そうではないのか。親としてしっかり考えてから、行動してほしいと思います。
小学校に要望・意見を言いたい親御さんへ。失敗や後悔しないために、以下の記事も参考になると思います。
小学校の担任にクレームを言う時に、失敗しないための4つのこと
どんな先生やクラスからも何かを学びたい
担任の先生やクラス、正直「運」もありますよね。1学期の初めは「前の方がよかった」と思っても、だんだん慣れてくるケースも多いもの。子どもにとって、大切な経験と勉強になるでしょう。
でもどんな場合でも、先生方はさまざまなことに配慮しながらクラス分けをしています。校長先生も、さまざまなことを考慮し学級担任を決めています。
いろいろな先生がいますが、いろいろな人とかかわることが子どもにとって勉強。親として心配でも、先生自身に問題がなくクラスにトラブルもない場合は、ある程度大らかに構えることも必要かもしれません。
お子さんへの声がけや、親御さん自身の気の持ち方について、以下の記事も参考になると思います。
小学校の担任が「合わない」と思う時。親はどうするべき?
筆者も二人の子どもの母親です。悩む時やしんどい時もありますが、子ども自身にしっかりと目を向け、成長をきちんと感じていきたいと心がけています。