子どもの鉛筆の持ち方が変!定着しやすい正しい教え方


子どもは正しく鉛筆を持っていますか?

小学校にあがると、子どもが鉛筆で何かを書く姿を見る機会が減ります。

そんな中、子どもの鉛筆の持ち方をよく観察すると、持ち方の癖が付いていることがあります。

そんなとき、どうやって改善したら良いのでしょう。

まずは、教える側が正しい持ち方を知っておくことです。その上で、子どもに正しく持つための意識づけをさせて改善していきましょう。

ここでは、そのための「言葉がけ」の方法や「矯正グッズ」を使った方法をご紹介しています。

子ども本人が改善したいと思えるよう、良くない持ち方のデメリットも取り上げています。

ぜひ、子どもと一緒に考えて、正しい持ち方を教えてあげてください。


鉛筆を正しく持てていない子どもたち

子どもの鉛筆の持ち方をよく観察してみると、正しく持てていないことがあります。

特に小学校低学年では、鉛筆の持ち方が定着しやすく、一度身についた持ち方のまま大人になることもあります。

それが正しい持ち方なら良いのですが、間違えた持ち方を覚えてしまうと、直すのに一苦労です。

文部科学省の「青少年の生きる力を育むための総合的調査研究」では、2,739名の小学生から大人までを対象に、子どもの生活技術(正しくできる割合)について調査を行った結果が出ています。

それによると、鉛筆を正しく持てる小学生は、以下の割合になりました。

・1年生…3.8%
・2年生…2.3%
・3年生…5.6%
・4年生…2.9%
・5年生…4.7%
・6年生…4.7%

小学生だけが正しく持てていないようなイメージがありますが、この数値は低いままで、大人になっても正しく持てる人の割合は10%以下という数値が出ています。

この結果から、鉛筆を正しく持っていない子や大人が多いことに気がつきます。

それでは、鉛筆を正しく持っていないことがどんな影響を与えるのでしょうか。

鉛筆を正しく持っていないと起こるデメリット

鉛筆を正しく持っていないと、さまざまな悪影響が出てきます。以下のにとりあげた5つが良く起こるデメリットです。

  • 鉛筆がうまく動かせず、整った字が書けない
  • 力が入らず、筆圧の薄い読みにくい字になる
  • 指が疲れやすい
  • ペンだこができる
  • 悪い姿勢に関連する持ち方もある

それぞれ、見ていきましょう。

【鉛筆がうまく動かせず、整った字が書けない】
持ち方がよくないと、鉛筆をうまく動かすことができず、思い描いたような整った字を書くことができません。

本来、正しい持ち方をしていると動くはずの手首がしっかりと動かせず、かたい線になってしまうのです。

正しい持ち方をすると、鉛筆の動きがなめらかで、美しい字を書けるようになります。

【力が入らず、筆圧の薄い読みにくい字になる】
持ち方が良くないと、鉛筆の先にうまく力を入れることができません。

そのため、筆圧が薄くなり、読みにくい字になってしまいます。自分では上手に書けているつもりでも、テストでは先生に伝わらず、苦い思いをしてしまいます。

【指が疲れやすい】
正しい持ち方では、手の平の側面と小指が机に触れることで安定して鉛筆をもつため、疲れにくくなります。

しかし、間違った持ち方だと、安定感がなくなるため、手や指が疲れやすくなります。

その結果、集中力が途切れてしまうこともあります。

【ペンだこができる】
持ち方がおかしいと、変なところに力が入ってしまい、ペンだこができる原因となります。

また、長いあいだ一点ばかりに力を入れていると、爪が変形することもあります。

【悪い姿勢に関連する持ち方もある】
たとえば、鉛筆を握るようにして書いていると、書いている部分を見ようとしてのぞき込む形になり、姿勢が悪くなります。

鉛筆の持ち方が姿勢に影響することもあり、猫背の原因になっていることがあります。

このように、正しく持っていないときのデメリットは大きく、早いうちに正しい持ち方を教えることが大切です。

正しい鉛筆の持ち方を教えるにはどうしたらよい?

正しく鉛筆を持っていないと、さまざまなデメリットがあることがわかりました。間違えて持っているなら、どうにかして改善させてあげたいですね。

では、鉛筆の持ち方を子どもに教える前に、正しい持ち方を知っておきましょう。

3本の指が主役!鉛筆の正しい持ち方

鉛筆メーカーや書写協会が紹介している持ち方では、力を入れる指に違いが見られますが、支えるのは同じく3本の指です。

どこか一方にだけ力が偏ることのないよう、3本の指に同じように力を入れると、思い通りの線を引きやすくなります。

右利きの場合と左利きの場合を見ていきましょう。

【右利き】
人差し指…指の腹で押し当てるように鉛筆を支える。
親指…人差し指よりも少し後ろにくるようにして、鉛筆を支える
中指…指の爪の根元(左側に鉛筆がくるように)を支える
薬指と小指…中指に沿わせて、小指は軽く紙に触れるようにする

【左利き】
人差し指…指の腹で押し当てるように鉛筆を支える。
親指…人差し指よりも少し後ろにくるようにして、鉛筆を支える
中指…指の爪の根元(右側に鉛筆がくるように)を支える
薬指と小指…中指に沿わせて、小指は軽く机に触れるようにする

それぞれの指の動きをみて、主に人差し指、親指、中指で鉛筆を支えていることがわかります。

3本の指を、鉛筆を削った部分の境界線あたりに置き、鉛筆の角度がだいたい40から60度になるようにします。

鉛筆の頭(削れていない方)が、書き手の肩よりもやや外に向くと、書いている部分が見やすくなります。

小学校低学年ころの子どもに教える場合は、「親指と人差し指、中指の3人は仲良しだから、鉛筆を一緒に持つんだよ。」というと、3本の指で支えるイメージが付きやすくなります。

持ち方を教えるには「言葉がけ」が大事

正しい持ち方を知ったら、次は子どもに教えていきましょう。

一度言って素直に聞ける子、何度言ってもなかなか直らない子、色々な子がいます。

まずは鉛筆を正しく持てるように「言葉がけ」をしていくことが大事です。

子どもが宿題や勉強、お絵かきを始めようとしたら、以下のように言います。

「鉛筆を正しく持ったら綺麗な字が書けるよ」

「正しく持って書いてみてね」

すると、気をつけて書ける子は、意識している間だけでも正しく持って書こうとします。

もし、普段の間違った持ち方に戻ってしまっても、「ダメダメ、そうじゃない。」「出来ていないよ。」といった、否定の言葉は言わないようにしましょう。

子どもに身についてしまった癖は、直すまでに時間と根気が要ります。

正しく持つための言葉がけを毎日短時間でも、長く続けていると次第に子どもの意識に根付いていきます。

中には、言葉がけや教えられること自体を嫌う子もいるので、そうした子には鉛筆の正しい持ち方が描かれた本や、ポスターを活用しましょう。

勉強机の前など、書くときに見える位置に置いたり貼ったりすると、子ども自身が見て学びます。

また、間違った持ち方のデメリットをストレートに伝えることで、子ども自身が「持ち方を直そう!」と努力し始めることもあります。

それでも改善しそうにないときは、鉛筆を変えてみても良いでしょう。

意識してできなければ、鉛筆を変えてみよう!

鉛筆の持ち方が改善しない背景に、持ちにくい鉛筆を使っていることも考えられます。

たとえば、小学校低学年にとって、丸軸の鉛筆は支点となる3本の指の位置が定まりにくく、間違った持ち方になりやすいのです。

そのため、3本の指で自然と挟める三角軸の鉛筆がおすすめです。

こちらの記事では、小学校低学年におすすめの鉛筆を5つご紹介しています。ぜひ、併せてご覧ください。→一年生が持つ鉛筆は何がお勧め?重視したいのは形、濃さ、柄

中学年や高学年でも、持ち方がおかしければ、三角軸の鉛筆を試してみて下さい。

それでもなかなかうまくいかない場合は、矯正グッズを試してみましょう。

鉛筆の持ち方を矯正するサポートグッズ

鉛筆の持ち方は、大多数の人が間違えていますが、意識して直すのは難しいものです。

そんなときには、意識しなくても正しい持ち方をサポートしてくれる便利な矯正グッズを試してみて下さい。

矯正グッズには、市販のものや家庭で用意できるものがあります。

市販のものでは、以下のアイテムがおすすめです。

・くもん出版 くもんのこどもえんぴつ専用 もちかたサポーター 280円(税別)
・トンボ鉛筆 Yo-i もちかたくんはじめてセット 350円(税別)

どちらも、鉛筆にセットして使います。鉛筆を支える3つの指が自然と定位置にくるようにサポートしてくれます。

家庭で用意できるものでは、以下のアイテムがあげられます。

・ダブルクリップ
・洗濯ばさみ
・輪ゴム

これらも、鉛筆にセットすることで、市販品のように指を正しくおくためのサポートをしてくれます。

これらの上手な使い方は、こちらの記事でご紹介しています。ぜひ、併せてご覧ください。→3点で支えて持ってる?えんぴつの正しい持ち方と矯正グッズ

正しい鉛筆の持ち方へと導くには、毎日の「言葉がけ」で意識をつけさせ、「矯正グッズ」で自然に直していくと良いでしょう。

無理強いは禁物!子どもの気持ちが大きな原動力

親が「直そう」と思っても、なかなか直らないのが、子どもの癖です。

子どもには、子どもなりの思いがあって癖となってあらわれます。

鉛筆の持ち方も同じように、一度癖がついてしまうと、親が何を言っても直らないことがあります。

そんなときに、無理強いは決してしないようにしましょう。

「ちゃんと持たないと、綺麗に書けないよ!」といった脅しもいけません。

持ち方を直すか直さないかは、鉛筆を持っている子ども自身の問題です。

子どもが「この持ち方の方が持ちやすい」と言っていれば、親がなんと言おうと、子ども自身が持ちやすい持ち方をし続けるでしょう。

無理に「持ち方はこうするの!」と親が教えるのではなく、子ども自身が納得してみずから「直そう」と思うように工夫しましょう。

子ども自身の意識が変われば、行動はスムーズです。

子どもの意識を変えるために、以下の『正しい持ち方にするメリット』を伝えても良いでしょう。

子どもに伝えたい!正しい持ち方にするメリット

鉛筆を正しく持っていない場合のデメリットを最初にご紹介しましたが、子どもに伝えるときはメリットを教えると素直に聞いてくれることもあります。

  • 綺麗な字が書ける
  • はっきりと読みやすい字がかける
  • 手や指が疲れにくい
  • ペンだこができにくい
  • 姿勢がよくなる

正しい持ち方をして、運筆の練習をすると、上手に書けている気持ちになります。

運筆の練習のときは、書道の練習でも取り入れられる「永字八法」がお勧めです。

漢字の「永」を一字書くだけで、8種類(点、横画、縦画、跳ね、右上がりの横画、左はらい、短い左はらい、右はらい)の運筆ができるというものです。

低学年では、「水」の字でも良い練習になります。

たとえば、パパやママがノートに「水」の練習をしていると、子どもが興味を示して「何しているの?」と聞いてきます。

その時に、自信のある子には「ママ、うまく書けなくて…」と言い、面白いことに興味を示す子には、「上手に持ってこの字を書くと、願いが叶うらしいの」と言うと、書きたがるようになります。

子どもの性格に合わせて、興味を持ちそうな言葉を選ぶとうまくいきます。

無理強いではなく、興味を持って自分からやりたがるように工夫していきましょう。

正しい鉛筆の持ち方を上手に教えよう!

小学生だけではなく、大人でも正しい持ち方をしている人は少ないことが分かりました。

長年やってきた持ち方を、いきなり他の人から「変えてください」と言われても、大人はなかなかうまく変えられません。

子どもも同じように、保護者や先生から「正しい持ち方に変えて下さい」と言われても、すぐには変えられません。

「正しく持たなきゃ」という子ども本人の意識がないと、難しいでしょう。

正しい鉛筆の持ち方を上手に教えるためには、今回ご紹介したことを段階ごとに子どもに教えていって下さい。

まずは、鉛筆の正しい持ち方を子どもと一緒に確認し、宿題や勉強のときなどに「言葉がけ」をします。

「言葉がけ」を素直に聞けない子には、ポスターなどを見える位置に貼って意識づけをさせます。

この段階で改善しなければ、次の段階へうつります。

正しく持ちやすい三角軸の鉛筆に変えて、字を書かせます。矯正グッズを試してみても良いでしょう。

さらに、鉛筆を正しく持つことで起こるメリットや、間違えた持ち方で起こるデメリットを伝えれば、子ども自身の意識が変わるきっかけになります。

子どもに教えて早く身につかせようと思うあまり、親は気持ちが焦って怒ったり嘆いたりしてしまいがちです。

しかし、教えたことがすぐにできるとは限りません。

何度も根気よく続けていれば、長い時間がかかっても身についていきます。

持ちやすい鉛筆を与えたり、アドバイスしたりと、親がやれることはできるだけやってあげて、改善するまで長い目で見ていきましょう。

自分の持ち方を確認して、子どもと一緒に正しい持ち方を学び直すのも良いかもしれません。

楽しい雰囲気で鉛筆の持ち方を見直せると良いですね。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る