どうやって書いたら良い?小学生が気をつける感想文の書き方
「感想文をどうやって書いたら良いかわからない」
お子さんは、そんな悩みを抱えてはいませんか?
原稿用紙を目の前にして、書く準備は出来ているものの、いっこうに手が進まないことは、よくありますね。
小学生では長い文章を書く機会がまだ少なく、原稿用紙に文字が埋まらないこともあります。
どんなことを、どのように書いたら良いのか、書くときのルールやコツをまとめました。ルールやコツは、どの学年でも共通なので、子どもと一緒に確認してみましょう。
さらに、うまい表現で感想文を完成させたい場合は、低学年、中学年、高学年に分けて盛り込んで欲しい表現をご紹介しています。
ぜひ参考にしながら、自分だけの感想文を完成させて下さい。
Contents
感想文の書き方を身につけよう!全学年共通のルールやコツ
夏休みや冬休みを過ごしてどう思ったか、読書してどう思ったかなど、小学校では感想文を書く場面がよくあります。
気持ちを素直に表現するのはもちろんのこと、感想文を書くための決まりを知っておくと、スムーズに書くことができます。
子どもが原稿用紙を前に頭を悩ませていたら、何に悩んでいるのかを聞いて、適切にアドバイスしてあげましょう。
感想文をコンクールに出品する場合は、さまざまな点が審査基準となるので、さらに細かいルールにも注意するようにしてください。
特に、低学年だと子どもだけでは気づきにくい字の間違い、表現の間違いをしている場合があります。最終チェックとして、親が見直すことで気づけるかもしれません。
親子で感想文の書き方を確認しておくと、取組みやすくなります。
それでは、感想文を書くときのルールやコツを見ていきましょう。
1 原稿用紙を上手に使う
2 句読点や符号を正しく使う
3 数字は漢数字で書く
4 文体を統一する
5 適切な表現を使う
6 適切な漢字を使う
《コツ》
1 5W1Hを書く
2 会話を書く
3 感想とその理由を書く
主なものを挙げると、ルールは6つ、コツは3つが挙げられます。
どちらも、読み手が読みやすいようにする工夫であり、書き手のマナーです。
それぞれのルールやコツを、項目ごとにくわしく見ていきましょう。
書き方のマナー 感想文を書くときのルールについて知ろう!
感想文を書くときのルールは6つあります。文章を読んでいる人に、気持ちが伝わりやすいように、ルールを守って書くのがマナーです。
ルール1【原稿用紙を上手に使う】
感想文を書くときに、原稿用紙を渡されたら、授業で習った使い方を基本として書いていきます。
授業で指定された紙や書き方があれば、それに従って書きましょう。
指定が無ければ、以下を参考にして書き進めます。
《原稿用紙の使い方》
・2行目…学校名を書く(下を1マスあける)
・3行目…学年・名字・名前を書く(学年・名字・名前の下はそれぞれ1マスずつあける)
・4行目…1行分あける
・5行目…書き始めは1マスあける
4行目は、1行文あけずに、1マスあけて本文を書き始めることもあります。
ルール2【句読点や符号を正しく使う】
意外と難しく感じてしまうのが「句読点」や「符号」の使い方です。
それぞれの記号は以下のようになっています。
符号…感嘆符「!」、疑問符「?」、かぎかっこ「」、『』など
これらを原稿用紙のマスに書くときは、それぞれ一字分使います。
また、それぞれの記号が行の始めのマスに来ないようにします。
かぎかっこの使い方については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、併せてご覧ください。→小学生の作文で困った!よく使う2種類の「かぎかっこ」の使い方
ルール3【数字は漢数字で書く】
縦書きの原稿用紙を使うときは、漢数字を使って書きます。低学年の始めの頃など、まだ漢字を習っていない段階では、無理して書かなくても大丈夫です。
ルール4【文体を統一する】
コンクールに出品するような作文では、文体が統一していることも審査対象になることがあります。
常体(である体)、敬体(ですます体)とよばれ、文末の表現が変わります。
常体では「~である・だ」、敬体では「~です・ます」といった文末表現になります。
たとえば、以下の例文をみてみると、常体と敬体の文体が入り交じっていることが分かります。
(1行目) 朝はリスのえさをまくのが、ぼくのしごとです。
(2行目) すこしまつと、リスがきて たくさんたべて かえった。
(3行目) 口がおおきくなって おもしろかった。
1行目は敬体なのに対して、2、3行目は常体になっています。
こうした文末表現を見つけたら、どちらかの文体に統一して書くように、アドバイスするとよいでしょう。
ルール5【適切な表現を使う】
学年が上がるにつれて、文章の表現方法に工夫が見られるようになります。
たとえば、「楽しい」といった気持ちを表現するときに、「ワクワクする」、「うきうきする」など別の言葉を使って表現できるようになっていきます。
高学年になれば、「心がはずむ」などの慣用句をうまく使って文章を書く子もいるでしょう。
こうした表現が子どもの伝えたい気持ちと合っているか(適切に使っているか)を確認してみてください。
ルール6【適切な漢字を使う】
新しい漢字を頑張って書いたときなど、よく見ると間違えて書いていることがあります。
一本多かったり、はねるところがはねていなかったり…。
漢字の間違いは、指摘されないと直す機会がなかなかないので、感想文で発見したら、すぐに教えてあげましょう。
書き方のマナー 感想文を書くコツについて知ろう!
感想文は、あった出来事に対して、子どもの気持ちを素直に書いた文です。以下の事柄を分の中に入れていくと、スムーズに書けるでしょう。
コツ1【5W1Hを書く】
ニュースや新聞記事では出来事を正確に伝えるために、5W1Hを基本としています。
5W1Hは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)の英語の頭文字をとったものです。
題材とする出来事を、わかりやすく伝えるために、この要素を加えると伝わりやすくなります。
子どもがどうやって書いたら良いのか悩んでいたら、この書き方の要素を教えてあげてください。
低学年では、「いつ・どこで・なにをしたか」から練習してみても良いでしょう。
コツ2【会話を書く】
感想文をよりリアルに伝えるために、会話文を加えることを提案してみましょう。
感想文が短く終わってしまう子の場合、あった出来事を例文1のように淡々と書いてしまいがちです。
ぼくは、お休みの日に家族で動物園に行きました。
パンダがいて、葉っぱを食べていました。
これに会話文を加えると、以下の例文2のようになります。
「天気が良いから動物園に行こうか」
と、お父さんが言ったので、ぼくは、お休みの日に家族で動物園に行きました。
「パンダ見つけたよ!」
と、妹が言いました。
見るとパンダがいて、葉っぱを食べていました。
このように、会話文を入れると、よりリアルな情景が浮かびます。
原稿用紙が半分以上空いてしまっている子には、会話文を入れるようアドバイスするとよいでしょう。
コツ3【感想とその理由を書く】
感想文を書いているので、どこかに書いた人の感想を入れなくてはいけません。
また、感想に対する理由も一緒に書くと、その時の気持ちが伝わりやすくなります。
先ほどの例文2に感想とその理由を入れるとしたら、以下の例文3のようになります。
「天気が良いから動物園に行こうか」
と、お父さんが言ったので、ぼくは、お休みの日に家族で動物園に行きました。
※久しぶりのおでかけでとてもワクワクしました。
「パンダ見つけたよ!」
と、妹が言いました。
※ぼくが最初に見つけたかったので、くやしくなりました。
見るとパンダがいて、葉っぱを食べていました。
※美味しいのかなあと、ぼくは思いました。草笛でかんだ葉っぱが、とても苦かったからです。
※マークの付いている文章が、感想とその理由です。これだけでも始めの文章(例文1)よりずっと伝わりやすくなったはずです。
学年が上がると表現技法が上手に使えるようになり、書き方のコツが変わっていきます。
こちらの記事では、作文を書くときのコツを学年別にまとめています。ぜひ併せてご覧ください。→小学生の作文で大事なのはこれ!4つのコツと学年別の表現ステップ
また、読んだ本を元に読書感想文を書くときのコツは、以下の記事ででご紹介しています。
【低学年編】小学生の読書感想文の書き方。本選びと3つのステップ
【高学年編】小学生の読書感想文の書き方。マネしたい5つのコツ
ここまでは、全学年共通のルールとコツです。
さらに学年ごとに工夫を取り入れて感想文を書いていくと、魅力的な文章に仕上がります。
学年ごとに、取り入れて欲しい工夫をご紹介します。
低学年は色々な気持ちの表現を知っておこう!
低学年では、初めて感想文を書く子もいるでしょう。
思ったことや見たことをそのまま書く練習をし、そのなかに自分自身の気持ち(感想)を入れるようにします。
低学年の多くは「楽しかった」や「おもしろかった」で書き終わることが多いです。
もっと他の気持ちも感想文であらわせるよう、感想を表す表現にはどんなものがあるかを知っておくとよいでしょう。
以下が気持ち(感想)を表す表現です。
- 楽しい
- おもしろい
- うれしい
- おどろく
- さびしい
- かなしい
- おこる
- くやしい
- おかしい
- はずかしい
- こわい
どんなときに、どんな気持ちになるのかを意識できるよう、普段の生活で声かけをしたり、絵本の読み聞かせをしたりするとよいでしょう。
中学年は書き出しを工夫しよう!
『感想文を書くコツについて』でも触れたように、5W1Hの中の「いつ」や「どこで」を使って書くのが基本です。
書き出しにも「いつ」や「どこで」を使うと、書きやすくなります。
中学年では、こうした基本の書き出しのほかにも、さまざまな書き出しで書き始めてみるとよいでしょう。
いつもとは違った雰囲気の感想文になります。
書きやすいのは、その場の雰囲気が伝わりやすくすなる「会話」、「動作」、「音」の3つです。
- 会話から書き出す
- 動作から書き出す
- 音から書き出す
それぞれ、例文をあげて見ていきましょう。
伝わりやすくなる工夫例 【会話から書き出す】
「会話」が入っている文章は、場の雰囲気が目に浮かぶように伝わります。
お出かけの朝
「お母さん、この服とこの服、どっちがいい!?」
という妹の声で目が覚めました。
この例文では、お出かけの日のワクワクした感じが伝わりますね。
しかし、会話文がなくなると、「妹が母に服を決めて欲しいという声で目が覚めました」という味気ない文章になります。
その日の様子をよりわかりやすく伝えるためには、会話文で書き出してみましょう。
伝わりやすくなる工夫例 【動作から書き出す】
書き出しに「動作」を入れると、人の動きがはっきりと伝わります。
水泳
思いっきりバタ足をした。
いつもより早くなった感じがして、僕が一番にゴールした。
ただ、「僕が一番にゴールした。」だけではつまらないですね。
その時の「動作」を書き出しに加えることで、生き生きとした動きが伝わる文章になります。
伝わりやすくなる工夫例 【音から書き出す】
書き出しに「音」を入れると、その場の様子がより具体的に伝わります。
ガチャン。
父の大事なグラスを割ってしまった。
文の始めにくる「ガチャン。」というグラスの割れた音が印象的で、読み手を惹きつける効果があります。
他にも色々な書き出しの方法があります。いつもと違った感想文を書きたいときは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。→作文の書き出しに工夫をプラス!個性の光る書き出し方4つ
ワンランクアップ!高学年はもっと上手な表現をみつけよう
高学年になると、文章の中に「慣用句」を使って書いてみると良いでしょう。
慣用句を効果的に使うことで、その時の様子や気持ちが伝わりやすくなります。
また、説明が長くならず、わかりやすい文章になります。
「手」を使った慣用句を使ってみよう
たとえば、「手」を使った慣用句と例文を3つ挙げてみましょう。
(使い方…自分の力では処理しきれない。)
例文
冬休みは手に負えない量の宿題がでました。
●手に付かない
(使い方…気持ちが他に奪われて、そのことに集中できない。)
例文
明日の遊園地が待ち遠しくて、宿題が手に付きませんでした。
●手を貸す
(使い方…助力する。手伝う。)
例文
見かねた兄が手を貸してくれて、3日分の宿題が終わりました。
このように、「手」だけでもたくさんの慣用句があります。慣用句を使うことで、様子や気持ちが強く伝わります。
さまざまな慣用句を調べて、使いこなせば魅力的な感想文になるでしょう。
ルールやコツを身につけて、うまい表現を見つけよう!
感想文を書くときには、ルールやコツがあることがわかりました。
どんなにうまい表現ができていても、原稿用紙の使い方を間違えていたり、漢字をまちがえていたりしては、読む人が読みにくい文章になってしまいます。
原稿用紙に書く前に、もう一度ルールやコツを確認しておきましょう。
《感想文を書くときのルール》
- 原稿用紙を上手に使う…原稿用紙の使い方
- 句読点や符号を正しく使う
- 漢字は漢数字で書く
- 文体を統一する
- 適切な表現を使う
- 適切な漢字を使う
《感想文を書くときのコツ》
- 5W1Hを書く
- 会話を書く
- 感想とその理由を書く
これらのルールとコツに注意しながら、感想文がいつもより輝く作品になるように表現を工夫していきます。
低学年では、多様な感情表現を言葉で表せるようにし、中学年では書き出しに「会話」、「動作」、「音」などを取り入れます。
高学年ではさらに伝わりやすくなるよう、慣用句を使った表現を取り入れます。
何をどう書いて分からない場合、その時の感情や会話などをもとに、文章をつなげていくとその場の雰囲気が伝わりやすい感想文ができあがります。
いきなり上手な文章を書くのは難しいものです。
作文や感想文は何度も練習を重ねることが大事なので、本人にやる気が出るまでは、書いた文章にダメ出しするのは控えましょう。
例えば、文章が短くても、伝わりにくくても、「もっと長く書いたら?」や「これ、わかりにくいんだけど」といった言葉がけはしないように気をつけます。
代わりに、「この続きが知りたいなあ」や「もっと詳しく教えてほしい」という言葉がけがお勧めです。
書いたものを人に伝える喜びを感じられれば、自然と上手な書き方を覚えたいと思うはずです。
少しずつ上達して、楽しく感想文が書けるようになると良いですね。